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卓レポ名勝負セレクション 
日本代表 メダルの歴史 Select.6

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今回は、2021年世界卓球選手権ヒューストン大会を目前に控えた日本代表へのエールを込めて、過去の日本代表が世界卓球でメダルをつかみ取った名勝負を取り上げていく。
 今シリーズの最終回は、2017年世界卓球選手権デュッセルドルフ大会女子シングルス準々決勝、平野美宇(日本生命/当時 JOCエリートアカデミー/大原学園) 対 馮天薇(シンガポール)の名勝負をお届けしよう。

■ 観戦ガイド
48年ぶりの快挙に向けて、平野美宇の両ハンドがうなりを上げる!

 2017年世界卓球選手権デュッセルドルフ大会は、日本がメダルラッシュにわいた大会として記憶に新しい。日本は4種目で5つのメダルを獲得したが、金メダルを獲得した吉村真晴(愛知ダイハツ/当時 名古屋ダイハツ)/石川佳純(全農)の混合ダブルスに次いで話題をさらったのが、平野美宇の女子シングルスだ。
 デュッセルドルフ大会のおよそ1カ月前に中国の無錫で行われたアジア卓球選手権女子シングルスで、丁寧、朱雨玲、陳夢(いずれも中国)と中国の主力選手を連破して優勝し、世界をあっと驚かせた平野は、デュッセルドルフ大会女子シングルスでも優勝候補の一人として臨んでいた。
 
 トーナメントが始まると、予想通り、平野は圧巻の強さで勝ち上がる。2回戦でサウェッタブート(タイ)、3回戦では陳思羽(中華台北)を寄せ付けずに快勝すると、4回戦でシャオ・マリア(スペイン)をストレートで下し、準々決勝へ順当に勝ち上がった。

 メダルが懸かる準々決勝で平野が対戦するのは、馮天薇だ。2010年世界卓球選手権モスクワ大会女子団体決勝で中国を撃破して金メダルを獲得し、「モスクワの奇跡」と称えられたシンガポールの立役者であり、これまで数々の輝かしい成績を収めてきた歴戦の強者である。
 安定感抜群の両ハンドが持ち味で、コンパクトなスイングからの鋭いバックハンドを得意とする。ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かっていた馮天薇だが、3回戦でラリーに強い李皓晴(香港)、4回戦では強打のシルバーアイゼン(ドイツ)を下して準々決勝に勝ち上がってきており、その強さは健在だ。

 中国選手を連破してアジア女王に輝いた平野ががぜん優位だが、メダルが懸かるビッグマッチでは馮天薇の経験値もあなどれない。平野が苦戦を強いられる展開も予想されたが、試合が始まると、そんな心配はいらぬお世話だと言わんばかりに、平野の両ハンドがうなりを上げる。
 チキータから両ハンドで切れ目なく猛攻を仕掛けた平野は、第3ゲームこそジュースに持ち込まれるが、そのほかのゲームは馮天薇を圧倒し、ストレートで勝利。1969年世界卓球選手権ミュンヘン大会女子シングルス優勝の小和田敏子、同3位の濱田美穂以来、女子シングルスで48年ぶりに日本にメダルをもたらした。

 準決勝に勝利した後、「第3ゲームはメダルを意識しました。このゲームをとったら有利と思いすぎて、決め切ることができなかったのですが、攻めの気持ちを忘れずに頑張って取ることができて良かったです」とメダル獲得の喜びを語った平野。
 もう間もなく開幕する2021年世界卓球選手権ヒューストン大会では、平野に続く快挙を成し遂げた選手の喜びのコメントが聞かれるのか。日本の卓球史に新たな歴史が刻まれることを期待したい。
(文中敬称略)

(文/動画=卓球レポート)

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