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第21回 フリックを究める!(吉村真晴)

hama

今回の達人 吉村真晴(名古屋ダイハツ)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。今回は、吉村真晴がフォハンドでフリックを究めるためのポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています


 フリックとは、台上に来たボールを強くはじくように打つ、攻撃的な台上技術だ。現在、攻撃的な台上技術の代名詞はチキータだが、フリックはチキータに比べると「打球が直線的に飛び、回転量が少ない」という特徴がある。したがって、チキータが全盛の今、チキータとは異なる球質で攻撃するフリックをマスターすれば、大きな効果が期待できるだろう。
 吉村真晴選手はフリックを要所で使い、世界卓球2017デュッセルドルフの混合ダブルス世界チャンピオンとなった。今回は、その吉村真晴選手が、フォア前に来た下回転のボールをフォアハンドでフリックするケースを例に挙げて、フリックを究めるためのポイントを教えてくれる。

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達人からのアドバイス
 フォア前に来た下回転のボールに対してフォアハンドでフリックするときは、右足をフォア前(斜め前)に踏み込みながら打球します。右足を踏み込んで体をボールに近づけると、ひじに少しゆとりが生まれるので、力加減や打球面のコントロールが利きやすくなります。

 そのほか僕が意識しているのは、打球準備のときに「打球面をしっかりかぶせる」ことです(写真2)。
 打球面を床に向けるようにしっかりかぶせてバックスイングし、そこからスイングを開始すると、打球に自然と前進回転がかかり、フリックの安定性が高まります。

 バックスイングで打球面をかぶせるのは、フリックの安定性を高めることに加えて、「緊張した場面でもしっかりスイングする」ためでもあります。
 フリックするときは写真2の段階で打球面をいったん上向きにし、そこから打球面をかぶせてスイングする選手も多いと思います。しかし、僕の場合、上向きの打球面から打球面をかぶせる動作が苦手で、試合の緊張した場面だとなおさら、腕を思うように動かすことができません。
 初めから打球面をかぶせておくと、試合の緊迫した場面でも腕をスムーズに動かすことができるので、それに伴ってフリックの成功率も高まっていると感じています。

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達人からのアドバイス
 打球面をかぶせて準備したら、ラケットをいったん高い位置に引き上げます。そこから、ラケットを振り下ろし、その反動を使ってラケットを斜め上に鋭く振り上げ、ボールの正面より少し上を打ちます。打球点はボールのバウンドの頂点あたりを狙ってください。

 僕がフリックするときは、ボールを「はじく」ことはもちろんですが、ボールを「こする」ことも意識しています。ボールを「はじく」と「こする」をうまくミックスさせることによって、打球にスピードを出しつつ、フリックを安定させることができます。
 ボールをうまくこするためには、先に述べましたが、バックスイングで打球面をしっかりかぶせておくことがポイントです。そうすることにより、スイングしたときに自然とボールをこすることができます。

 フリックを身に付ける上では、単に説明した動作をなぞるのではなく、「スイングのイメージを持つ」ことが大切です。
 僕がフリックをするときは、横から見てラケットが8の字(正確には8を横にした∞)を描くようなイメージでスイングしています。フリックが思うように身に付かない選手は、バックスイング開始から打ち終わりまでの動作で、ラケットで8の字を描くイメージでスイングしてみるとコツがつかめるかもしれません。

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達人からのアドバイス
 コンパクトで鋭いラケットワークが求められるフリックを身に付けるためには、指の力の入れ加減も重要なポイントです。
 僕がフリックするときは、「インパクト(打球)の瞬間にだけ中指と薬指に力を入れる」ようにし、それ以外は指全体をリラックスさせています。この指の力の入れ方を意識すると、ラケットをスムーズに動かすことができます。
 フリックするときに注意してほしいのは、指に力を入れっぱなしにしないことです。そうすると、手首の融通が利かなくなり、思うようにスイングできないので注意してください。


(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)

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