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第20回 ミドル処理を究める!(加藤美優)

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今回の達人 加藤美優(日本ペイントホールディングス)
勝つためのテクニックを達人がレクチャーする「究める」シリーズ。今回は、加藤美優選手(日本ペイントホールディングス)がミドルに来たボールに対するバックハンドドライブを究めるためのポイントを伝授する。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています


 ミドル(右腰のあたり)は、フォアハンドとバックハンドのどちらで対応するべきか判断に迷うため、相手に狙われやすいコースだ。したがって、試合で勝つためにはミドルに来たボールへの対応を磨くことが必須になる。
 第18回では浜本由惟選手(木下グループ)がミドルに来たボールをフォアハンドドライブで対応するときのポイントを教えてくれた。
 今回は、正確無比なバックハンドで世界卓球2019ブダペスト女子シングルス日本代表の座を手にした加藤選手が、バックハンドドライブでミドル処理するときのポイントを教えてくれる。

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達人からのアドバイス
 ミドルに来たボールへの対応を鍛えることは、ピッチの速い女子の卓球で勝つために必須です。
 ミドルに来たボールはフォアハンドで対応すると打球に威力を出しやすいですが、女子のラリーはバック側半面を細かく速いテンポで突かれることが多いので、フォアハンドを使うことが難しいケースも多々あります。そのときのために、ミドルに来たボールに対するバックハンドを身に付けることは欠かせません。 
 
 バックハンドはフォアハンドに比べると威力は出しにくいですが、その半面、動作がコンパクトなので早い打球点を捉えることができます。しかも、速いラリーでミドルを突かれても体勢を崩されにくいことが、ミドルをバックハンドで対応するときのメリットです。
 今回は、バック側でバックハンドドライブした後、ミドルに来たボール(ロングボール)に対してバックハンドドライブするパターンを例に挙げて、ポイントをお話しします。

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達人からのアドバイス
 バック側に来たボールをバックハンドドライブした後、ミドルに送られてきたボール(ロングボール)に対してバックハンドドライブで対応すると判断したら、右足を素早くフォア側へ運ぶことが先決です。右足をフォア側へ運んで体をミドル寄り(センターライン付近)に移動させると、体の正面近くでバックハンドドライブできるので、打球の安定性が高まります。このとき、腕だけを伸ばそうとすると打球位置が体の正面よりかなり右の方になってしまい、打球を安定させることが難しくなるので注意してください。
 右足をフォア側に運ぶときは、単に右足だけを動かすのではなく、左足を小さくフォア側に動かしてから、右足をフォア側へ動かすようにしましょう。左足の小さな動きをきっかけにすると、右足をフォア側へ素早くスムーズに運びやすいでしょう。

 右足を運びながらわきを空けてひじを体から離し、バックハンドドライブのバックスイングを取ります。
 このケースでバックスイングするときは、ラケット位置が低くなってしまいがちですが、そうなるとスイングが下から上になり、打球が浮いたりオーバーミスしたりしてしまいます。この注意点を踏まえて、バックスイングではラケットを低く下げすぎないよう意識してください。

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達人からのアドバイス
 右足をフォア側に運びながらラケットを高めに構えてバックスイングしたら、斜め上にスイングしてバックハンドドライブします。
 このケースでは時間の余裕があまりないので、ラケットを大きく振って強いボールを打とうとすると打球が安定しません。ほんのちょっと振るくらいのイメージで、コンパクトなスイングで正確に打球することを第一に心掛けてください。

 このケースでスイングするときは、体のバランスを保つことも重要なポイントです。
 ミドルをバックハンドドライブするときは頭が右に傾きやすく、それに伴って体のバランスが崩れてしまいがちですが、そうなると思うようにスイングできません。頭の位置が左右に傾かないように注意し、体のバランスを保ってスイングしましょう。

 打球点は、ボールのバウンドの頂点より少し前の高いところを捉えることがポイントです。高い打球点を捉えると打球の軌道が直線的になるので、コンパクトなスイングでも効果的なボールを送ることができます。特に、このケースでは体勢が詰まって打球点が低く(遅く)なりがちなので、ラケットを高い位置から振り出すことを心掛けて高い打球点を捉えてください。
 打球した後は右足で軽く踏ん張って体のバランスを保ち、次のプレーに備えましょう。


(取材/文=猪瀬健治 写真=岡本啓史 動画=小松賢)

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