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【特別企画】 張本きょうだいのバックハンド① 
ロングボールに対するバックハンドドライブ

 張本智和(智和企画)と張本美和(木下アカデミー)のきょうだい共演がついに実現!二人の最大の武器であるバックハンドにフォーカスした特別企画をお届けしよう。
 兄・智和のバックハンドはなぜあんなに鋭いのか? 妹・美和のバックハンドはどうしてミスが少ないのか? そのヒントが詰まったこの特別企画を、ぜひバックハンドのレベルアップに役立ててほしい。
 全4回でお届けする1回目は、基本となるロングボールに対するバックハンドドライブで大切にしているポイントを二人に聞いた。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーをモデルにしています

日本期待の張本きょうだいがバックハンドの秘訣(ひけつ)を明かす特別企画がスタート!

バックハンドは僕のプレーの生命線(張本智和)
バック対バックが多い女子では大事な技術(張本美和)

--具体的なポイントをお聞きする前に、自分の中でバックハンドをどう捉えているのか、それぞれお聞かせください。

張本智和(以下、智和) 僕のプレーの生命線です。バックハンドの調子によって勝敗が左右するといっても過言ではないので、僕の中で1番大事な技術ですね。

張本美和(以下、美和) 女子選手の試合はバック対バックの展開がすごく多いので、バックハンドはとても大事だと思います。

--お互いのプレーを見ることがあると思いますが、美和選手から見て智和選手のバックハンドはどういうところが参考になりますか?

美和 やっぱり、スピードが速いですし、威力もあります。それにプラスして回転もあるので、本当にすごいと思います。

--智和選手から見て美和選手のバックハンドはどうですか?

智和 ミスが少ないのが1番印象的で、ミスがない中でもチャンスがあれば一撃で仕留める力もあるので、本当にバランスの良いバックハンドだなと思います。

美和 ありがとうございます(笑)

張本智和のロングボール対するバックハンドドライブ

tomokazu_racket.pngとにかく手首を前に振る!それだけです(張本智和)

--それでは、ロングボールに対するバックハンドドライブで心掛けているポイントを、智和選手から教えてください。

智和 基本のバックハンドドライブは、シンプルに手首を動かします。特に自分は、「手首を前に、もっと前に」というイメージで振っているので、その分、打球にスピードも出ますし、安定もします。バックハンドドライブで心掛けているのは、「手首を前に振る」、それだけです。

--指にはどのように力を入れていますか?

智和 指のことは全然考えていません。とにかく、手首全体で手首を前に回すイメージで打球しています。

--手首以外に、肩や前腕(ひじから先)の動きなどで意識していることはありますか? 

智和 何もないです。本当に手首だけです。肩もひじも足も意識していません。手首で(打球位置を)合わせて手首で振る感じです。

--手首を重視する理由を教えてください。

智和 もともとバックハンドはすごく得意でしたが、一時期バックハンドが入らなくなったときがありました。そのときに肩を大きく使ったり、余計な力が入ったりしていたので、そこでもう1回あらためて手首だけを意識したら、より良くなりました。それからは、もう手首以外は考えないという感じになりました。

--バックハンドでは「体の正面で捉える」というセオリーがありますが、その意識はありますか?

智和 全く意識していません。ミドル(右腰のあたり。正面よりもフォア側)にボールが来ても意識するのは手首だし、バック側の厳しいコースに来ても手首です。体で合わせようとは思っていなくて、感覚です。
 フォアハンドとは真逆ですね。フォアハンドは体を全体的に使いますが、バックハンドに限っては、ストップにしてもチキータにしても前陣でも下がっても、意識しているのは手首だけです。

張本智和のロングボールに対するバックハンドドライブ


 ロングボールに対するバックハンドドライブでは、「手首を回すこと以外は意識していない」と智和は明言したが、もちろんこれは、姿勢やスイング動作などの前提がしっかりできているからこその発言だ。
 やや深めの前傾姿勢やフリーハンド(左腕)の位置、両足のひざを軽く伸ばしながらスイングしている点などを連続写真でよく見た上で、智和が明かしてくれたポイントを参考にしてほしい。

張本美和のロングボールに対するバックハンドドライブ

tomokazu_racket.png回転をかけて安定性を重視します(張本美和)

--ロングボールに対するバックハンドドライブで心掛けているポイントを教えてください。

美和 自分は台に入れる安定性を重視しているので、ラケットを伏せて回転をかけて、ラケット(打球面)をしっかり(打球方向へ)向けることを意識して打球しています。

--試合を拝見するとボールが深い印象がありますが、そのあたりは意識していますか?

美和 遠くへ飛ばそうと意識はしていませんが、回転をかければ伸びると思うので、それ(回転)を意識すると自然とボールが深くなるんじゃないかなと思います。

--打球するときは、ボールを強くこするイメージですか?

美和 そうですね。指と手首を中心にラケットを動かしてボールをこすり、回転をしっかりかけるイメージです。

--指導者からのアドバイスで特に参考になったものを教えてください。

美和 「どこのコースへ打つときでもタイミングを合わせてリラックスして打つ」というアドバイスが、これまでで1番響いたというか、今に生きているかなと思います。

張本美和のロングボールに対するバックハンドドライブ


 感覚的な兄・智和とは対照的に、安定性を重視して回転をかけることを意識しているという美和。智和に比べてフォロースルー(打球後のラケットの動き)で打球面が立っているのは、回転をしっかりかけて打球しているためだ。
 スタンス(足の構え)にも注目してほしい。二人の連続写真を見比べると、美和は、智和と比べると平行に近いスタンスで打球していることが分かる。女子は男子よりもバック対バックのラリーが長く続く傾向があるため、よりバックハンドが振りやすいよう平行に近いスタンスにしているのだろう。このスタンスも、バックハンドの安定感をもっと高めたいと考えている選手に参考にしてほしいポイントだ。

 次回は、張本きょうだいの重要な得点源になっているストレート(右利きの相手のフォア側)へのバックハンドドライブにスポットを当てる。

↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート)

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