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「ピンポン・パーキンソン」のネナド・バック氏が会見

「ピンポン・パーキンソン」として活動するネナド・バック(Nenad Bach)氏が、世界卓球2019ブダペスト期間中の4月23日にブダペストで会見を行い、自身の症状と「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」について語った。写真右端がネナド・バック氏、左端が国際卓球連盟のトーマス・ヴァイカート会長、中央はITTF基金ディレクターのレアンドロ・オルベック氏。

 ネナド・バック氏はクロアチア出身のミュージシャンだ。彼のアルバムは1980年と1988年にヨーロッパでベストアルバムとなった。1984年からはニューヨークに在住しており、現在65歳だ。
 さて、ネナド・バック氏は、パーキンソン病になったことで、音楽活動ができなくなっていった。3年前には指先に障害があらわれ、震えが止まらずにギターが弾けなくなり、まっすぐ立つことも、声を出すことすら困難になってしまった。だが、時々卓球をするようになってから、症状に改善の兆しが見えた。卓球をするのは、最初は週に1回だったが、頻度を増やしていったところ、症状は明らかに改善し、なんとギターが弾けるまでに回復。まっすぐ立てるようにも、声も出せるようになったという。
「右手にひどい症状が出ていて、スープすら飲めない状態だった。けれど、卓球を始めて6か月でライブができるようになった」とネナド・バック氏。

 昨年の世界卓球2018ハルムスタッド期間中、ネナド・バック氏は自身の症例を報告し、ギター演奏(弾き語り)を行って、いかに回復したかを実地に披露した。そして、ネナド・バック氏自身の経験をもとに、パーキンソン病への理解を促し、卓球を通じてパーキンソン病患者の健康状態を改善することを目的とした「ピンポン・パーキンソン」という活動を始めた。
 これに対し、国際卓球連盟はITTF基金(卓球を通じて主に開発途上国や社会的弱者、少数派、難民などを支援するための基金)により「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」を開催することを決定。「第1回パーキンソン世界卓球選手権大会」は、2019年10月11日から13日まで、ニューヨークのプレザントビルにあるウェストチェスター卓球センターで開催される。
 国際卓球連盟のトーマス・ヴァイカート会長は「ITTF基金の柱のひとつは健康。昨年ハルムスタッドでお会いし、何か協力できないかと考えた」と述べた。
 また、国際卓球連盟のスティーブ・デイントンCEOは「昨年のハルムスタッドで忘れられない経験をした。我々が協力できる第一歩となった。最初の世界卓球を楽しみにしている」と述べている。

 パーキンソン世界卓球の参加人数などの規模は未定だが、すでに数十人の参加希望があるという。要項は後日、国際卓球連盟のサイトに掲載される。

取材=寺本能理子 まとめ=川合綾子

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