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インターハイ三冠王渋谷浩が見た総社大会<4> 男子学校対抗決勝

【男子学校対抗決勝】

■愛工大名電(愛知) 3-1 野田学園(山口)

 トップの沼村と田中は、沼村が初めからエンジン全開で、両ハンドの上から叩きつけるようなボールを打っていて、途中田中にカウンターブロックなどを決められる場面もありましたが、最後まで貫き通したところがよかったですね。沼村は前陣でプレーする田中を打ち抜いたという形です。田中は沼村を下げようと、遠いところ遠いところを狙ってワイドに打ち分けていましたが、沼村はよく対応していました。いい試合でした。
 2番もいい試合でした。木造も竹﨑もお互いによく頑張りました。勝敗を分けたのは、終盤で木造が竹﨑のフォア側を連続で攻めて、打ち抜いたラリーです。竹﨑は戻ろうとするところをフォア側に2度突き、3度突きされる形で苦しめられました。フォアサイドに振られるとどうしても、空いたバックサイドに意識が行くので、それを利用してフォアに連続攻撃すると効果的です。途中、竹﨑のアクシデントもありましたが(鼻血)、試合にはそれほど影響していなかったと思います。
 3番のダブルスは愛工大名電ペアが強さを見せました。野田学園の卓球は吉村真晴の頃から引き継いでいますが、前陣の早い打球点でバックドライブを打ちます。野田学園ペアに対しては、まともにストライクゾーンにボールを送ってしまうと一発を食らうので、そこを何とか外そうとして、台上でかき回すようなプレーで名電ペアが相手にいい形にさせないようにしていました。木造は台上のボールを逆モーションでバックサイドに振るなど効果的なプレーが見られました。松山はストップを多用して、バックドライブを防いでいました。野田のペアはそこで無理をしてミスを誘われたという形になりました。チキータにも絶対の自信を持っていたと思いますが、少し使いすぎたかなという印象です。もう少しバリエーションを増やして、相手の予測を外すようなプレーがあってもよかったですね。名電ペアは野田ペアがバック待ちしているのを利用して、わざとタイミングを外してバックに持っていく、逆モーションでバックに持っていくなどして、ミスを誘っていたのはうまかったです。少しタイミングがずれる、少しコースがずれる、少し体勢が崩れるだけで、気持ちよく打てない。そういう戦い方を徹底していました。
 4番は、伊丹が3ゲーム目の序盤までいい試合をしていましたが、自分からミスするような展開になってしまいました。ここで崩れたのが勝負を決めました。4ゲーム目は松山が手堅いプレーでバックハンドでは得点は狙わず、フォアハンドにつなげるというプレーをしていました。回転量とスピードのあるボールをいかにたくさん相手コートに打ち込んでいくかというシンプルな攻めが効いていました。そこで伊丹と自分のプレースタイルの違いを出して、ハイリスクハイリターンの伊丹のミスを誘い、失点せずに得点させず、フォアハンドで確実に取りに行くという松山の持ち味を出していました。
 大会を通して、愛工大名電の強みはどこからでも点を取れるというところです。オーダーを見て、選手自身がここは勝てる、ここは負けそう、何対何で自分に回ってくるななどと計算するのは本当は御法度なんですが、人間である以上はどうしても考えてしまうものです。しかし、名電の場合はそれを考えなくていい。基本的にはみんな勝ってくる。だから、プレッシャーなく戦えるという大きな武器になります。
 敗れはしましたが、野田学園のちょっと考えられないようなバックハンドでライジングカウンターで一発で抜き去るようなプレーは見ている人も驚かせます。他のチームとは違う練習をしているのでしょう。
 最終日は選手たちも疲労が残っていると思いますが、気力を振り絞って頑張ってほしいです。

 

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渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
第52回インターハイ名古屋大会(1983年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス2位、男子ダブルス優勝
第53回インターハイ横手大会(1984年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
第54回インターハイ鶴来・野々市大会(1985年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
 

 


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試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
平成28年度全国高等学校総合体育大会:http://www.koukousoutai.com/2016soutai/
全国高等学校体育連盟卓球専門部:http://www.koutairen-tt.net/

今大会の模様は卓球レポート10月号(9/20発売)に掲載。

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