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インカレ ~男子は専修大が28年ぶり、女子は早稲田が3年連続のV~

平成30年7月12~15日まで墨田区立総合体育館(東京)で、第88回全日本大学総合選手権大会(団体の部)、通称『インカレ』が開催された。大学のチーム日本一を決める熱い戦いが繰り広げられ、男子は専修大が28年ぶりの優勝、女子は早稲田大の3連覇で幕を閉じた。

【男子は専修大が28年ぶりとなる念願のV】

専修大男子は28年ぶりの栄冠

田添は好調の龍崎を振り切って先制点

三部は強打の出雲を安定感で上回った

郡山/及川のアグレッシブなプレーで優勝を決めた
【男子決勝】
 専修大 3-0 明治大
○田添 9,5,-9,-8,4 龍崎
○三部 8,-7,9,5 出雲
○郡山/及川 5,10,-5,8 渡辺/龍崎
 及川 − 渡辺
 郡山 − 酒井
 決勝は3連覇を目指す明治大と28年ぶりの王座奪還を狙う専修大で争われた。
 明治大は準決勝で愛知工業大と一進一退の攻防を繰り広げたが、龍崎と渡辺が単複で得点を挙げ、難敵を退け決勝へ。専修大は筑波大のエース坪井に三部が敗れるも失点をしっかりと1に抑えて決勝進出。両者の決勝での対戦は3年連続となった。
 決勝進出の立役者となった龍崎だが、田添のどこからでも一発で決めることができる鋭い両ハンドに苦しみ、0対2に。追い詰められた龍崎は粘りのプレーで田添に追いつくが、監督が「心が成長した」と語るように、ぶれないプレーを貫いた田添が最終ゲームをものにして専修大が先制点。

 2番は出雲の前陣プレーに対して、自分も下がらずにミスの少ない両ハンドで対応した三部が貴重な2得点目を挙げ、早くも専修大が優勝に王手。ここで決めたい専修大ペアはアグレッシブなプレーで高い打球点からチャンスを逃さず先手を取り、2ゲーム先取。明治大ペアも意地を見せて1ゲームを返したが、優勝への強い思いで最後まで思い切ってプレーした郡山/及川が渡辺/龍崎の力を上回り、4ゲーム目を11−8とし、専修大が28年ぶりとなる念願のインカレ優勝を決めた。
選手たちがベンチに戻ると、高宮監督だけでなく、中学校高校と何度も日本一を経験している三部の目にも、念願の大学日本一のタイトルを手に入れた喜びの涙があふれた。

■高宮啓監督のコメント
「今年、専修大学の90周年祝賀会をやらせていただいて、多くの方から期待と応援をいただいていたので、このような形で結果が出て恩返しできたかなと思っています。
 明治大学さんのオーダーは予想通りでした。明治大学さんと愛工大さんは隣の台でやっていて、すごい試合をしていたので、明治大学さんはそこでだいぶ神経を使ったんだじゃないかと思います。準決勝直後の決勝戦でしたし、そうしたことも含めて今大会、運があったのかなと思っています。
この1年は、田添は本当に成長したなと思います。昨年からブンデスリーグに参戦して、言葉の通じない海外で一人で生活して、という経験をさせてもらったことによって自立心も出ましたし、ブンデスリーグで多くの試合をこなすことで、そこでの経験がいろいろなところで結果に繋がっていると思います。全日本でもランクに入ったり、技術的にものすごい成長しましたし、心技体の心の部分が成長したと思っています。
2年連続決勝に進出しながら、優勝には届きませんでしたが、今年も優勝を狙える十分な戦力はあったので、今年こそは優勝したいと思っていました。郡山、田添は4年生なので、このチャンスは絶対に物にしたいという気持ちでした。
 明治大学さん、愛知工業大学さん、早稲田大学さんら含めて、よきライバルに恵まれて、専修大学の選手たちも己を高められたんじゃないかと思っています。このライバルたちがいなければできない努力だったと思うので、ライバル校に次こそは勝ちたいという勝利への飢えというのが、今回の準決勝、決勝で力を発揮できた要因じゃないかと思います」



渡辺(左)/龍崎の明治大ペアは愛工大戦で奮闘したが......

吉村は酒井に勝利し先制点を挙げるもダブルスで失点

筑波大のエース坪井は後輩の三部から得点を挙げた


 3連覇を狙った明治大だが、愛知工業大との準決勝で力尽きたか、決勝では精彩を欠いた。しかし、名門校ならではの苦しい場面での踏ん張りはさすがと思わされる場面が何度もあった。
 3位の愛知工業大はエース吉村に、木造、髙見の1年生が新戦力として加わったが、安定して実力を発揮し続けるにはまだ経験不足の面も見られた。筑波大は準々決勝で中央大を激戦の末に破りベスト4入りを果たした。


【女子は早稲田大が3連覇】

早稲田大女子は3連覇の偉業を達成

2番の阿部が踏ん張りを見せて1対1に

岩越(左)/笹尾の1年生ダブルスが勝利し王手

ラストは鎌田が決勝点を挙げた!
【女子決勝】
 早稲田大 3-2 中央大
 徳永 -8,-7,-3 森田○
○阿部 8,14,8 山本
○岩越/笹尾 6,8,-7,6 秋田/森田
 笹尾 -4,9,11,-9,-8 梅村○
○鎌田 7,5,5 中澤

 決勝は3連覇3度目の優勝を目指す早稲田大と19年ぶりの王座奪還を狙う中央大で争われた。早稲田大はここまで準々決勝の青山学院大戦で、1対2と追い込まれる敗退の危機をしのいで決勝まで勝ち上がってきた。対する中央大は、準々決勝で國學院大に3対0、準決勝で日本大に3対0と比較的苦しまずに決勝進出を果たした。
早稲田は1番に徳永、2番に阿部とエース格の4年生を前半に起用。対する中央大は徳永に強い森田がトップで先制。2番は阿部が2ゲーム目のジュースをしのいで、勝負強さを見せストレート勝ち。
どちらのチームも喉から手が出るほどほしいダブルスの1点は、岩越/笹尾の1年生ペアが、岩越のコース取りの良さと笹尾の決定力で秋田/森田を上回り早稲田が優勝に王手。
 4番の笹尾対梅村は競り合いとなるが、最終ゲーム8対4とリードした笹尾が優勝を決めるかと思いきや、プレッシャーからかスイングが鈍くなり、その隙を見逃さなかった梅村が7連続得点で大逆転がち。ラストのたすきをつないだ。
 ラストは青学戦で決勝点を挙げた鎌田が、優勝、そして、3連覇のプレッシャーをはねのけて伸びやかにプレー。思い通りにプレーできない中澤を圧倒し、自身1年生から続く3度目の優勝を決めた。

■川田雄二監督のコメント
「初めての監督でプレッシャーはありましたが、3連覇できてよかったです。チームは主将の徳永がよくまとめてくれて本当に頑張りました。その結果だと思います。
 関東学生が終わってからは、インカレのための練習はしていませんでしたが、常日頃から頑張っているのでその成果かなと思います。
 早稲田大学としてWAP(Waseda Athlete Program)というのがあって、これは4年間で卒業しなくてはならないなどのルールなどが決められています。そういう授業最優先の厳しい環境の中で、それぞれが時間をつくって、練習相手を探したりしながら、また、男子部員に相手をしてもらったりしながらやってこれたのもよかったのかと思います。
 ダブルスは、岩越/笹尾も関東でベスト8に入っていて、リーグ戦でも勝利を挙げています。青山学院さんと中央さんのときは徳永/阿部が相性がよくなかったので、1年生ペアを起用しました。2つのダブルスがあったのもうちの強味になっていたと思います。
 徳永のまとめたチームだったのでトップで徳永に出てもらって、森田さんには分が悪かったので、残念でしたけど、全員で勝とうと言ってきたので、トップをしっかりと試合をしてくれたことで後に続いたかなと思います。阿部も、1年ダブルスも頑張って、笹尾はちょっと最後で挽回されましたが、鎌田もラストで頑張ってくれました。厳しい場面で回ってきましたが、いつも通りの卓球をやってくれたのでよかったです。
 次は秋のリーグ戦優勝を目指しています。4年生は抜けますが、『早稲田に入って強くなる』を目標に練習していますので、来年以降も頑張ってくれると思います」



森田は分のいい徳永に勝利し中央大が先制

梅村は最終ゲームで4−8から笹尾に逆転勝ち

神戸松蔭女子学院大の吉田(左)/打波は岩越/笹尾に競り勝った

日本大の奥下はポイントゲッターとしてベスト4入りに貢献


 2位の中央大は、ルーキーの梅村の加入で得点力がアップした。決勝では笹尾との1年生対決に勝利するなど、今後もチームの主軸としての活躍が期待される。
 神戸松蔭女子学院大は準々決勝で愛知工業大に競り勝ってベスト4入り。全員で3点を取るスタイルの団体戦に強いチームだ。日本大は2回戦で東京富士大、準々決勝で大正大と5番までもつれる接戦を連破してベスト4入り。3年生の奥下がポイントゲッターとして単複で活躍した。


日本学生卓球連盟:http://www.jsttf-takkyu.com/
関東学生卓球連盟:http://www.kanto-sttf.jp/

(写真/文=佐藤孝弘)

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