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2018年世界ジュニア 田㔟ジュニア男子監督「日本はチキータに頼りすぎた」

世界ジュニア選手権オーストラリア大会4日目は、男女団体の決勝が行われた。日本男子は随所にチャンスを見出しながらも中国にストレートで敗れ2位。田㔟邦史監督に決勝を振り返ってもらった。

wjc181206-02.jpg攻撃だけではなく、いろいろな点数の取り方を覚える必要があると田㔟監督


 中国の徐瑛彬がアジアジュニア選手権大会でエースで出ていて、今大会も2試合ともエースで出ていたので、おそらく決勝でも徐瑛彬がエースだろうなと予想しました。アジアジュニアでは宇田が団体戦で1対0の10-9とリードしていて負けたり、シングルスでは3対1でリードしていてゲームオールジュースで負けたりなど、いい勝負はしていたので、前半で宇田と徐瑛彬を当てようと考えて、決勝は田中をエースにして宇田を2番にしました。
 田中もアジアジュニアで徐瑛彬に2対3(最終ゲームは9-11)で負けていたので、徐瑛彬から2点取るつもりで、前半まず宇田対徐瑛彬で勝負して、前半でまず1点取って中国にプレッシャーをかけたいと思いました。

 1番の田中は于何一と対戦しましたが、決してやりづらい相手ではありませんでした。ただ、YGの長いサービスを出されてから少しチキータにいきづらくなったのかなというのはありますね。それで少しサービス・レシーブから崩れ始めました。1対0の10-9で、YGのロングサービスを出されて3球目を決められて10-10。田中がサービスを持ったときに、真ん中にポンと流しがゆっくりときたときにそれを空振りしてミス。3ゲーム目から少し真ん中(ミドル)からフォア側を攻められるようになって、嫌なところを攻められて、戦術の組み立てやリズムが少し悪くなったかなというのはあります。サービス、3球目やレシーブの得点率が悪くなっていったと思います。

 昨日、試合が終わって3人に話しましたが、3人とも、もしくは日本の卓球がそうなのかも知れませんが、少しチキータに頼りすぎているところがあると思います。今はみんなチキータ処理がうまくなってきているので、あまりチキータにこだわらなくていいと思います。昨日は、チキータをさせられて、台から距離を取られてという展開が見受けられました。そこで、ストップはもちろん選択肢の一つですが、そのストップがうまくいかない。みんなチキータをしようとしてバックハンドの構えで入るので、バックでのストップはできますが、フォアでのストップができないというのも課題だと感じました。

 例えば、昨日の田中がそうでしたが、フォア前にショートサービスとバック側にロングサービスを出されたときに、やはりフォア前はフォアで処理しなくてはいけないし、宇田もその2点にサービスを出されたときにはフォアでのレシーブ技術を覚えなくてはならないですね。戸上も含めて、フォアでのレシーブ技術が少し足りなかったと思います。
 中国を見ていると派手なプレーもなければ、特別攻撃的でもないですよね。彼らが将来世界のトップに立つかどうかは分かりませんが、決勝の差は中国の方が「なんでもできた」ということだと思います。サービスもそうだし、レシーブもストップ、チキータ、ツッツキができて、ブロックもカウンターもできる。それと比べると、日本選手はチキータと自分から攻撃するだけだったので、ツッツキやフリック、流し、ブロックなどが全体的に足りなかったと思いますね。

 2番の宇田はアジアジュニアの決勝でも徐瑛彬と対戦していますが、世界ジュニアの決勝ということで固くなった部分は間違いなくあると思います。ただ、緊張するのは当然のことなので、そうなったときにこそ自分のプレーをしてほしいと思いました。徐瑛彬も宇田がチキータをしてくるのは分かっているので、少しサービスを縦回転で切ってきたり、チキータをさせないようなサービスの組み立てをしてきました。そこでこちらがチキータをせずにストップをしようと思ったときに、ストップがうまくできない。うまく攻められたとは思いますが、ストップは大切な技術なので、そこが課題だと思います。
 宇田は自分からの攻撃のミスも少し多かったので、準々決勝、準決勝よりも調子はよくなかったのかと思います。自分から攻撃をしかけることはもちろんいいのですが、それにはリスクが伴うので、その確率を上げていかなくてはならない。そのためにはプレースタイルを見直さないと、本当のビッグゲームになったときには難しいと思います。

 3番の戸上は、実力や技術面の課題が多く残ったと思います。戸上は前半6-1までリードしましたが、縦回転系のサービスに変えられて、そのレシーブ処理がうまくいかなくて、そこでの切り替えが少し遅かったですね。スコア的には11-13、9-11、9-11ですが、内容的には相手の方が少し余裕持ってたんじゃないかと思います。自分の得意なパターンでいけるときはいいんですが、今のところ一つのパターンしかないので、そのパターンを崩されたときに、自分の引き出しをもっともっと多くしていかないといけないと思います。ただ、いい経験にはなったと思います。
 国内だと、やり慣れているという部分があるので、対戦相手の情報がたくさんあります。でも国際大会で情報がない選手もいる。そうしたときのためにも自分の対応能力を身に付ける必要があると思います。

 (決勝では3人とも決定打を返されるようなシーンがしばしばありましたが)宇田はいいボールは打っていましたが、相手がいるところに打っていたらもちろん取られます。今は高いボールは(判断をせずに)強く打つという感じだと思うので、打った後に返ってくることを想定して、どれくらいの力でどのコースに打つのかを考えなければならない。今は、高いから打つ、それで返ってきたら驚いているような状況なので、どのコースにどれくらいの力で打てばよいのか、そして、どのコースにどんなボールが返ってくるのか、それを打つ瞬間に判断して打てるようにならないと、次の準備はできるようにならないでしょう。戻れといわれれば、戻ることはできると思いますが、戻るためにもその前のボールをどのように打つのかというのが非常に大事なので、打つ瞬間の一瞬の判断力が必要ですね。
 そういう部分を磨くために、若いときから国際大会を経験させようという方針があります。試合だけではなく生活面も勉強になることはたくさんあるので、いいシステムだと思います。あとは、合宿の中でビデオを見て学んだり、私たちが選手に言い続けなくてはならないのですが、聞いたり映像を見ただけで理解できる物ではないので、やはり、体験が必要です。選手には高い意識を持って、国際大会に目を向けてほしいと思います。

 決勝では、日本のスタイルとして、少し攻撃的になりすぎたところがありました。日本の選手がリスクを負わされてミスを誘われる場面はありましたが、こちらがミスを誘うようなプレーは少なかったので、そこもジュニアの課題だと思います。今は卓球も速くはなってきていますが、速いというところにだけ頭が行き過ぎている部分が少しあるのではないかと思います。例えば、(張本)智和のバックハンドが速いと言いますが、智和のバックハンドがすべて速いわけではなく、ブロックもうまいし、ボールをしっかり選んで対応している。その選球眼が優れているので、リスクを冒して速さだけを追求するようになると危ないのかなとという気がしています。智和には速いボールもあれば、伸ばすボールもブロックもある、いろいろな技術があって、いろいろな点数の取り方をしているというところを参考にしてもらいたいですね。そのためにもこの試合に出た日本のジュニアのトップの3人が新しいスタイルをつくっていくことが課題だと感じています。



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