LION卓球ジャパンオープン荻村杯札幌大会が北海道札幌市の北海きたえーる(北海道立総合体育センター)で開催。
最終日は男子シングルスの準決勝、決勝が行われ、許昕(中国)が優勝。許昕は混合ダブルス、男子ダブルスと合わせて三冠を獲得した。
●男子シングルス決勝
許昕(中国) 9,12,-8,3,8 林昀儒(中華台北)
●男子シングルス準決勝
林昀儒(中華台北) -6,2,4,9,4 孫聞(中国)
許昕(中国) -5,4,7,-5,-6,8,3 樊振東(中国)
男子シングルス決勝は、準決勝で樊振東(中国)を倒した許昕と、新鋭・林昀儒(中華台北)との対戦になった。
ここまで、林高遠(中国)やカルデラーノ(ブラジル)、孫聞(中国)ら強敵を倒して勝ち上がってきた林昀儒の非凡なプレーが許昕にどこまで通用するのか注目が集まったが、質の高いラリーが続く好試合になった。
世界一とも称される変化サービスから、これまた世界一のフォアハンドドライブで攻め込む許昕。一方、許昕の豪打に対し、読みとボールタッチのよさをベースにしたブロックやカウンターで応戦する林昀儒。
場内がどよめくようなスリリングなラリーが随所に繰り広げられたが、パワーと経験で序盤の競り合いを物にした許昕がゲームカウント4対1で林昀儒を下し、優勝を決めた。
許昕は先に行われた混合ダブルス、男子ダブルスと合わせて三冠を獲得。「今は疲れているけれど、三冠を獲得できて嬉しいし、楽しかった。東京オリンピックでも三種目(男子団体のダブルス、男子シングルス、混合ダブルス)に出場する可能性があるので、力をしっかり保っていきたい」と試合後の許昕。
日本にとって歓迎すべきことではないが、今回のジャパンオープン札幌大会は、来るべき東京五輪に向けて許昕の自信をさらに上乗せする「許昕の大会」になったといえよう。
一方、敗れた林昀儒も強烈なインパクトを残した。どんなに速くて難しいボールでも打ち返せてしまう非凡なセンスに加え、サービスが抜群にうまく、フットワークも素晴らしい。本来の持ち味である速さを生かせない許昕のようなタイプと対戦しても、競り合える対応力も見せた。まだ線が細くてパワー不足はいなめないが、これから体ができて経験を重ねていけば、林昀儒が日本を含む世界にとって大きな脅威になることは間違いない。
張本智和、李尚洙(韓国)、梁靖崑(中国)を倒し、今大会のシンデレラボーイ的存在だった孫聞(中国)は、林昀儒に敗れた。長短の分かりにくいサービスに加え、打っても打ってもブロックやカウンターで返してくる林昀儒のプレーに打開策が見いだせなかった。
快進撃は準決勝でストップしたが、日本のみならず世界的にも知名度が低かった孫聞の活躍は、自身の存在を大いにアピールしたと同時に、中国の層の厚さを物語っていた。
昨日、馬龍(中国)を破り、優勝を目指した樊振東(中国)だったが、許昕との激戦に敗れた。
試合は樊振東のレシーブがうまくいけば樊振東、うまくいかなければ許昕という構図でゲームオールまでもつれる接戦になったが、最終ゲームは許昕の思い切った裏面カウンターや回り込みフォアハンドドライブに引き離され、追いつけなかった。
卓レポ.comツイッター:https://www.twitter.com/takurepo/
なお、詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
ITTF(国際卓球連盟):https://www.ittf.com/tournament/5005/2019/2019-ittf-world-tour-japan-open/
(写真=佐藤孝弘、文=猪瀬健治)