世界卓球2025ドーハ(個人戦)が5月17日〜25日までカタールのドーハで開催される。ドーハでの開催は2004年以来2度目で、個人戦は今回が初開催。
大会8日目の5月24日(土)は男子シングルス準決勝が行われ、王楚欽(中国)がモーレゴード(スウェーデン)を、カルデラーノ(ブラジル)が梁靖崑(中国)をそれぞれ下し、決勝へ勝ち進んだ。
※写真はカルデラーノ(ブラジル)
王楚欽(中国) -5,8,2,10,10 モーレゴード(スウェーデン)
カルデラーノ(ブラジル) 13,7,-8,8,-3,-7,9 梁靖崑(中国)
王楚欽(中国)対モーレゴード(スウェーデン)は、ゲームカウント4対1で王楚欽が勝利し、決勝へ勝ち上がった。
第1ゲームはモーレゴードが昨日の準々決勝で戸上隼輔を下した意外性のあるプレーで王楚欽をほんろうし、あっさり先制する。
立ち上がりで少し硬さが見られ、モーレゴードのプレーに面食らった様子の王楚欽だが、第2ゲームから本来の強さを発揮。長めのサービスやチキータで大きなラリーに持ち込み、モーレゴードのトリッキーなプレーの効果を減衰させると、持ち味の強烈な両ハンドで得点を重ねてペースを握る。第4、第5ゲームはいずれもジュースまでもつれるが、臆せずに両ハンドを振った王楚欽が物にし、4ゲームを連取して勝利。モーレゴードにパリ五輪での借りを返して、前回に続いて2大会連続で決勝へ進出した。
一方、パリ五輪でのリベンジを許し、2021年ヒューストン大会以来の決勝進出はならなかったモーレゴードだが、スコア以上に王楚欽に迫った。トリッキーな台上フリックや劣勢なラリー展開を一撃でひっくり返すバックハンドプッシュ、トリッキーさの裏に隠された精緻なストップなどを駆使するモーレゴードのプレーはオリジナリティーにあふれ、あらためて、その存在を世界に強烈にアピールした。
死闘。もう一方のカルデラーノ(ブラジル)対梁靖崑(中国)の準決勝は、そう呼んで差し支えない一戦になった。
試合は、昨日の準々決勝で南米に初の世界卓球のメダルをもたらしたカルデラーノが主導権を握る。強烈なバックハンドを軸とした猛攻で梁靖崑の堅陣をはじき飛ばし、ゲームカウント3対1と決勝進出に王手をかける。しかし、ここから、ミスの少なさを最大の武器とする梁靖崑が本領を発揮し、じわじわと追い上げを開始。丁寧な台上でカルデラーノのミスを誘い、2ゲームを奪い返して試合はゲームオールにもつれ込んだ。
思い返せば、両者は世界卓球では2021年ヒューストン大会の準々決勝で対戦しており、そのときは梁靖崑がゲームカウント0対3の劣勢から大逆転勝利を収めている。そのリプレイとばかりに、最終の第7ゲームの出足でカルデラーノが打ちミスを繰り返し、梁靖崑に0-3とリードを許す。第6ゲームの終盤から急にボールが入らなくなったカルデラーノの様子から、2021年ヒューストン大会同様、梁靖崑が逆転勝利を収めるかと思われたが、ここからカルデラーノが、本人いわく「魔法がかかったように」覚醒。0-3から梁靖崑のチキータを狙い打って1点を返すと、怒濤(どとう)の攻撃で10連続得点し、あっという間にマッチポイントを握る。
完全に勝負あったかに思われたが、ドラマはまだ終わらなかった。10-3でカルデラーノが少し雑に攻めて失点したのを機に、またしてもカルデラーノのボールが入らなくなり、今度は梁靖崑が6連続得点で10-9と追い上げる。
カルデラーノが逃げ切るのか。それとも梁靖崑が追い付くのか。形勢が目まぐるしく行き来する展開に場内が騒然となったが、最後はカルデラーノが梁靖崑のチキータをバックハンドで狙い打ち、死闘にピリオドを打って決勝進出を果たした。
勝ったカルデラーノは、決勝で王楚欽(中国)と激突する。ワールドカップではカルデラーノが王楚欽をゲームオールジュースで破っているが、その再現でブラジルに歓喜をもたらすのか。それとも、最強中国の盾・王楚欽がリベンジを果たすのか注目だ。
▼男子シングルス決勝の組み合わせ
カルデラーノ(ブラジル) - 王楚欽(中国)
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WTT:https://worldtabletennis.com/eventInfo?eventId=3108
(取材/まとめ=卓球レポート)




