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強化のフロントライン20 全日本卓球2019の評価① 大会全体の感想

〜宮﨑強化本部長に聞く日本の強化策〜
日本の最前線ではどのような強化が行われているのか。そのさまざまな方策について、日本卓球界の強化の長である宮﨑義仁強化本部長に聞く本企画。今回から、平成30年度全日本卓球選手権大会(以下、全日本)を視察した宮﨑強化本部長の評価や提言を取り上げていく。1回目は大会全体の感想を紹介しよう。


●日本と世界とでプレーに差がなくなってきた

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宮﨑強化本部長がベストゲームに挙げた男子ダブルス決勝の木造/張本(写真左)vs松山/高見

 全日本は日本中の卓球ファンやメディアが注目する一方、強化本部にとっても有力選手の状態を推し量ったり、新たな才能ある選手を見いだしたりする上でとても重要な大会です。
 今回から、全日本を視察した上での評価や感想を述べていきたいと思います。初めに、大会全体を通じて感じたことをお話ししましょう。

 今回の全日本では、世界選手権大会に出場しても十分通用するようなプレーが数多く見られました。
 男子はYGサービス(逆横回転系サービス)からの3球目攻撃や、精度の高いチキータとそのチキータを防ぐための駆け引きが繰り広げられており、女子も多彩な台上技術やチキータを積極的に使う選手が格段に増えるなど、種目を問わず、今回の全日本で勝ち上がった選手たちは世界のトップレベルと比較してもひけを取らないプレーでした。
 選手たちの攻防が、そのまま世界で勝つためのヒントにつながるようなプレーが会場のそこかしこで繰り広げられており、日本と世界との差がほとんどなくなっている印象を強く持ちました。そればかりか、全日本のプレーの方が、世界をリードしている部分も少なくなかったと思います。

 象徴的だったのは、木造勇人/張本智和(愛知工業大/JOCエリートアカデミー)と松山祐季/高見真己(愛知工業大)の男子ダブルス決勝です。
 この試合は木造/張本がゲームオール16対14で松山/高見に勝って優勝するという大変なクロスゲームでしたが、その内容も素晴らしいものでした。
 決勝の舞台に立った4人とも、レシーブから一撃で決めるチキータを身に付けているため、「相手のチキータをどう防ぐか」が勝敗のポイントでした。そして、試合の後半は、お互いがロングサービスを多用する展開になりました。
 私は長くオリンピックや世界選手権大会、全日本を見てきていますが、サービスのコースが限定されているダブルスで、あれほどロングサービスが使われた試合は記憶にありません。
 そのロングサービスも回転やコースが工夫されている上に、仮にロングサービスを相手に読まれて打たれたとしても、両ペアともしっかり打ち返す対応力を見せてくれました。

 現在の世界のトップ選手たちは、樊振東(中国)やオフチャロフ(ドイツ)、カルデラーノ(ブラジル)らに代表されるようにチキータの威力がすごい選手ばかりですが、彼らに対抗し、打ち破る可能性を十二分に感じさせる両ペアの戦いぶりだったと思います。


●切れ目ない才能の出現を印象付けた松島輝空、張本美和の活躍

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打球点の早いプレーでジュニア男子ベスト8入りした松島輝空

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張本美和は小4とは思えぬダイナミックなプレーで3種目に活躍

 今回の全日本では松島輝空(木下グループ)、張本美和(木下グループ)らホープス世代(小学生以下)の選手の活躍が話題を呼びました。
 松島は小学5年生でジュニア男子ベスト8入りし、張本智和に続く逸材であることを示しました。
 一方の張本美和も小学4年生にしてジュニア女子、女子シングルス、混合ダブルスの3種目で勝ち進み、その才能を知らしめたと思います。

 先に述べたように、プレーが世界のトップレベルとほとんど変わらなくなってきた今回の全日本において、小学生でありながら活躍した二人のポテンシャルは普通ではありません。
 日本が世界の頂点に限りなく近づき、追い越そうとしていることに加え、次世代の才能が切れ目なく続き、確実に育っていることを実感した今回の全日本でした。

 次回からは、種目ごとに活躍した選手や技術傾向などについて、評価や所見を述べていきたいと思います。

(取材=猪瀬健治)

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