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「卓球は血と魂だ」 第四章 四 今後の卓球畑をどう耕すか

四 今後の卓球畑をどう耕やすか

-オリンピック制覇と底辺開拓めざして…選手が強くなる道-

 「卓球はテニスやゴルフとは違います。卓球は強くなければダメです。日本の卓球の魅力は、卓球は世界制覇できるスポーツなんだ、という誇りがまだあるからです。世界での地位が落ちたんでは少年たちに夢がなくなります。選手の強化に全力をあげることが最重要課題です」と主張されるのは群馬県卓球協会の須田重三郎理事長です。

 日本の卓球人でこの意見に反対する人はいないでしょう。一九五二年の世界選手権ボンベイ大会、五四年(昭和二十九年)のロンドン大会で、日本が大勝を博した時、欧州の一部では「日本はスポンジや特殊ラバーで勝った」と皮肉る人々もあったけれども、世界の大多数は「日本選手は世界卓球界に新しい血をもたらした」「日本選手の真剣な試合態度とその強さには無条件で脱帽する」という声が上った。

 今日、一九八一年四月ユーゴのノビサド市で開催された世界大会では日本は遂に初の無冠となり、一九八一年は七種目のタイトル全部を中国が獲得、八三年は六種目中国、一種目ユーゴ優勝となった。これは過去二十年余の中国の国家選手とプロコーチ制度と国家援助の結果であり、自由な国の日本では国家の援助がないこと、アマチュアスポーツの限界があるというハンディキャップはあるが、しかし、日本独自の方法も考え、これらを克服することができないものでもあるまい。

 そのための基本的なことは、北海道から沖縄まで、日本中の熱心な指導現場の指導者たちが、質の高い目標をもつこと、そしてもう一段高い質の選手努力をさせることに研鑚錬磨しなければならない。

 日本の卓球技術は平均的には向上してきているのではあるが、ピラミッドの頂点が尖っていない。世界選手権の団体戦が、もし百人の選手達で戦うのであれば、日本は男女とも確実に決勝戦に出て、中国と対決できる立場にあるのだが、現実は男子三名、女子二名で世界の団体戦を争うのである。これで負ければ「日本は弱い」ということになるのである。

 卓球とかテニスとか個人の対決競技では、下手な相手と練習していたのでは上達は困難だ。強い選手が出てくればその練習相手もそのレベルまでついてくるのであって、一人の強者が奮闘努力して自己を高めることが、日本を強化することになるのだ。

 この一人の選手が北海道から田中利明選手が出たように、香川県から松崎キミ代選手が出たように、どこの府県からでも素質と努力で出てこれるのである。しかし今日、経済的繁栄で誘惑雑音の多くなった日本の中では、選手がハングリーな気持をもちつづけることが、昔より困難である。同時に指導者の方でも同じことが云える。カギはそこにある。立派な指導者と立派な選手との出会い、そして十年の研鑚に期待したいのである。

 底辺開拓と国際交流

 一方、卓球というスポーツはサッカーと共に世界中に最も普及したスポーツである。国際卓球連盟加盟国も一三〇ヵ国となったし、このたび東京で開催された世界選手権大会には八六ヵ国の参加という、単独スポーツとしては世界最大のスケールに成長してきた。

 また、アメリカでは個人の家庭の1/3近くが卓球コートを持っており、夕食後の家族団らんはピンポンで楽しんでいる。小さい子供からどんな老人でも一緒にプレーできる。夏でも冬でも、雨でも雪でも、昼でも夜でもプレーできる。しかも経済的で。こんなスポーツは卓球しかない。

 十五年前、埼玉県花園村の村長さんは村技に卓球を指定し、村内のあらゆる場所に卓球台を備え付けさせた。これで村民のレクリエーションと共にコミュニケーションの向上に実績をあげたことがある。この村長さんは医者であり、もう一つの目的をもっていた。それは現代の問題である交通ラッシュ時代に、村民を交通事故から守るため、卓球によって運動神経をよくしよう、というものだった。

 世界各国はいま経済不況の中にある。また、米ソ陣営の対立という国際情勢が続いてはいるが、人々の交流と英知で第三次大戦は避けなければならぬ、という心が世界中の人々の間に浸透していきつつある。二十一世紀に入っても第三次世界大戦はないと思うし、私はそのためにもスポーツ卓球を通じて国際交流を進めなければならないと固く信じている。

 こうして人々は平和の中で経済や文化の発展をはかり、好況はなくとも、休日はふえ、レジャーに費す時間はふえるのである。そのレジャー活動の中に、卓球のよさがより多くの人々に認められ、絶好のファミリースポーツとして、またコミュニティスポーツとして、日本でも世界でも、卓球の根をはらせていきたいものである。

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