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「作戦あれこれ」第90回 攻撃対攻撃で勝つコツ④ 相手のサービスを読むコツ-2-

 9月号に続き相手が次にどんなサービスを出してくるかを読むコツについて述べよう。

 サービスの攻め方を早く知る

 孫子の兵法書の中に「彼を知り、己を知れば百戦危うからず。彼を知らずして己を知れば一勝一負す。彼を知らずして己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」という有名な言葉がある。これは卓球にもぴったりあてはまる言葉だ。特によいレシーブをするためには、相手のサービスの配分を知ることが大切だ。
 さて、現在の攻撃選手は次のようなサービスパターンの選手が多い。
①ショートサービスを徹底して出すタイプ
②ドライブ性、ナックル性のロングサービスを主体に出すタイプ
③レシーバーにコースを読ませないことを主眼に、ロングサービスとショートサービスを混ぜて出すタイプ
④レシーバーの弱点をさがし、そこに徹底的にサービスを集めるタイプ
⑤フォアサービス、バックサービス、投げ上げサービスを徹底して出すタイプ
⑥相手を攪乱するため、フォア、バック、目まぐるしくサービスを変えるタイプ
⑦前半と後半でまったく逆のサービスを出すタイプ
⑧ヤマ場で得意のサービスを出してくるタイプ
...など、いくつものタイプがある。対戦相手は「どのタイプか」を試合の前半で判断し、それをもとにしたサービスの読みと作戦が必要だ。

 同じサービスを出してくる選手にはヤマをはって狙い打ち

 ではいくつか例をあげてみよう。
 まず①や②のタイプのショートサービス、ロングサービスを徹底して出してくる選手に対してはどういうレシーブをしたらよいだろうか。
 このタイプの選手は、例えばショートサービスをツッツかせてからの3球目ドライブ、ロングサービスからの3球目プッシュ等、得意の展開になるとミスも少なく、非常な強さを発揮する。しかし、その反面どのサービスを出してくるかの読みはやりやすい。
 こんな場合はそのサービスにヤマをはってレシーブしやすい位置に構え、変化をつけた多彩で積極的なレシーブをすることだ。たとえばショートサービスばかり出してくる相手には、フォアやミドルへパッと払ったり、バックへ逆モーションで流したり強く切ってレシーブしたり、フォア前へストップレシーブしたりして先手をとるのだ。またロングサービスに対してはストレートに強打やドライブで攻めたり、ナックルショートやプッシュでミドルへ攻めたりする。こうすると相手が崩れやすい。
 次に④のタイプの弱点に徹底的にサービスを集めるタイプと対戦した時はどうしたらよいだろうか。
 この場合もヤマをはり、4球目に自分の得意な攻撃に結びつけやすいように積極的なレシーブをすることだ。
 私も中・高校生のときに、バック前が苦手だったため、ここにサービスを集められた。こういう時、弱気になって安全第一のレシーブをした場合に結果の悪いことが多かった。威力のないツッツキやショートだけでは、たとえレシーブにミスはでなくても3球目で相手に好きなように攻撃をされてしまうからだ。
 こんな時は「他のコースに出されたら仕方がない」くらいに考え、思いきってバック前にヤマをはる。そしてバック系技術が苦手ならフォアハンドで思い切り回り込んで攻める。思い切って払うボールがあれば、回り込んでツッツキやストップをしても相手は3球目攻撃ができなくなるものである。
 フォア前に集められた時も、ヤマをはり、横回転や切れてないサービスを狙って強く払う。そして難しいサービスはバック、フォアに切って深くツッツいたり、狙って小さくストップレシーブし、次を攻めるのである。
 ロングサービスが苦手な場合は、1コースだけにヤマをはってそのコースだけは強打でレシーブするのだ。

 いろいろなサービスを出してくるタイプは崩しやすい

 ③や⑥のように、こちらにヤマをはらせないタイプに対してはどのように戦ったらよいだろうか。
 こういうタイプは3球目にヤマをはることが多い。この時に相手のサービスが読めないからといって、なんとなくレシーブしてしまうのが一番悪い。相手をリズムにのせてしまう。しかし、このタイプはサービスで先手をとろうとしているだけに、こちらが相手の動作、心理からサービスを読んで(9月号"作戦あれこれ"参照)レシーブを積極的に攻めると、サービスに頼っているだけに崩れやすい。
 例をあげると、たとえば相手がフォアにドライブロングサービスを出してきたときは、フォア側かミドルに返ってくると読んで、それを攻めようとしているときが多い。それをいきなりストレートに強ドライブ攻撃する。フォア前に出してきたときは、バック側のツッツキレシーブを読んで、それを攻めようとしているときが多いので、読みの逆をつきフォアに鋭く払ったり、フォア前やバック前にストップレシーブする。バック側にドライブロングサービスを出してきたときは、バックにヤマをはっていることが多く、ストレートにショートかフォアハンド攻撃する。もちろん試合の流れで相手の待ちを読みコースを変更することも必要だ。

 モーションから盗め

 相手のサービスを読むには、前回述べた相手の動作、心理から読む方法、今回の相手の作戦やクセから読む方法のほかに、相手のモーション、フォーム等から読む方法がある。そしてこの方法は相手のサービスレベルが低い場合は、非常に確実な方法だ。
 たとえば大抵の選手は、ドライブロングサービスとカットサービスを出すときのモーションが少し違うものだ。中にははじめからまるっきりバックスイングが違う選手もいる。上手な選手であっても、ドライブロングサービスとショートサービスとでは、1バウンド目に落とす位置を変えなくてはならないため、集中してみると必ずどこか違うものだ。相手のバックスイングのクセを見逃さないことだ。
 そして、相手がドライブロングサービスの動作に移ったときは、ドライブロングサービスと読み、ドライブロングサービスをレシーブしやすい台からの位置に動き、どちらに出してくるかグッと集中する。同時に、スピードに負けないように左右に素早く動けるように構え、コースが分かったら思い切り動いて高い打球点を鋭く攻撃する。小さいカットサービスの動作に移ったときは、台上のボールが払いやすいようにサッと前に動いて、そこから左右に素早く動いて鋭く払ったり、ストップしたり、流し気味に打ったりして変化をつける。
 このように、相手がドライブロングサービス、変化サービスの動作に入った瞬間、レシーブの動作に入れるとボールのところまで早く動けて良いレシーブができるものだ。この判断が遅いとボールのところへ行くのが遅れつなぎのレシーブしかできなくなってしまう。
 しかし、サービスのうまい選手になると、わざと逆モーションを使ってこちらをおびきよせてからサービスを出してくるので、逆モーションサービスのうまい選手には十分に気をつけよう。

 ボールの上げ方でも判断できる

 また、相手がサービスを出すときのボールの上げ方からも読めることが多い。ほとんどの選手がロングサービスとショートサービスとではボールの上げ方が違う。ドライブロングサービスは第1バウンドをコートの手前に落とすので上げ方が少なく、ショートサービスはコートの中央付近に落とすので高く上げることが多い。カット性ロングサービスはドライブロングサービスとショートサービスの中間ぐらいの上げ方だ。というのは、このくらいの上げ方が各サービスを出すのに一番出しやすい上げ方だからだ。だからほとんどの場合サービスの上げ方から、ロングサービスか、ショートサービスか、カット性ロングサービスか判断できる。
 しかし、中には全日本チャンピオンの斉藤清選手(明大)のように、どのサービスを出す場合もほとんど一定の高さで出す選手もいる。あるいは、意識的に逆モーションサービスを混ぜて出してくる場合もあるので、相手によって試合中に判断することが大切だ。
 攻撃対攻撃の場合、レシーブが非常に重要だ。レシーブの練習をたくさんやって、レシーブの読み、判断を鋭くしよう。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1983年11月号に掲載されたものです。

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