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「作戦あれこれ」第91回 攻撃対攻撃で勝つコツ⑤ レシーブ上達法

 攻撃対攻撃の試合はレシーブが非常に大切である。勝敗の鍵を握っているといっても過言ではない。そのレシーブの強化のために、9、11月号の2回にわたって相手のサービスを読むコツを紹介したが、レシーブがうまくなるためには、やはり何といってもレシーブ練習そのものをしっかりやることが大切である。そこで今回は、レシーブが上達するコツについて述べよう。
 レシーブの上達練習法はいろいろあるが、そのうち私の経験からいって、もっとも効果があると思われるもの3つを紹介しよう。

 効果が高い注文練習

 1つは、初心者から一流選手まで行なう注文練習(はじめからお互いに約束しておいてやる)によるレシーブ練習である。
 たとえば、「フォア前の下切れサービスをクロスに鋭く払うレシーブ」を強化したい場合、相手にその旨を伝える。そして、フォア前の下切れサービスを試合と同じレシーブ位置から、試合と同じ気持ちで素早く動いてクロスに鋭く払うのである。このとき、フォーム等に欠点があれば指摘してもらい一つ一つ直していく。これを繰り返しやる方法である。この練習方法は、一つの技術を集中し、しかも工夫しながら練習できるので不器用な選手でも確実に覚えることができる効果的な練習方法だ。
●注意点
 さて、この練習をするときの注意点を少し述べてみよう。まずはじめからネットスレスレの低い切れたサービスをうまく打てるようにしようとすると、難しいのでうまくいかず、自信を失ったり悪いクセがついたりしやすい。はじめはあまり切れていない高目のやさしいサービスを出してもらい、レシーブのコツを覚えると同時に自信をつけながらやるのがよい。また、最初にこうしたやり方で苦手のレシーブを好きになることが大事だ。そして、徐々に難しいサービスを出してもらい正しい体の使い方をマスターしていく。注文練習のこういった反復は苦手なレシーブを得意なレシーブに変えるのに大変効果的な練習方法だ。しっかり練習をやろう。

 ゲームの中で覚える

 2つ目は、ゲームの中で覚える方法である。これは、精神面にゆとりがないとできないが、技術を覚えるのに一番早い方法である。
 たとえば、台上サービスをすべてフォアハンドで払うレシーブ技術を覚えたい場合、勝敗にこだわらずフォアで素早く動いて積極的に払っていく。はじめのうちはミスが出て負けるかもしれないが、狙ったレシーブができるようになると試合の中で覚えただけに強い自信がつき、早く試合で使えるようになるものである。
 私は、高校1年のとき、全日本ジュニア1回戦で負けて「卓球はフットワークとレシーブがすごく大切である」ことを体で学んだ。そして、フットワークとレシーブを本気でやる気になった。学校に帰ってから、基本練習の2時間はほとんどフットワークを中心にやり(これで動きが鋭くなり、試合に大変役立った)、そしてレシーブの強化は残りのゲーム練習の中で常に課題を持って意識的にやった。この練習方法に早く気がついたおかげで、グングンレシーブに自信を深め、8ヵ月後の2年のインターハイではレシーブから積極的に攻めて3位入賞することができた。
 もし、試合の中でやって負けグセをつけるのがイヤだという選手は、サービスをオールサイドに出してもらいそれを試合と同じ緊張した気持ちでレシーブ練習する手もある。しかし、練習時間の少ない選手は、やはりゲーム練習の中でできる限りレシーブ練習するように心がけることが大切だ。

 分習法で覚える

分習法とは、字のとおり一つ一つ分けて練習していく方法で、いっぺんに全部練習する全習法より、やさしく確実に技術が身につく方法だ。
 たとえば、はじめてラケットを持った人がバック前の変化サービスを回り込んで鋭く払うレシーブを覚えたいといっても、いきなり本試合のように普通のレシーブ位置から回り込んでできるものではない。そこで、バック前のレシーブが一番やりやすいバック側のネットの近くに構え、待っているところにサービスを出してもらい、踏み込んでクロスに払う。この練習を繰り返しやりバック前のサービスを正しく払うことを覚える。そして次に通常のレシーブ位置と最初の位置の中間に構えて、そこから素早く動いて払う練習をする。そして最後に、通常のレシーブ位置から大きく動いてレシーブする。もしうまく回り込めなかったら、動く練習だけとりだしてやる。というように一つ一つマスターしていく方法である。
 この分習法は初心者だけでなく、一流選手でも新しい技術を覚えるときや調子が悪いときに基本をチェックするためにやる効果的な練習である。一般的にいっていきなり全習法でやるより、分習法でやった方が正しい基本動作が身につき、確実性とパワーが身につく。また、時間的にも分習法の方が結局覚えるのが早い。最初はできるだけ分習法で練習し、正しいレシーブを早く覚えよう。

 3種類以上のレシーブを覚えよう

 試合のとき、一つのサービスに対し一つの方法でしかレシーブできないのでは試合に勝てない。相手にレシーブを完全に読まれてしまうからである。中学生や家庭婦人であれば少なくとも2種類以上、高校生のレベル以上になったら3種類以上のレシーブができなければならない。
 たとえば、フォア前の変化サービスを出された場合、中学生や家庭婦人であれば、クロスに鋭く払うのと、バックに変化をつけたツッツキレシーブの2種類。高校生のレベル以上であれば、それにプラスしてバックに鋭く払うレシーブ、ストップレシーブ、ナックルレシーブ、逆モーションで払うレシーブ等のうち、1つはできなければ相手にレシーブを読まれて苦しい試合になる。そして、このとき忘れてはならないのが、必ず得意のレシーブを身につけることである。台上ボールを強打、ネット際に絶妙なストップ、猛烈に切れたツッツキ、流しボール...などのうち、どれか一つ相手を威圧する得意のレシーブを身につけなければ、レシーブのときに強い選手にはなれない。

 ボールをよく見て、腰を入れて打て

 最後にもう一つ技術的な面で大切なことを述べておこう。卓球の経験の浅い選手の多くは、ロングサービスは腰を入れて打つことが必要だと思っていても、ショートサービスに対しては手首だけで打てばいいと思っているが、これは大間違いだ。ネット際のショートサービスも大きいサービスを打つときと同様、腰を入れて打つことが大切。そうでなければ、変化の鋭い下回転サービスを出されたときなど持ち上げられないし、ストレートに払うこともむずかしい。また、手首だけでは入ったとしても威力がないために、3球目を狙われてしまう。特に押しが少なくなるため安定性に欠けレシーブミスが多く出やすい。そのため、4球目攻撃にスムーズに結びつかず、トーナメントで上位に勝ち進むことは大変むずかしくなる。
 台上のボールを払うときの体の使い方は、打つ前に腰をきちんとひねって、打つときに腰を鋭く入れるのが基本である。こうするとミートが鋭くなって回転に負けず、威力のあるボールでレシーブできるものである。また、相手にコースを読まれにくいし、こうして振り切った方がかえってもどりも早くなり、次の4球目攻撃が俄然しやすくなるものである。
 フォア前のサービスを逆足の右足前でレシーブする場合も、手先だけでなく、膝のバネと腰のひねりを使ってレシーブすることがよいレシーブをするコツだ。
 また、そのほかにも、台上のボールをうまく払うコツとしては、ボールを最後まで見ること、フリーハンドを上手に使うこと、最後まで振りきること...などが上げられる。



筆者紹介 長谷川信彦
hase.jpg1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960〜70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1983年12月号に掲載されたものです。

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