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わたしの練習⑲川瀬浩 フォアハンド一本で

 私がはじめてラケットをにぎったのは、たしか小学校4年の終わり頃だったと思います。父が卓球の愛好家で、国体に数回出場した経験があり(いまは和歌山の卓球協会のお世話をしています)、また4つ年上の兄(好彦)もインターハイでがんばっていたようです。このような父と兄を持つ私は、自然と卓球の道に入ってしまったのです。卓球をするには、環境にめぐまれていました。
 小学4年といえば、卓球台の前に立つと、頭がポツンと出ているくらいで、非常にやりにくかったし、また背の低かった私にとって余計にハンディとなりましたが、父と兄のコーチを受けて、日増しに力が入り、好きになっていくのを感じました。
 中学校に入学して一段と卓球がおもしろくなり、毎日、夜遅くまで練習したものです。このころは、一枚ラバーや表ソフト、裏ソフトなどといろいろ使ってみましたが私には裏ソフトが一番適していると思い、3年生ごろから、裏ソフトへ完全に転向した。
 高校に入学すると、全国大会(インターハイ)があるので、更に一層練習にも熱が入りました。インターハイには、1年2年のときは、和歌山県予選で優勝して出場できましたが、3年になって、練習量が少なくなったのが、あるいはなまけていたのか、不幸にも5位で出場権を得られませんでした。そのときほど自分というものが非常に情けなく、つらく感じたことはなかったです。そしてこのまま卓球界から離れることは、何か未練がありものたりなく感じたので、もう一度大学で頑張ってみようと決心したのです。

 ◇大学に入って基礎の大切さを知る

 和歌山の田舎(いなか)から出てきて、はじめて大学の卓球というものに実際ふれて、どれをとっても、高校時代の自分にくらべてかけ離れたもので、自分がいかに未熟で頼りないものであるかを痛感した。高校時代は、ほとんどトレーニング等はせず、フォア・バックの乱打をしてすぐゲームというような計画性のないものでしたから、トレーニングにおいても、技術においても、基本が全然できていませんでした。だから大学一年の間は、いろいろとつらいこともありましたし、そして自分の卓球というものに、どのようなプレイをしていいのか迷いました。それは多くの強い選手の中に入って、基礎も満足にできないのに、強い選手のマネをしたり、フォームをかえたりして、余計に調子をくずしてしまい、ゲームをやっても負けてばかりで、先輩から見放されているようで、1年の春の関西学生リーグ戦では同僚の平松、河合君がベンチ入りしたのに、私はワンサの一人でありました。
 私は負けず嫌いという点では何事においてもですが、特に卓球に関しては強かったのです。中学の頃、よく兄とご飯の食い競争をして、もう食べられないのに負けまいと無理をして、腹をこわしたのをおぼえております。だから一日も早くこの両君に追いつこうと、台が空くと真っ先に飛んで行って、練習したものです。それが実ったのか、6月の関西学生選手権で、ベスト8位に入りました。これが自分に大きな自信と意欲を与え、“やればできる”という精神を植えつけてくれたわけで、その後の練習に一段と身が入った。
 学校(関学)の練習は、体育館を授業に使用しますので、午後3時から7時半までしかできません。練習内容は、トレーニング40分前後、基礎練習1時間、シングルスのゲーム1時間30分、ダブルスのゲーム1時間。シングルスとダブルスのゲームの間に15分ほど休憩を入れます。
 まず練習前に体操(柔軟体操を含む)してランニング。普通の日は2~3㌔で、休暇中は5~6㌔ぐらい走ります。ときには、サーキット・トレーニングもとり入れております。多球においては、腹筋運動と腕立て伏せは特に重要だと思います。トレーニングはこれくらいで、7台のうち4台をレギュラーが使用しており、基礎練習は、2交替制で練習します。フォアサイド、バックサイドの乱打、フットワーク、ショート打ち、あるいはオールサイズと連続して行い、残りの半分の者は後ろでその練習を見て、悪い所は注意し良い所はとり入れ、またファイトを出すように激励してやります。

 ◇スピードや回転を変え1球1球慎重に乱打

 私の卓球はフォアハンド一本で押し通す卓球です。フォアサイド、バックサイドの乱打にしても、たえず足を動かして、いつも同じ所でボールをとらえるよう、自分の思っている場所に返せるよう、そして1球1球慎重に打つよう、心がけています。また、トップ打ち、中間で、後にさがってドライブ、といろいろな場所でスピードを変えたり、回転を変えたりして打っています。だからこの乱打にしても相当疲れます。次にフットワーク練習は、フォアハンドだけの私にとって一番重要な練習の一つです。普通誰もがしているV字型のフットワークが主ですが、相手に好きな所にボールを送ってもらい、自分はワンサイドに返す練習もやります。この間はスマッシュなしで、できる限りフォアで回り(やむをえない場合だけショート等使いますが)、できるだけ多く続ける練習、結局、凡ミスをなくし、たえず球に食いついていくという忍耐力の養成にもなると思います。
 私の卓球は前陣速攻型である中国選手のようにバックハンドは振れない。バックへきたボールでもフォアで回り込んで打つ。だからフォアサイドよりもバックサイドの方が強いのです。
 オールサイズの練習のときは、まずサービスをスピードや回転を変えてどのコースにでも出せるよう、そして第3球目攻撃を主体として練習します。≪あのとき1本取っていればあの試合は勝てたのに…≫というような経験を誰もが、1度や2度はされてると思います。そのような場合に自分が本当に自信をもって出せるサービス、そしてそれが返球された場合の3球目攻撃を自信をもってできるように、常に心がけて練習して自分のものにしておくことが大切だと思います。
 私はレシーブが下手で、レシーブにまわった場合に失点が多いのです。それはカットサービスを出されると、弱気になってほとんどツッツキで返すため、すぐに相手に先手をとられてしまうのです。それで、最近は全部ツッツかないで打ってレシーブする練習に重点をおいています。このため、こちらから先手攻撃するチャンスが多くなりました。
 ゲーム練習で他校と少し変わっているのは、シングルスのゲームの半分は、1セットの勝抜きをやることです。これは昨年から練習にとり入れたもので、レギュラー、準レギュラーを4組(ABCD)に分けて、1台に4~5人で、1セットの勝抜きをやります。1セットですから、少しも気を抜くことはできませんし、少しぐらいの力の差などは、出足でリードされるととりかえしがつきませんから、常に大事に試合をやりますし、この記録を全部ノートに控えます。この資料をもとにして、リーグ戦のメンバー等を決めますし、今年からこの成績の一番優秀な者がOB会長から表彰されるとのことで、みんな、なかなか張り切っております。こういうところから“根性”というものができるのではないでしょうか。もちろん、3セットのゲームもやります。
 私は割合サービスに自信をもっていますので、ジャンケンで勝つと、レシーブを選びます。それは大事な1、3セット目の終わりにサービスが自分の方に回ってくるからです。前にも述べましたが、このようなときに、とっておきのサービスで逃げきるというように、ふだんの練習でも、試合と同じ気持ちで練習を…。

 ◇ダブルス練習に重点

 団体戦では、ダブルスの得点の占める位置が非常に大きいと思います。私は高校時代、ダブルスの練習は試合前2、3日するだけでしたから、団体戦ではいつも苦杯をなめていました。だけど関学では、ダブルスの練習にも割合重点をおいています。団体戦が近くなると、シングルス以上に練習します。ダブルスは2人のコンビですから、練習すればするほど強くなるような気がします。
 カット打ちは、カットマンが多いため、練習時間の1/3はカットマンと練習します。ループの出はじめの頃は、それで得点できましたが、最近はループ処理が上手になって逆に打ちにくい球が返ってくるし、スマッシュもやりにくいですね。それにこれからのカット打ちは、軽くドライブでねばり、相手を台の近くに引き寄せてスマッシュをかけるのが理想だと思います。スマッシュも両サイドよりもあんがい真ん中に決めるとカットマンは弱いようです。だけどやはり球をよくみて、何本でも粘れるようになることが第一でしょう。
 私の卓球は何度も述べますが、フォアハンド一本です。このたび、幸運にも中国遠征代表に選ばれましたが、はたして、中国選手と対戦して私の卓球が通用するかどうか疑問です。だけど急に対中国戦用として卓球を変えることもできません。ただバックサイドのショートを少し練習しています。私の好調のときは、フォアハンドで打ちまくるときです。だから向こうより先に打てば、なんとかついていけると思います。まず自分の力を最大限に出すことだと…。

かわせ ひろし
関西学院大4年生、裏ソフトの攻撃選手。
1964年全日本学生選手権者、’64年関西学生選手権者

(1964年11月号掲載)

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