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サービスがすごいのは誰だ!?
水谷隼が選ぶ世界のベストサーバー・TOP3
番外編① 水谷隼の縦回転系サービス

 卓球レポートリニューアル特別企画として水谷隼選手(木下グループ)が選ぶ世界のベストサーバーをランキング形式でお届けしてきましたが、いかがでしたか。
 水谷選手がベストサーバーサーとして挙げた馬龍(中国)、オフチャロフ(ドイツ)、ボル(ドイツ)はもちろんですが、水谷選手自身も彼らに負けずとも劣らないサービスの名手です。
 そこで、今回から2回にわたり、特別企画の番外編として水谷選手が近年、力を入れているサービステクニックを紹介していきます。
 今回は、水谷選手の縦回転系サービスにスポットを当てましょう。

水谷隼の縦回転系サービス

mj03−01.jpg水谷隼(木下グループ)。持ち味であるラリー戦の強さに高速プレーをプラスした新たなスタイルで平成30年度全日本卓球選手権大会男子シングルスを制し、V10の偉業を成し遂げた日本卓球界のキング


 近年の水谷選手は、チキータを防いだり、チキータの威力を弱めたりする目的で、下回転を強くかけたサービスと、下回転をほとんどかけないナックル性サービスを多めに使います。
 男子シングルスでV10を達成した今回の全日本卓球選手権大会でも、水谷選手のシンプルな縦回転系サービスは大きな得点源になっていました。

「ナックル性サービスをいかに下回転サービスに見せるか」が重要

 縦回転系サービスの効果を高めるためには、「ナックル性サービスを、いかに下回転サービスのように見せるか」が重要になります。
 ナックル性サービス自体は簡単なサービスですが、質の高いナックル性サービスを出すことができれば、下回転サービスの効果も大きくなり、双方のサービスの相乗効果も生まれます。そのため、ナックル性サービスの精度や(相手が下回転サービスと見間違えるような)分かりにくさには、すごくこだわっています。

ナックル性サービスを下回転サービスに見せるポイントは「軌道」

 相手が下回転サービスと見間違えるようなナックル性サービスを出すためには、スイングや打球点などを下回転サービスと同じように行うことに加え、僕が特にこだわっているのは「ボールの軌道」です。
 相手(レシーバー)は、こちらのモーションや打球の瞬間もそうですが、ボールが飛んでくる様子でサービスの変化を判断することが多いと思います。そこで、ナックル性サービスを出すときは、相手に飛び方でばれないよう、下回転サービスとできるだけ同じ軌道にすることを心掛けています。
 具体的には、下回転が強くかかっているサービスは台の上を滑るようにスーッと飛んで行くので、ナックル性サービスもスーッと飛んで行くように出します。ボールを強くはじくのではなく、軽くはじくイメージでナックル性サービスを出すと、スーッと飛んで行くような軌道にしやすいと思います。

下回転サービスは、ラケットの先端の方でこすることがコツ

 一方、下回転サービスのポイントは、ラケットの先端の方でボールをこすることです。そうすると、ボールに下回転を強くかけやすくなります。
 また、下回転を強くかけたサービスは出す場合は、クロス(左利きの水谷にとって、右利きの相手のフォア前)の方がコントロールしやすいです。

自分のイメージ通りに正確に出すことが大切

 回転の種類にかかわらず、サービスを出すときは、出す前にコースやスピード、回転などをある程度イメージすると思います。
 そのイメージに沿って正確に出せるようになることが、サービスでは最も大切だと思います。

水谷隼の下回転サービスとナックル性サービス

縦回転系サービスの効果を高めるには、ナックル性サービスの軌道を下回転サービスと同じようにスーッと滑るように飛ばし、いかにも下回転をかけたかのようにカムフラージュすることが水谷のこだわりポイントだ。そのためには、「ボールを軽くはじくイメージでナックル性サービスを出す」という水谷のコメントを参考にしよう。このほか、下回転サービスを出す場合は打球面を上向きにしてボールの下の方を打ち、ナックル性サービスは打球面を立て気味にしてボールの正面より少し下あたりを打っている点も参考になる


(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)

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