卓球の世界へ、ようこそ!
この特別企画では、これから卓球を始める人や卓球を始めようと考えている人たちに向けて、基本的な打ち方を紹介していきます。ぜひ、卓球が上達するための、そして卓球をより楽しむための土台づくりに役立ててください。
第2回で紹介するのは、回転をかける打法です。卓球は回転の要素がとても大きいスポーツで、回転をかけられるかどうかが上達を大きく左右します。紹介するポイントを参考にして、回転をかける基本打法を身に付けましょう。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーをモデルにしています
フォアハンドでドライブしてみよう
フォアハンドドライブ

ドライブとは、ボールをこするように打って打球に前進回転をかける技術で、「打球の軌道をコントロールしやすい」「打球に威力を出しやすい」などのメリットがあります。卓球では攻撃の主役になる技術なので、紹介するポイントを参考にして、ぜひドライブを身に付けましょう。
まず、フォアハンドでドライブするポイントから紹介します。
フォアハンドドライブは、フォアハンドロングに比べるとスイングが大きくなるので、体勢が詰まらないようフォアハンドロングのときよりも台から少し距離を取ります。
台から少し距離を取ったら、腰を右にひねりながらラケットを低い位置に引きます。腰をひねりやすいよう、左足が右足よりも少し前のスタンス(足の構え)をつくるとよいでしょう。そうしてバックスイングしたら、斜め上にスイングして、ボールの正面より上の方をこすり上げるように打つことがスイングの要領です。
スムーズにスイングするために心掛けてほしいポイントは、「右足の蹴り」と「腰の回転」の2つを使うことです。腰を右に大きめにひねり、右足に重心をかけてバックスイングしたら、右足で床を蹴り、ひねった腰をもとに戻す(左にひねる)勢いでスイングしましょう。そうして、腕だけなく、体全体を使ったスイングを目指してください。
また、フォアハンドドライブをマスターするためには「ボールをこすり上げる感覚」をつかむことが大切です。そのためには、自分のコートでバウンドしたボールが、頂点に達してから少し落ちてきたところを狙って打球しましょう。ここを狙うと、ボールをこすり上げる感覚をつかみやすいでしょう。
「どのタイミングで腕に力を入れるか」もフォアハンドドライブを身に付けるための重要ポイントです。具体的には、打球の瞬間にだけ腕に力を入れ、それ以外は腕から余計な力を抜いてリラックスさせましょう。このタイミングを意識すると、ラケットがスムーズに動き、ボールをこすり上げやすいでしょう。
バックハンドでドライブしてみよう
バックハンドドライブ

バックハンドでドライブするときは、バックハンドロングと同じように、わきを空けてひじを体から離し、ラケットを体の正面あたりに構えます。
そうして構えたら、ラケットの面をしっかりかぶせ、手首を大きめにひねってバックスイングを取ります。このバックスイングからラケットを斜め上に振り出し、ボールの上の方をこするように打ちます。ひじを動かしすぎないよう注意して、バックスイングでひねった手首を返しながらボールをしっかりこすってください。
バックハンドドライブで打球するときは、ボールのバウンドが頂点に達するよりも前を狙いましょう。打球するタイミングが頂点前よりも遅くなると、体勢が詰まってスイングしにくくなるので注意してください。
フォアハンドドライブ同様、打球の瞬間にだけ腕に力を入れ、それ以外は腕から余計な力を抜いてリラックスさせることも意識してください。
下回転サービスを出してみよう
フォアハンドで下回転サービス

下回転サービスの「下回転」とは、ボールが進行方向とは反対方向へ戻ろうとする回転(後進回転)のことです。下回転には、「ラケットを垂直に立てて当てると下に弾む」という性質があります。ボールに下回転をかける感覚は、いろいろな回転のサービスを身に付ける上で応用できるため、「サービスの基本」になります。ここでは、フォアハンドで下回転サービスを出す方法を紹介します。紹介するポイントを参考にして、ぜひ下回転サービスをマスターしましょう。
フォアハンドで下回転サービスを出すときは、バック側のコーナー付近に立って、体の正面を、相手ではなく、フォア側に向けて立ちます。そうして構えたらボールをトスして(投げ上げて)サービスを出しますが、トスは、手のひらを開いてボールを乗せ、静止させたところから開始します。ここから、ボールを16センチ以上ほぼ垂直に投げ上げ、落下してくる途中を打ちます。そして、自分のコートにワンバウンドさせてから相手コートに入れることがサービスのルールです。
このルールを踏まえてトスしながら、ラケットを後ろに引いてバックスイングを取ります。バックスイングでは、ボールの下の方をこすれるようにラケットの面を上向きにしておきます。加えて、手首を利かせてスイングできるよう、ラケットの先を後ろへ向けるように手首をひねりましょう。
このバックスイングから、後ろから前にスイングして、ボールの下の方をこするように打ちます。バックスイングでひねった手首を鋭く返しながら、ボールの下を強くこすりましょう。
ボールに強く下回転をかけるためには、「打球の瞬間にだけ腕に力を入れ、それ以外は腕から余計な力を抜く」ことを意識してください。この力を入れるタイミングを意識すると、手首をスムーズに利かせることができるので、ボールに下回転をかけやすくなります。
ツッツキしてみよう
バックハンドツッツキ

「ツッツキ」とは、ボールに下回転をかける技術で、主に台上に短く来た下回転のボールに対して使います。ツッツキは「相手の下回転のボールを安定して返しやすい」というメリットがあり、試合で使うことがとても多い技術です。下回転サービスをレシーブするときにも有効な技術なので、下回転サービスの要領が分かったら、次はツッツキを身に付けましょう。
ツッツキには、フォアハンドで行う方法とバックハンドで行う方法がありますが、試合ではバックハンドでツッツキする機会が多いでしょう。そこで、ここでは、バックハンドツッツキのポイントを紹介します。
バック側に来た下回転のボールに対してバックハンドでツッツキするときは、右足が左足よりも少し前のスタンス(足の構え)にし、ラケットの面は少し上向きにします。ひじを体から離し、ひじを曲げて、ラケットを体の正面あたりに構えましょう。
そうして構えたら、ラケットを自分の方へ小さく引き寄せるようにバックスイングし、ラケットを斜め下へ振り下ろすようにスイングして、ボールの下の方をこするように打ちます。「上向きの面を打ち終わりまで保つ」「手首を使いすぎない」の2つを意識して、曲げたひじを伸ばしながらコンパクトにスイングしましょう。
バックハンドでツッツキするときは、ボールがバウンドしてから頂点に達するよりも前を狙って打球します。ボールがバウンドの頂点を過ぎてからツッツキしようとすると、体勢が詰まって思うようにスイングできなくなるので注意してください。
ツッツキを覚える上では、ボールに強く下回転をかけることよりも「下回転のボールを安定して相手コートへ返す」ことが最優先です。特に、初心者はボールに強く下回転をかけようと意気込むあまり、ラケットや手首を大きく動かしてしまいがちですが、それでは打球が安定しません。
ひじの屈伸を使ったコンパクトなスイングを心掛けて、ボールに強く下回転をかけることにとらわれず、安定性を第一に考えてバックハンドツッツキを身に付けましょう。
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モデル=鈴木希華(マイダス) 取材/まとめ=卓球レポート