いよいよ2025年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月21日より東京体育館で開幕する。
これまで全日本卓球選手権大会(以下、全日本)は、シングルス4種目とダブルス3種目の計7種目を一斉に開催していたが、今年と来年の2026年大会はシングルス4種目とダブルス3種目が分離開催される運びとなった。
シングルスは東京体育館(東京都)で1月21日から26日まで、ダブルスはスカイホール豊田(愛知県)で1月30日から2月2日にかけて開催される。
開幕に先駆けて、男子シングルスの有力選手と見どころを紹介しよう。
※男子シングルスの組み合わせはこちら(日本卓球協会特設サイト内)
【第1ブロック】
連覇を目指す張本が大会の大本命
有延、田中、村松らが張本越えを狙う
シングルスのトーナメントは、大きく4つのブロックに分かれる。まず、第1ブロックから見ていこう。
第1ブロックの、そして今大会の大本命は第1シードの張本智和(智和企画)だ。昨年の張本は、全日本史に残る決勝を制して2018年の最年少優勝以来二度目の優勝を果たした後、パリ五輪での苦杯やアジア選手権大会優勝、WTTファイナルズ福岡では決勝進出と、激動の1年を過ごした。直前に行われたWTTスターコンテンダー ドーハでは充実のプレーで優勝し、好調を保っている。経験値をさらに上積みした張本が、どんなプレーで連覇を目指すのか注目だ。スーパーシードの張本は、初戦の4回戦で渡辺裕介(協和キリン)や坪井勇磨(FPC)、谷本拓海(育英高)ら力のある選手との対戦が予想される。スーパーシードにとって鬼門になる初戦をしっかり勝って弾みを付けたい。
このブロックで張本を脅かす有力候補としては、まず、昨年の全日本社会人を制し、Tリーグでも好成績を収めている有延大夢(T.T彩たま)。持ち前の強打にうまさが加わったプレーで、張本越えを狙う。
ドイツのブンデスリーガで活躍する村松雄斗(霧島整形外科病院)、表彰台経験のある田中佑汰(個人)の外シード勢も張本を脅かす力がある。
そのほか、変幻自在のプレーが持ち味のカット主戦型・英田理志(タカシマアカデミー)、学生王者の徳田幹太(早稲田大)、名門の顔になりつつある阿部悠人(シチズン時計)、前回ダブルス王者の伊藤礼博(日本大)の勝ち上がりにも注目したい。
また、英田のシード下には期待の中学生・岩井田駿斗(野田学園中)、阿部のシード下には実業団の実力者・藤村友也(日鉄物流ブレイザーズ)が入った。シード下からの勝ち上がりに注目だ。


【第2ブロック】
優勝経験者の吉村、成長目覚ましい松島が軸だが
シード下にも強者がひしめく大混戦ブロック
第2ブロックは、実力者がひしめく混戦ブロックになった。
勝ち上がりの予想が難しいブロックだが、前回4強で優勝経験のある吉村真晴(SCOグループ)と、世界でも結果を出し始めている期待の17歳・松島輝空(木下グループ)が軸になる。サービスが強烈で両ハンドの得点能力が高いという共通項を持つ両者がトーナメントを勝ち上がっていく可能性は高い。吉村と松島が順当に勝ち上がれば、6回戦(ベスト8決定戦)でぶつかる。実現すれば、6回戦大注目のカードだ。
前回10年ぶりに8強に入ったラリー巧者の高木和卓(ファースト)、世界卓球日本代表経験があり、攻撃力が高い横谷晟(愛知工業大)の外シード勢も、このブロックを制しようと意気込んでいるはずだ。
中シードにも、世界卓球2025ドーハの日本代表を勝ち取った選手兼監督の松平賢二(協和キリン)、Tリーグで活躍する五十嵐史弥(滋賀県スポーツ協会)、日本リーグで活躍する江藤慧(クローバー歯科カスピッズ)、2023年全日本ジュニア男子優勝の萩原啓至(愛知工業大)ら力のある選手がそろうが、シード下にも実力者がひしめく。
五十嵐のシード下には、強打者の酒井明日翔(シチズン時計)、2021年全日本優勝の及川瑞基(岡山リベッツ)、2023年全日本4強の曽根翔(T.T彩たま)、全日本上位常連の𠮷田雅己(Doream)とビッグネームがそろった。序盤で当たる顔ぶれではなく、ここが全ブロックを見渡してもシード下の最激戦区といって差し支えないだろう。誰がスーパーシードまで勝ち上がるのか、想像がたくましくなるブロックだ。
そのほかにも、松島のシード下には全日本ダブルスで3度の優勝を誇る三部航平(シチズン時計)、江藤のシード下には全日本ファイナリストの経験のある町飛鳥(ファースト)が入った。それぞれの勝ち上がりにも注目だ。


【第3ブロック】
篠塚、宇田ら注目左腕が覇権を争う
シードやシード下にも強豪が続々
第3ブロックはサウスポーの強豪がそろった。
筆頭は、前回3位でパリ五輪代表の篠塚大登(愛知工業大)。Tリーグでも好調で、パリ五輪という大舞台を踏んだせいか、ちょっとやそっとでは負けそうにない雰囲気が出てきている。直前に行われたWTTスターコンテンダー ドーハでは、ヨルジッチ(スロベニア)や黄鎮廷(香港)ら世界の強豪を連破して3位に入り、好調だ。前回越えに向けて、持ち前の左腕からのタッチの良さを生かしたプレーで、まずはこのブロックを制したい。
2020年優勝の宇田幸矢(協和キリン)も、篠塚と並んでこのブロックの有力候補だ。優勝して以降、全日本では振るわなかった宇田だが、日本リーグやTリーグで好調を続けており、世界ランキング(男子シングルス 2025年第3週/1月14日発表)も日本人選手としては4番目となる29位につけている。振れば決まる豪打が持ち味だけに、このブロックを制すれば、一気にV2まで見えてくる。
宇田の対抗の中シードには、昨夏のインターハイ男子シングルを制した左腕の小野泰和(出雲北陸中・高)が入った。気迫あふれる両ハンドで、シニアでも結果を残したい。
全日本で安定して上位に勝ち上がる吉山僚一(日本大)、迫力満点のフォアハンドが持ち味の小野寺翔平(リコー)の外シード勢も上位に勝ち上がる技と爆発力があり、松山祐季(クローバー歯科カスピッズ)、髙見真己(日鉄物流ブレイザーズ)、淺津碧利(シチズン時計)ら中シードの日本リーガーも上位をうかがう。
もちろん、このブロックのシード下にも注目選手がそろう。
篠塚のシード下には、2023年全中優勝の渡部民人(JOCエリートアカデミー/星槎)、淺津のシード下には2019年3位の木造勇人(関西卓球アカデミー)、髙見のシード下には2022年インターハイ三冠王の鈴木颯(愛知工業大)、小野の下には2017年決勝進出の吉村和弘(ケアリッツアンドパートナーズ)と、力のある選手たちが入った。挙げた選手たちがシードまで順当に勝ち上がって下剋上を果たすのか、それともスーパーシード勢が跳ね返してシードを守るのか注目だ。


【第4ブロック】
三度目の優勝を狙う戸上が大本命
ベテランや学生の強者が上位をうかがう
第2シードの戸上隼輔(井村屋グループ)が、このブロックの本命になる。昨年は決勝まで勝ち進むも張本との激戦に敗れ、すんでのところで三連覇を逃しており、その雪辱を狙っているだろう。パリ五輪後、拠点をドイツに移して卓球にストイックに打ち込む環境に身を投じている戸上は、ブンデスリーガで大きく勝ち越し、ドイツカップではチーム(オクセンハオゼン)の優勝に貢献するなど着実に結果を出している。武者修行の成果を発揮して、三度目の優勝なるか。
戸上を追うのは、まず、前回ベスト8の大島祐哉(木下グループ)、元日本代表の丹羽孝希(ファースト)のベテラン勢だ。豊富な経験と脂が乗った技で、どのようにして若手の挑戦をはねのけ、勝ち上がっていくのか楽しみだ。
ベテランに加え、前回ランクインした加山雅基(日本大)、全日学2位の岡野俊介(朝日大)、全日学3位の濵田一輝(早稲田大)ら学生界のトップランナーたちも第4ブロックにひしめく。学生らしい勢いを発揮するために、スーパーシードの初戦となる4回戦をしっかり勝ち切って流れに乗りたい。
日本リーグで存在感を見せる松下大星(クローバー歯科カスピッズ)、上村慶哉(シチズン時計)の勝ち上がりにも注目だ。
シード下の注目選手としては、濵田の下に、初代メジャーリーグ王者の笠原弘光(Handy)と名門校のエース・坂井雄飛(愛工大名電高)が入り、勝ち上がりが注目される。
また、上村のシード下には、学生選抜優勝の谷垣佑真(愛知工業大)が入った。谷垣は、戸上に匹敵するすさまじい攻撃力を持つだけに、対戦相手にとっては脅威だろう。


(まとめ=卓球レポート)