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鬼頭明 × 橋津文彦 指導者対談③ 
指導者のこれから

「ちょっと、それ貸して‼️」のスピンオフ企画で一部の熱狂的な支持(⁉️)を獲得した鬼頭明(愛知工業大学総監督)と橋津文彦(野田学園高校監督)。
 前回前々回に続いて、今回は日本の卓球指導者の課題を聞きました。
※この記事は2019年11月に取材した内容をまとめたものです

卓球指導者のこれから

鬼頭 ちょっと真面目な話もしていい?

橋津 いいけど何?

鬼頭 今、日本の卓球のレベルが上がってきて、メディアにもたくさん取り上げられるようになってきたじゃない。Tリーグも発足して、プロ選手も年々増えてきている。僕が選手の頃は卓球だけで生活できてる選手は(松下)浩二さんくらいだった。
 それが今は、卓球である程度稼げるようになってきたけど、一方で、プロのコーチ、指導者はちょっと置いていかれているよね。コーチも選手に比例して上がっていかないと、卓球界の真の発展はないと思う。
 うち(愛知工業大学)の卒業生でもプロで頑張っている選手が何人かいるけど、練習場所がなかったり、練習相手がいなかったり、コーチがいなかったりと、強くなるための環境が整っているとは言えない選手も多い。そもそも、ちゃんと卓球を強くしてくれるコーチが少ない。そうなると、プロになるよりも、しっかりした母体があった方がいいという話になってしまう。プロになっても選手として伸びる環境が日本にあるかというと、まだまだ疑問がある。
 そういう状況を改善するためには、指導者がもっと稼げるような時代にならないとダメだと思う。卓球はまだ、他競技の有名選手・指導者に講習会や講演会のギャラなどで負けいてる部分が多い。石川佳純(全農)、伊藤美誠(スターツ)、水谷隼(木下グループ)、吉村真晴(名古屋ダイハツ)たちは、他競技のトッププレーヤーにも負けてないと思うけど、彼らが指導者になった時にどんな環境で仕事ができるか、収入は維持できるか、そう考えると一握りの有名選手でも難しい。自分も橋津も、大学職員や高校教諭として給料をもらっている。
 そう考えた時に、水谷が果たして指導者になってくれるだろうか、(福原)愛ちゃんや佳純、美誠が卓球界に残ってくれるだろうかという不安がある。自分でビジネスを起こしてもいいし、指導者以外の道はいくらでもある。そっちの方が卓球より稼げるという気がする。
 せっかく日本が育てた選手が卓球界に戻らない、戻れない、そんな卓球界が果たして発展できるだろうか、ということをこの前、橋津に会った時に熱く語ったんだよね。

橋津 Tリーグで選手の収入は高額になってきて、それはすごくいいことだと思うけど、それとチームやリーグの経営がうまくいっているかというのは別の話で、チームが儲かるようにならないと存続は難しい。
 明は選手としてもチャンピオンになったし、オリンピアンだし、指導者としても日本一になった。僕なんかより発言力あるんだから、そういう発信をどんどんしていってほしいと思いますね。

鬼頭 一緒にやろうよ(笑)



卓レポ 具体的なプランはあるんですか?

鬼頭 まだ漠然とはしていますが、浩二さんが一番初めに「日本もプロ選手が増えていかないと世界では勝てない」と言って、プロの世界に飛び込んで、いろいろな企業に自分を売り込んでいった。今度は指導者がそれをやらないといけないのかなという気はしていますね。
 それをやってきたのが宮﨑義仁さん(日本卓球協会強化本部長)や村上恭和さん(前女子ナショナルチーム監督)、倉嶋(洋介、男子ナショナルチーム監督)や田勢(邦史、男子ジュニアナショナルチーム監督)たちですね。
 自分も世界卓球で、吉村・石川のベンチに入って、金メダル獲得の一番近いところにいられたり、インカレでも愛工大男女優勝ができたり、そういう経験をしているので、率先して変えていかなくてはいけないと思っています。
 橋津もそうだと思うけど、今のままだと、選手に「指導者になってほしい」とか簡単には勧められないじゃない? もちろん、仕事としては充実してるけど、過酷だからね。

橋津 いろいろな卓球場とかチームのコーチや指導者は増えてきているけど、中高の指導者になりたいっていう人は少ないし、僕も20年以上やってきてるけど、顔ぶれはあまり変わってないんですよね。若い選手が強くなってきて、選手の層は厚くなってきてるけど、日本の卓球界を支えてきた中体連、高体連、日学連の人たちはそんなに入れ替わってない。今枝(一郎。愛工大名電高校監督)とも「お互いいつまでやるんだろうね?」なんて話してます(笑)
 これまで育成の中心だった「学校」という場は、少子化で厳しくなってきているし、職場としても働き方改革が勧められてるけど、仕事も非常にハードだし、部活動に力入れてる先生なんかは仕事に見合った報酬はもらえてないっていう人がほとんどだと思う。
 だから、学校以外でもっといろんな競争があっていいと思うんですよね。例えば、Tリーグの下部組織ができて、学校体育に替わる社会体育、クラブスポーツが活性化してくれば、明が言うような指導者も認められる状況が可能になるかもしれない。

鬼頭 トップ選手は、男子も女子化していかないとダメかもしれませんね。美誠にしても美宇(平野、日本生命)にしても、加藤美優(日本ペイントホールディングス)にしても、みんなインターハイや高校選抜に出ませんでしたね。早くから企業をスポンサーに付けて、世界を目指して練習してきていますよね。
 その点、男子はまだそこまでは来てない。そういう部分は見直す必要があると思います。本当に強い選手は、そうなっていった方がいい。そういう男女の違いは、世界ランキングの差となって表れていると思います。
 橋津が最初に言ってたように、男子も小学生のレベルはめちゃくちゃ高いじゃないですか。でもそれが、中学校以降なかなか持続しない。男子のトップを教えるノウハウや経験を持った指導者が圧倒的に少ないせいだと思うんですよね。女子の場合は、トップレベルの選手を指導できるコーチも多いし、練習相手も男子を付ければいいので、比較的簡単に探せる。そういう意味では、女子に比べて男子の強化は難しいのが現状かもしれませんね。


(文/写真=卓球レポート編集部)

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