卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今シリーズでは、5月にカタールのドーハで開催された第58回世界卓球選手権大会個人戦(以下、世界卓球2025ドーハ)で繰り広げられた灼熱の熱闘を厳選して紹介する。
今回は、王楚欽(中国)対カルデラーノ(ブラジル)の男子シングルス決勝の名勝負をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
中国最強エースVS南米の超人による頂上決戦!
王楚欽が最強国の武威を示すべく、躍動する
世界卓球2025ドーハの男子シングルスは優勝経験者が出場しておらず、誰が優勝しても初優勝というトーナメントになったが、そうした中、世界ランキング2位の王楚欽(中国)と同3位のカルデラーノ(ブラジル)が決勝まで勝ち上がってきた。両者の世界ランキングの高さを踏まえれば、順当といえるカードだ。
第2シードの王楚欽は、左腕から繰り出す圧倒的な両ハンドが持ち味で、世界最強の呼び声が高い中国のエースだ。今大会でも王楚欽を優勝候補の筆頭に挙げる声は多く、この決勝までの6試合で落としたゲームはわずか3ゲームと盤石のプレーで勝ち上がってきている。
対するカルデラーノは、メダルを懸けた準々決勝で安宰賢(韓国)を下してブラジルに世界卓球史上初となるメダルをもたらすと、準決勝では梁靖崑(中国)と対戦。ゲームオールにもつれる大激闘の末、外国勢に対して絶対的な強さを誇る梁靖崑を振り切って決勝まで勝ち進んできた。優れた身体能力をベースにして、王楚欽に勝るとも劣らない超人的な両ハンドを大きな武器としている。
直近では、両者は4月にマカオで行われたワールドカップの準決勝で対戦があり、その時はゲームオールジュースの激闘の末にカルデラーノが王楚欽を下し、その勢いで優勝を果たしている。
マカオで土を付けられた王楚欽にとって、この決勝は是が非でもリベンジを果たして自身が世界最強であることを証明したい一戦だ。
一方のカルデラーノにとっても、ワールドカップに続いて王楚欽を連破し、世界卓球史に新たな歴史を上書きしたい一戦である。
王楚欽の豪打か。それともカルデラーノの豪打か。
超人同士の頂上決戦は、互いが持ち味の強打をさく裂させ合いながら第1ゲームからもつれるが、カルデラーノが10-7とゲームポイントを握る。ワールドカップを制し、今大会でも強敵を連破してステージが上がった感のあるカルデラーノの堂々たるプレーは、さらなる歴史的快挙を連想させるに十分なものだったが、しかし、ここから、最強国の武威を一身に背負った王楚欽が、その力を振るい始める。
(文中敬称略。世界ランキングは大会時)
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(文/動画=卓球レポート)




