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平野友樹。叶った夢、叶えたい夢


 7歳上の姉である平野早矢香の後を追って始めた卓球の才能が開花するのにそう時間はかからなかった。
 仙台育英学園秀光中等教育学校卓球部時代からは、親元を離れ、橋津文彦門下生として腕をみがき、中学3年生の時には全国中学校大会で男子シングルス優勝というビッグタイトルを手にした平野友樹。ガッツあふれるプレーで準決勝では丹羽孝希、決勝では前年度チャンピオンの野邑大陽(ともに当時青森山田中)を破っての快挙は多くの感動を呼んだ。
 高校2年生からは、橋津監督率いる野田学園高校卓球部の第1期生として拠点を山口に移した。高校3年生のインターハイでは吉村真晴とペアを組んだ男子ダブルスで優勝を果たしている。
 明治大学進学後も、トップ校のレギュラーとして活躍。全日本学生選手権大会では、男子ダブルスで4年のうち3回優勝。単複でリーグ戦でのチームの躍進も支えた。
 2015年からは協和発酵キリンに入社し、実業団トップチームのレギュラーメンバーとして活躍している。近年では平成28年度全日本選手権大会の男子シングルス準決勝で水谷隼を圧倒するアグレッシブなプレーで、王者に冷や汗をかかせた試合を記憶している卓球ファンも多いことだろう。

 そして、今年の4月からバタフライとアドバイザリースタッフ契約を結んだ平野はこう語る。
「中学校の頃からバタフライのラケットとラバーを使い続けてきて、用具ではお世話になっていましたが、選手として契約することは本当に難しいと思っていたので、今回契約できたことは本当にうれしいですね。長年の夢が叶いました」

 しかし、バタフライと契約して迎えた初の大会で平野は早くも窮地に立たされた。
「先日行われたビッグトーナメントでは1回戦から松下海輝選手(住友金属物流)に0対2と苦しいスタートで、本当にチャンスがない展開でした。でも、『バタフライの選手になったのだからここで負けてはいけない』という強い気持ちを持つことができて、これまでだったらあきらめていたような絶望的な場面でも踏ん張ることができたんです。最終的には2位という悔しい結果に終わってしまいましたが、今後も、この強い気持ちを持って頑張って行きたいですね」

 そんな平野の次なる夢はやはり「世界」だ。
「将来的には、やはり世界選手権大会には出場したいです。そのためにも今は、世界ランキングをしっかりあげることを目標に頑張っています」

 さらに、自身のプレーについてはこう分析する。
「何でもこなせて大きな弱点がないというのが僕のプレーの特徴だと思います。今後鍛えていきたいのは、『練習ではできるけど、試合ではできない』ことを減らしていくことと、相手にプレッシャーを与えるような強い武器を身に付けることですね。世界で勝っていくためには、1つ1つの技術レベルを上げていくことに加えて、決定力が必要なので、今の自分を軸に世界のトップのプレースタイルを目指しつつ、引き出しを増やしていければ、もっと上が狙えると思っています」
その語り口は淡々としているが、表情は確信に満ちている。

 使っている用具についても聞いてみた。
「ブレードは『インナーフォース レイヤー ALC』のFLです。ラバーはフォア面に『テナジー05』、バック面に『テナジー80』を貼っています。プラスチックボールになってからは『より回転がかけやすい用具に』ということで、3年前にブレードを『張継科ZLC』から『インナーフォース レイヤー ZLC』に変えましたが、もっと回転をかけて安定させたいと思い、先日のビッグトーナメント前からは特殊素材を変えて『インナーフォース レイヤー ALC』にしました。ラケットに当たるとボールが上に飛び出るような打球感が独特で、とても気に入っています。
 ラバーは、フォア面は回転をかけたいので『テナジー05』を使っています。バックハンドはそれほどドライブを振る方ではないので、ブロックや伸ばすバックハンドで、フォアハンドとメリハリをつけるために『テナジー80』を使っています。自分のプレースタイルにも合っているし、しばらくはこの用具で行くつもりです」

 長年、卓球界のトップシーンで活躍し続けているという自信を持ちながらも、どこか初々しさを残し続けている平野。闘志あふれるプレーぶりからは想像しがたいはにかんだ笑顔を、勝利の後に見せてほしい。


平野友樹

(取材/文=佐藤孝弘)

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