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高木和卓インタビュー「卓球選手として、少しでも強くいたい」

青森山田高校では水谷隼の1年上で、エースとしてチームを牽引。3年生のときにはインターハイ3冠王も達成した。高校を卒業してからは東京アートに所属し、社会人卓球のトップをひた走り続けてきた。ひとたび卓球台を離れると、明るく親しみやすい人柄だが、その芯には常にトップ選手としての矜持を忘れない。卓球選手として20年以上のキャリアを重ねてきた、高木和卓の「今」に迫る。
 
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強い若手に勝つことがモチベーションになっている

「衰えは全く感じていません」
 30歳を迎える年で、ベテランと言われることに抵抗もなくなってきた年代にあって、高木和卓(東京アート)はこう口火を切った。
「最近はすごい調子もよくて、前期の日本リーグも全勝で終わって、体もよく動くので、衰えは全く感じていませんね。
 20歳過ぎの頃に一番勢いがあるというのをみんなが言いますが、僕の場合はその頃と比べても、パフォーマンスはそんなに下がっていないと思っています。それよりも、日本のレベルが全体的に高くなったというのはすごく感じています」
 日本のレベル、特に若手のレベルが急激に上がりつつある現状は、ベテラン選手にとっては必ずしも歓迎すべき状況とは言えないだろう。しかし、そのことを高木和は決してネガティブには捉えていない。
「今は、必死に若手に頑張ってついていく、頑張って勝つというのを目標にしていて、その過程として日本リーグの試合を大事にしています。そして、日本の若手、あとは、海外の選手と対戦をするときは、1本1本すごい大事にプレーしていますし、対戦すること自体がモチベーションになっていますね」


若い時には気づかなかったトレーニングの重要性

 高木和は最近、その重要性に気づいたものがあるという。それはフィジカルトレーニングだ。
「大森隆弘監督がナショナルチームのトレーニングを見て教えてくれたものや、東京アートのマッサーの方に動画で送ってもらったものを1カ月くらいやってみたんです。そうしたら、動きが全然違ってきて、今までは重い感じで動いていたのに、サッと軽く動けるようになったんです。
 若い頃は体が動いてしまうので気づきづらいと思いますが、若い時からやっていたらもっと速く動けたかなと思いますね。今さらですが、トレーニングの大事さが身に染みてわかったので、週に3回くらいですが取り入れるようにしています」

 選手として強くなることを追究するのはもちろんの話だが、最近では年長者として別の視点も生まれつつあるという。
「もちろん、まだまだ選手として頑張らなくちゃいけないんですが、若手の弱点やこうしたらもっとよくなるというところを見つけたら、教えてあげたいという気持ちも出てきたんです。以前だったら、『あいつ下手だな』とか『ここが弱いな』で終わっていたのですが、『ここをこうしたらもっとよくなるから教えてあげよう』という感じに変わってきて、たまにそういうこともするようになりました。
 もうナショナルチームも僕が一番年上ですし、そういう役割があるのかなという気はしています。僕は水谷みたいに海外でメダルを取ったわけではありませんが、まだ成績を残していない若手には教えられることがいっぱいあると思っています。みんな技術レベルは高いし、伸びしろは大きいので、ちょっとしたことですぐにがらりと変わるかもしれない。変えてあげられたらいいなと思っています」


支え続けてくれた東京アートと日本リーグ
ホーム&アウエーマッチの可能性


 こうした選手としての成長を支え続けてくれたのが、東京アートと日本リーグだと高木和は語る。
「高校卒業以来、12年間お世話になっていて、すごく応援もしてくださっている東京アートには感謝の気持ちもありますし、日本リーグに加盟している東京アートというチームがすごい好きですね。
 一方で、日本リーグは強い選手がたくさん出ているのに、観客があまり入らないことが多くて残念な思いをしてきました。僕ら選手としては、大勢のお客さんの前でプレーすることは、緊張感を持つことができて、強くなる一番の方法だと思っているので、そういう環境で試合をしたいという気持ちはすごくあります。
 海外のリーグを見ると、ホーム&アウエーマッチでやっているところがほとんどですし、日本リーグでも、東京アートがリコーや協和発酵キリンとホームマッチをやると、卓球を好きなお客さんが結構入ってくれるんです。実際に近くでプレーしているところを見ると、緊張感も伝わるし、選手の表情も見える。そういうのは観戦する上で大事だと思うんですよ。だから、全部ホーム&アウエーでやるというのは1つの方法としてあると思います」


競ったときでも自信を持って振れる
『インナーフォース』と『テナジー』の組み合わせ


 安定感、粘り強さには定評のある高木和だが、そうしたプレーを支えている一つが用具だ。
「以前は、大矢君と同じ(インナーファイバー仕様ではない)ZLカーボンの特注ラケットを使っていましたが、プラスチックボールになってから、ボールが飛ぶようになったので、もうすこし弾みを抑えてもいい思い『インナーフォース レイヤー ZLC』に変更しました。ラバーは両面『テナジー05』のままです。
 インナーフォースは打球後、以前使っていたラケットよりもボールが上に出るので弧線を描きやすく、オーバーミスが減って、相手コートに入る確率が格段に上がりました。
 卓球というのはミスの少ない方が勝つ競技です。競った場面でミスせずに、どれだけいいコースを突けるかというのが僕が一番大事にしていることです。そういう場面で思い切って振ることができる今の『インナーフォース レイヤー ZLC』と『テナジー05』の組み合わせは、僕にとって理想的な用具だと感じています」


息の長い選手になるよりも強い選手でいたい

 最後に、今後の目標を聞いてみた。
「今は、本当に無駄にできる試合はないと思っているので、一生懸命やらない試合はありません。若手にも、強い選手にも勝って、どんな大会でも上位を狙っていけるようにしたいですね。
 ヨーロッパの選手は息が長いとよく言われますが、それは強いからこそ続けていられるわけで、弱くなったら選手として続けていくことは難しい。だから、僕も長くやるということ自体は目標ではありません。少しでも強くいたいし、選手である以上、強さは必要だと思うんです。
 可能な限り続けて行く中で、若手に対してもプレッシャーをかけすぎず、上から目線になりすぎず、卓球の強い弱いに関係なく、お互いに年齢は意識せずに同世代みたいな感覚で接してもらいたいですね。僕自身も先輩たちとそういういい関係を築いてきたので、そうしていけたらいいと思っています」

 昨年末に行われた世界卓球ハルムスタッド2018の代表選考会で吉村和弘(愛知工業大学)と松平健太(木下グループ)を破った試合では、持ち前のラリー戦での安定感に加え、前陣で精度の高い攻撃的なプレーを見せ、今なお自身のプレーをアップデートし続けている様に、いい意味で期待を裏切られた。そして、率直にこう思った。「高木和卓は強い」。
 キャリア的にはベテランと呼ぶことに差し支えはないはずだが、どこかでそう呼ぶことに抵抗を感じさせるのは、高木和の強さに対する貪欲さゆえなのだろう。高木和がこの貪欲さを失わない以上は、何歳になっても「強い選手」でい続けるに違いない。


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高木和卓:https://www.butterfly.co.jp/players/detail/takakiwa-taku.html

(インタビュー=猪瀬健治、文=佐藤孝弘)

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