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水谷隼に聞く 24 チキータがすごい選手

 

チキータとは、台上のボールをバックハンドドライブする技術で、主としてレシーブの時に用いる。
 チキータの起源をたどると、もともとはピーター・コルベル(チェコ)が考案した技術だ。コルベルがジュニア時代、練習の合間にいろいろな打ち方をして遊んでいた中から、偶然に生まれた打法だった。そうして、打球の軌道がバナナのように曲がることから、バナナの有名ブランドにちなんで「チキータ」と名付けたのだった。

 コルベルが実戦で初めてチキータを使ったのは、1990年のヨーロッパ選手権大会の団体戦、チェコ対オーストリアの試合だった。オーストリアにはディン・イーとチャン・チャンリーという中国出身で右ペン表ソフト速攻型の選手がおり、コルベルはその2人との対戦でチキータを試した。「それぞれの試合でチキータを使ってみたら、ペンホルダーの2人は明らかにパニック状態に陥った。相手が僕の打球の曲がり方を予測できず、大きく空振りした」とコルベルは語っている。
 こうして世に出たチキータは、ドライブというよりもフリック(払うように打つ打法)に近く、主要な技術というよりもレシーブのちょっとしたアクセントといった趣だった。

 そのチキータを、ついに「攻撃の柱」として完成させたのが、水谷隼が挙げた張継科(中国)である。
 張継科はコルベルのチキータを見て、この技術にはもっと質を高める余地があると考え、チキータの研究に取り組んだ。スピード、スピン、パワーを総合したボールの質を高めるために練習を重ねたのだ。
「10〜15年前、レシーブはツッツキが主流でした。しかし、チキータを見て、これは相手の3球目を阻止し得る技術だと感じました。チームから指示されたわけではなく、自分の意志でチキータを研究しました」と張継科。

 そうして張継科は、チキータを非常に攻撃的な技術へと進化させた。その攻撃的なチキータを駆使し、張継科は2011年世界選手権ロッテルダム大会男子シングルス優勝、2012年ロンドン五輪男子シングルス金メダル、2013年世界選手権パリ大会男子シングルス優勝とビッグタイトルを獲得した。

 その張継科から、これからチキータを習得したいと考えている選手にアドバイスをもらったので、紹介しよう。
「私は、最初は上回転のボールをチキータする練習から始めました。そして徐々に、少しだけ下回転がかかったボールをチキータ、強い下回転がかかったボールをチキータ、と練習を進めました。
 チキータは手首や指の使い方が大事だと私は思いますが、感覚というものは人それぞれ違いますし、大事だと感じるポイントも選手によって異なると思います。また、フォームも人それぞれですから、皆が私のフォームをまねするのが良いとは思いません。ですから、自分でどんどん試してみて、自分でいろいろなことを感じてみてください」



取材=猪瀬健治 文=川合綾子
※文中敬称略

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