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卓レポ名勝負セレクション 
全日本 激闘の記憶 Select.6 早田ひな 対 伊藤美誠

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズは、全日本卓球選手権大会で繰り広げられた記憶に残る名勝負を紹介してきた。
 ラストは、令和元年度(2020年1月)の全日本卓球選手権大会(以下、全日本)女子シングルス準決勝、早田ひな(日本生命)対伊藤美誠(スターツ)の名勝負をお届けしよう。

■ 観戦ガイド
前年の完敗を糧にした早田ひなが、
渾身のプレーで女王・伊藤美誠に立ち向かう!

 前回は昨年(2020年1月)の全日本男子シングルスで際立った激闘を紹介した。同大会における女子シングルスで一番の激闘はといえば、早田ひな対伊藤美誠の準決勝だ。

 昨年の全日本の大会前、女子シングルスの優勝争いについてはあまり騒がれていなかった。「伊藤の優勝でほぼ間違いない」と見られていたからだ。ハイレベルな選手がそろう日本女子だが、その中にあっても、中国の主力選手たちと互角以上に渡り合う伊藤の力はずば抜けていると見られていた。
 三連覇を目指して今大会の女子シングルスに臨んでいた伊藤は、6回戦で前田美優(日本生命)、準々決勝では快進撃を続けてきた中学生チョッパーの小塩遥菜(JOCエリートアカデミー)を寄せ付けず、ベスト4まで順調に勝ち上がる。
 場内の多くが、前評判通りの強さを見せつける伊藤の三連覇を予感する中、待ったをかけたのが早田だ。

 伊藤、平野美宇(日本生命)の同級生二人に皇后杯の獲得で先を越されていた早田は、悲願の初優勝を目指し、6回戦で日本リーグの実力者・加藤千秋(十六銀行)、準々決勝で日本代表のカット主戦型・佐藤瞳(ミキハウス)に完勝して勝ち上がる。
 前日に伊藤と組む女子ダブルスで三連覇を決めた早田は、一夜明け、最強のパートナーから倒すべき相手へと変わった伊藤と準決勝で対峙した。

  両者は前年(平成30年度全日本)の女子シングルス準決勝でも対戦しているが、そのときは、伊藤が変幻自在の速攻で早田にまともにプレーをさせず、完勝している。この全日本の直前まで行われていたTリーグで好成績を挙げ、全日本初優勝へ向けて充実のプレーを続けていた早田だが、それでも伊藤を倒すのは難しいだろう。
 そんな見立てで始まった両者の対戦だったが、昨年、伊藤に完敗を喫した後、「全日本は勢いだけでは勝てないなと本当に思いましたし、センターコートで試合をする緊張感とか自分を奮い立たせる気持ちが必要だと思いました。この中で自分の力を出し切る難しさを実感しました」と悔しさをにじませながら語っていた早田が、リベンジを果たすべく、渾身のプレーで伊藤に立ち向かっていく。

 大本命の圧巻の優勝劇も胸がすくが、新たな挑戦者が絶対王者を越える衝撃を味わえるのもスポーツの醍醐味だ。そして、多くの卓球選手が人生を賭ける全日本だからこそ、さまざまなドラマが生まれ、こうした醍醐味をより深く味わうことができる。
 今年はどんな激闘が我々の感情を揺さぶってくるのか。令和2年度全日本の開幕はもう間もなくだ。
(文中敬称略)

(文/動画=卓球レポート)

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