今シリーズでは、4月下旬から5月上旬にかけてイギリスのロンドンで開催された第58回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2026ロンドン)で繰り広げられた熱戦を厳選して紹介する。
今回は、男子団体準決勝の中国対フランスの1番、王楚欽(中国)対F.コトン(フランス)をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
前回釜山大会決勝の再現となった中国対フランス
世界最強の王楚欽を新鋭・F.コトンが追い詰める!
中国対フランスは、前回釜山大会の決勝でも対戦しており、その時は中国が3対0のストレートでフランスの挑戦を退け、11連覇を達成した。
今大会で12連覇を目指す中国だが、ここまでの勝ち上がりは芳しくない。予選リーグで韓国とスウェーデンに相次いで敗れ、1位通過が鉄板と思われていた予選リーグをまさかの3位で終えると、決勝トーナメントに入ってからも、2回戦のルーマニア戦トップでいきなり梁靖崑がE.イオネスクに完敗し、中国らしくない戦いぶりが続いている。
ピリッとしない中国だったが、しかし、準々決勝では予選リーグで敗れた韓国に、各選手とも気迫のこもったプレーを見せてストレート勝利でリベンジを果たし、チーム状態を上げてきている。
一方のフランスはここまで好調だ。日本、ドイツ、中華台北と強豪がそろった予選リーグを全勝で1位通過すると、決勝トーナメント1回戦でアメリカ、2回戦でポルトガル、準々決勝ではブラジルをいずれも3対0のストレートで圧倒し、準決勝まで勝ち上がってきた。
F.ルブラン、A.ルブランの世界最強の兄弟に、技師のゴズィー、若手のF.コトン、ポレの布陣は強力で、中国を脅かす力は十分ある。
中国のトップは、王楚欽。世界卓球2025ドーハ男子シングルスを制した世界王者で、世界ランキングは、2位のモーレゴード(スウェーデン)をポイントで倍近く引き離しての1位と、文句なしに世界最強の選手だ。
今大会、精彩を欠く中国にあって、ここまで7戦全勝と際立つ強さでチームを引っ張っている。力の拮抗しているフランスに中国が勝利するためには、王楚欽の先制点が絶対条件だ。
対するフランスは、1番に18歳のF.コトンを抜擢してきた。3月に行われたWTTコンテンダー チュニスで優勝するなど、世界ランキングをハイスピードで上げてきているフランス期待の新鋭だ。
変化の分かりにくいサービスと強烈なチキータ、思い切った両ハンド攻撃が魅力の選手で、予選リーグの日本戦では戸上隼輔、準々決勝のブラジル戦では世界卓球2025ドーハ男子シングルス2位のカルデラーノを倒している。コートに向かうF.コトンの様子からは、王楚欽をも倒してやろうという気配がにじんでいる。
試合が始まると、第1ゲームはジュースまで競り合うが、王楚欽が要所でF.コトンのミスを誘って物にする。第1ゲームを競り勝ったことで、ここからは地力でまさる王楚欽が圧倒するかに思われた第2ゲームから、F.コトンがうなるようなチキータと果敢な両ハンドで絶対王者に肉薄していく。
(文中敬称略)(世界ランキングは大会時)
(文=卓球レポート)




