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戸上隼輔 インターハイを制した技
エース連発の縦回転系サービス②

 電光石火の両ハンド攻撃で、8月に行われたインターハイを制した戸上隼輔(野田学園高)。特別企画として、戸上がインターハイを制するために磨いた技の数々を明らかにしていく。
 2回目も前回に続き、インターハイで大きな効果を発揮した縦回転系サービスにスポットを当てる

※本文の技術解説は右利き選手同士の対戦を想定しています



「トス」「バックスイング」「コース取り」の
3つで縦回転系サービスの威力が増す

 左右の横回転系サービスを出す選手が多い中、戸上は縦回転系サービスをメインにサービスを組み立てる。
 前回は下回転サービスとナックル性サービスを出すときのポイントを話してくれた。今回は、この2つの縦回転系サービスを生かすために戸上が心掛けているポイントを紹介しよう。

■縦回転系サービスの変化を分かりにくくするポイント
トスを低めに上げ、ラケットをコンパクトに引く

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 下回転サービスがよく切れていることに加え、その切れた下回転サービスと似たフォームや振りの速さでナックル性サービス(意図的に回転をかけないサービス)を出せることが、戸上の縦回転系サービスが効く大きな理由であることは前回述べた。さらに、戸上は変化を分かりにくくするために、次のようなポイントを心掛けているそうだ。
「僕は、縦回転系以外のサービスを出すときは高めにトスしますが、縦回転系サービスを出すときはトスをできるだけ低くします。トスが低いほど、相手は(こちらのラケットの動きを)目で追える時間が少なくなるので、回転の変化を分かりにくくすることができるからです。
 できるだけ小さくバックスイングすることも心掛けているポイントです。バックスイングが大きいと、相手に変化を読むための手がかりを与えてしまいます」と戸上。
 相手に回転を見破られないために、低いトスとコンパクトなバックスイングを心掛けているという戸上の考え方は、縦回転系サービスの効果を高める上で参考になるだろう。

■縦回転系サービスの効果を高めるポイント
フォア前とバック前へ厳しくコントロールする

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 「インターハイでは、ミドル前(センターライン付近)はなるべく出さないようにし、フォア前とバック前を中心に出しました」
 こう振り返る戸上の言葉には、縦回転系サービスの効果を高めるためのヒントがある。ミドル前は、相手がフォアハンドとバックハンドのどちらでレシーブするのか判断に迷うコースだが、その半面、「いろいろなコースにレシーブされやすい」というデメリットがある。そこで、戸上はフォア前とバック前にコースを絞って相手のレシーブのコースを限定させることを選んだ。
「インターハイに臨むにあたり、縦回転系サービスの練習に多くの時間を割きました。特に意識したのは、コースです。
 具体的には、フォア前に出す場合は、ツーバウンド目がフォア側のサイドライン(白線)にかかることを目指して繰り返し練習しました。一方、バック前へは、バック側のサイドラインにスリーバウンド目がかかることを目標に練習しました。このように厳しいコースを狙うと、仮にサービスが長くなったとしても相手の打つコースが限定できます」
 戸上は縦回転系サービスの配球をフォア前とバック前に絞り、いかに厳しくコントロールするかを意識して練習を積んだ。そうして相手のレシーブのコースを限定し、サービスからの展開で優位に立ったことが、戸上がインターハイを制した原動力の一つだ。



(取材/文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘 動画=小松賢)
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