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グナナセカランを徹底分析!
Analysis03 カウンタードライブ

 インドから世界のトップシーンへと躍り出たグナナセカラン。彼と対戦したトップ選手はかく言う。「特別すごいものはない。それなのに、気づくと沼に引き込まれている」。
 トップ選手たちをも誘い込んでしまうグナナセカランの「沼」とは一体どんなものなのか。この特別企画では、グナナセカランの強さについて、本人のコメントをもとに分析していきたい。
 3回目は、カウンタードライブにスポットを当てよう。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーを想定しています

カウンタードライブは自分のレベルを引き上げた技術

 この特別企画の1回目2回目では、グナナセカランのインテリジェントな(頭脳的な)プレーを支えるブロックについて紹介した。
 今回は、「自分にとって最も有効な武器」とグナナセカランが自信を持つフォアハンドのカウンタードライブ(ドライブをドライブで打ち返す技術)について掘り下げていきたい。

「カウンタードライブは、自分にとって最も有効な武器です。小さい頃はドライブに対してブロックしかできませんでしたが、2012年から、新しくコーチになったラマン(サブラマニアム・ラマン。2000年シドニーオリンピック代表)が、さらに上達するためにはカウンタードライブが必要であることを教えてくれました。その頃からカウンタードライブの練習を多く取り入れるようになりました。
 私には中国選手のようなパワーはないので、卓球台から離れてプレーするのは得策ではありません。そのため、卓球台の近くに構えて(前陣で)カウンタードライブすることを意識しています。前陣でカウンタードライブすることにより、相手にとっては速いタイミングでボールが返ってくるので対応が難しくなります。
 カウンタードライブはここ数年で習得した技術ですが、これによって自分のプレーが次のステージに到達できたと思います」

安定性を意識することが、カウンタードライブをマスターする鍵

 カウンタードライブを磨いたことが、自分を今のレベルへ押し上げたと語るグナナセカラン。トップ選手は総じて精度の高いカウンタードライブを身に付けているが、グナナセカランも例外ではない。多彩で正確なブロックからカウンタードライブへの連係は、グナナセカランの得意パターンだ。
 とはいえ、素早い判断や動作が求められるカウンタードライブは、得点力が高い半面、ミスするリスクを伴う技術でもある。グナナセカランは、どのようにしてカウンタードライブを磨いたのだろうか。

「長年、カウンタードライブを練習してきた中で、良いカウンタードライブを身に付けるために『安定して打つ』ことを心掛けてきました。ミスが多ければ自信を失ってしまうからです。そのため、私は安定性を第一に考え、相手のドライブに対してはブロックする代わりに、できるだけミスなくカウンタードライブを多く打つよう意識して練習しました。
 相手のドライブの回転やスピード、打ち方などを理解することもカウンタードライブを身に付けるための大切なポイントです。加えて、自分のラケット角度をどのようにするか、カウンタードライブするためにはどれくらいのスピードでラケットを動かすのか、などを理解することも大切です。このように、相手のドライブの球質と自分の動作を理解することで、カウンタードライブがより簡単になると思います。
 仮に、私が子供たちにカウンタードライブを教えるとしたら、アドバイスはいたってシンプルです。『相手のドライブに対してカウンタードライブのスイングをする』ということです。
 子供の年代であれば、相手がドライブしてきたらブロックで対処することが一般的だと思います。しかし、相手のドライブに対して、ブロックではなく、カウンタードライブすることを意識していれば、徐々にカウンタードライブが磨かれるでしょう。
 そして、子供たちにとってカンタードライブを身に付けることは、トップレベルになる上で最も簡単な手段の1つだと言えます」

カウンタードライブの精度を高める技術ポイントと用具について

 カウンタードライブは、ミスを承知でトライし、徐々に命中率(安定性)を高めていくというのが一般的な習得の流れだろう。しかし、初めから安定性第一でカウンタードライブに取り組んだところに、グナナセカランの強さに通じる卓球観が表れている。「相手のドライブの球質や自分の動作を理解する」というコメントや、これから上達を目指す子供たちへのアドバイスも、カウンタードライブの精度をもっと高めたいという選手にとっては大きなヒントになるだろう。
 カウンタードライブの技術的なポイントについて、グナナセカランは次のように話す。

「カウンタードライブでは、手首を使うことを心掛けています。特に、手首を速く動かすことが重要で、そうすると、ボールにパワーを伝えやすくなります。
 具体的には、ひじを始点にスイングを始め、最後はスピーディーな手首の動きにつなげます。この動作によって、よりスピードのあるカウンタードライブを打つことができます」

 このコメント通り、下に掲載している連続写真では、ラケットをしっかり振りつつ手首を使ってドライブをかけ返している様子が分かる。上体をしっかりひねった準備や、力みのないリラックスしたスイング全体の雰囲気なども参考にしてほしい。
 練習方法や技術的なポイントのほか、カウンタードライブの精度を高める上では用具も重要だとグナナセカランは語る。
 そこで、最後は自身の使用用具についてのコメントを紹介しよう。

「ラケットは張継科SUPER ZLCを使用しています。とてもスピードが出て、コントロールが良く、感触も良いラケットです。
 フォア面のラバーはテナジー05ハードからディグニクス09Cに変えました。トップシートが良く、回転がかかるので、ディグニクス09Cはカウンタードライブの技術にとても向いているラバーです。このラバーを使うことで、試合におけるカウンタードライブの精度が高まりました。そのため、ディグニクス09Cを使うことに決めました。
 一方、バック面には、ディグニクス05を使用しています。ディグニクス05はスピンブロックや攻撃的なバックハンドに向いており、コントロールと回転のバランスに優れているラバーです。
 これらの理由から、私は今のラケットとラバーを信頼して使っています」
※使用用具は取材時(2020年12月)のものです

フォア側に来たドライブに対する
フォアハンドのカウンタードライブ



↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート編集部)

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