トップ選手たちのグリップ（ラケットの握り）にフォーカスを当てる新企画のスタートです。
ラケットを直接操作するグリップは、技術の精度に大きく関わります。強い選手たちはラケットをどのように握り、どのように力を入れて打球しているのでしょうか。強者のグリップから、上達のヒントをつかんでください。
第2回は、篠塚大登（愛知工業大）のグリップに迫ります。
※本文の技術解説は左利きプレーヤーをモデルにしています
※2023年2月時点での用具
篠塚大登のフォアハンドのグリップ
人さし指を使えるようになることが課題です
--篠塚選手のグリップは一見すると深めですね。
篠塚 フォアハンドを打つときは普通だと思いますが、バックハンドを打つときは（親指と人さし指で）つまむように握っています。ですから、フォアハンドからバックハンドに切り替えるときはグリップを変えますね。普段、グリップはあまり意識していませんが、あらためて意識してみると結構変わっていますね。
--これまで、グリップはあまり意識していませんでしたか？
篠塚 いや、フォアハンドが巻き気味（手首を手のひら側に曲げた状態）になってミスすることが多いので、フォアハンドがうまい選手にフォアハンドのグリップを聞いたりしました。
愛工大名電高時代、1歳下の後輩に鈴木颯（2022年インターハイ三冠王）がいて、彼がとてもフォアハンドがうまいので、「どうやって握っているの？」と聞いたりしていました。
--指導者からグリップについてアドバイスはありましたか？
篠塚 グリップについて言われたことはないですが、フォアハンドを打つときに手首が内側に入ってしまう（手のひら側に曲がってしまう）ので、「開くように意識して」とはよく言われました。
バックハンドを打つときのグリップのままだと、どうしてもフォアハンドは巻き気味になりやすいので、フォアハンドを打つときは打球面を開くようなグリップに変えるよう意識しています。
--フォアハンドを打つときは、具体的にどのように握っていますか？
篠塚 そこまで深く持ちすぎないようにしています。人さし指より、中指・薬指・小指で握っています。でも、フォアハンドがうまい選手は「人さし指を利かせてラケットヘッド（ラケットの先端）を回している」と聞くので、もっと人さし指を使えるようになりたいと思います。
単純に考えても、中指・薬指・小指に力を入れすぎたら巻きやすいですよね。人さし指を使った方が良いスイングができるのではないかと思います。
--ちなみに、鈴木選手からはどういうアドバイスがありましたか？
篠塚 鈴木はフォアハンドとバックハンドとでグリップはあまり変えないそうです。それで、フォアハンドはあまりグリップを気にしなくていいと言われましたね。ただ、「もうちょっと人さし指でラケットヘッドを回すようにした方がいいです」と言われたので、人さし指を使えるよう意識しているところです。
篠塚大登のフォアハンドドライブ
篠塚大登のバックハンドのグリップ
親指と人さし指に力を入れています
--次に、バックハンドを打つときのグリップを教えてください。
篠塚 バックハンドは、親指と人さし指に力を入れるようにしています。バックハンドで中指・薬指・小指に力を入れる人はあまりいないのではないでしょうか。でも、フォアハンドとバックハンドとでグリップをあまり変えない選手は、もしかしたらバックハンドを打つときに中指・薬指・小指に力を入れているかもしれないですね。
--篠塚選手は、指のどこかにまめができていますか？
篠塚 中指の付け根あたりと親指の第一関節あたり、それから親指と人さし指の股の3カ所あります。
親指の第一関節のまめはバックハンドの影響ですね。
そのほかのまめはフォアハンドの影響だと思います。フォアハンドを打つ時は、手のひらの肉でラケットを挟んでいるような感じがします。
--握りやすさやまめの予防でラケットは削りますか？
篠塚 何もしないです。だから、ほかの選手が僕のラケットを使うと痛いって言われます（笑）。周りの選手はみんな削っているので「あ、削るんだ」という感想です。逆にみんなからは「え、削らないの？まじ？」と少し驚かれます。
--ラケットを削らない美学みたいなものがあるのですか？
篠塚 いや、持ちづらいと思ったことがないので。
--削る必要がない？
篠塚 そうです。
--さすが天才肌！
篠塚大登のバックハンドドライブ
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（取材／まとめ＝卓球レポート）
