ラケットを直接操作するグリップ(ラケットの握り)は、技術の精度に大きく関わります。強い選手たちはラケットをどのように握り、どのように力を入れて打球しているのでしょうか。強者のグリップから、上達のヒントをつかんでください。
今回は岩井田駿斗(野田学園高校)のグリップに迫ります。
※本文の技術解説は左利きプレーヤーをモデルにしています
※2025年10月時点での用具
岩井田駿斗のフォアハンドのグリップ
中指をラケットにかけるように握っています
--岩井田選手のグリップを紹介してください。
岩井田 フォアハンドを打つときは、多くの人は中指をグリップ部分にかけると思いますが、僕は中指をラケット(板面)にかけるように握っています。人さし指は、中指に沿うように自然な感じで伸ばしています。
--特徴的なフォアハンドのグリップですね。
岩井田 小学生の頃からこのグリップです。周りからも、「変わったグリップだね」と言われます。
--一般的なグリップだと違和感がありますか?
岩井田 違和感はあります(笑)。みんなと同じように、中指をラケットにかけずに握ろうとしたこともあったんですけど、そうすると、フォアハンドのときにラケットが吹っ飛びそうになってしまって(笑)。なので、このグリップにしています。
--ラケットが飛んだら大変ですね。ちなみに、フォアハンドを打つときは、どの指に力を入れていますか?
岩井田 中指・薬指・小指です。打つ瞬間に、この3本の指にグッと力を入れて握るイメージでフォアハンドを打ちます。親指は添える程度であまり意識していません。
--ちなみに、サービスを出すときはどのように握りますか?
岩井田 中指・薬指・小指の3本をグリップから外し、人さし指と3本指を丸めるようにして手首を利かせやすいよう握っています。
岩井田駿斗のフォアハンドドライブ
岩井田駿斗のバックハンドのグリップ
中指をグリップ部分に戻し、親指を少し立てます
--続いて、バックハンドを打つときのグリップについて教えてください。
岩井田 バックハンドを打つときは、フォアハンドを打つときとグリップが変わります。フォアハンドを打つときは中指をラケットにかけていましたが、バックハンドを打つときは、中指を下げてラケットのグリップ部分に戻します。親指は、少し立つように握ります。
--フォアハンドとバックハンドとでグリップが結構変わりますね。
岩井田 はい。もう慣れているので、ラリー中は勝手に瞬間的にグリップが切り替わります。
--バックハンドを打つときは、どの指に力を入れますか?
岩井田 中指・薬指・小指に力を入れますが、親指にもクッと力を入れるので、全体的に力が入る感じですね。
岩井田駿斗のバックハンドドライブ
岩井田駿斗の用具
「パーン」と音が鳴るラケットやラバーが好きです
--岩井田選手の用具について聞かせてください。
岩井田 自分は両面ディグニクス05を使っています。フォアハンドはボールのスピードが出やすくて、バーンと打球したときにいいボールが行ってくれます。バックハンドも、直線的にボールが走ってくれます。
自分はラケットを振るタイプで、ディグニクス05は振ったときに相手に時間を与えないようなボールが打てるので、そこが自分に合っていると思います。
--ラケットについてはどうですか?
岩井田 ラケットは樊振東 ALCです。以前は、ZLCのラケットを使っていたのですが、安定系のラケットだったので、もう少し飛ばしたいなと思っていろいろ試した結果、今のラケットが飛びすぎずちょうど良い感じだったので使っています。
--岩井田選手の用具選びのポイントを教えてください。
岩井田 打ったときに、「パーン」と音が鳴るようなラケットやラバーが好きです。逆に、打っても芯に当たってないような音がするラケットやラバーは苦手です。
--サウンド重視?
岩井田 多分、そんな感じです(照)
--ちなみに、どのようなプレーのときの音ですか?
岩井田 自分から思い切り打ったときの音がメインですが、あとは、相手に打たれてかけ返すときにどんな音がするのかも気にしています。
--ラケットは削りますか?
岩井田 はい。僕はフォアハンドを打つときに中指をラケットにかけるように握るので、そこが痛くないよう紙やすりを使って自分で削っています。親指を置くあたりのところも軽く削ります。
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(取材協力=野田学園 取材/まとめ=卓球レポート)




