1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国内大会
  4. 全日本卓球(一般・ジュニア)
  5. 2024年
  6. 2024年全日本卓球 男子シングルスの見どころガイド

2024年全日本卓球 
男子シングルスの見どころガイド

 
 いよいよ2024年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月22日より東京体育館で開幕する。
 伝統と権威ある全日本卓球選手権大会(以下、全日本)は日本の卓球選手ならば誰もが目標にする大会だが、昨年に引き続き、今年の全日本も2024年パリオリンピックの選考レースに関わるため、よりいっそう熱のこもった戦いが予想される。
 開幕に先駆けて、男子シングルスの有力選手と見どころを紹介しよう。
男子シングルスの組み合わせはこちら(日本卓球協会特設サイト内)


【第1ブロック】
戸上は全日本3連覇なるか
田中の勝ち上がり、松平兄弟対決にも注目

 シングルスのトーナメントは、大きく4つのブロックに分かれる。まず、第1ブロックから見ていこう。
 第1ブロックの本命はもちろん、今大会で3連覇がかかる第1シードの戸上隼輔(明治大)だ。長く厳しい選考レースを勝ち抜いて2024年パリオリンピック日本代表候補選考基準をクリアし、世界ランキングも日本選手2位となる24位(世界ランキング男子シングルス2024年第3週)まで上げてきた戸上は、気持ちも晴れやかに堂々と全日本に乗り込んでくるはずだ。選考レースの重圧から解き放たれた戸上が持ち前の爆発力をいかんなく発揮すれば、トーナメントを一気に駆け上がっていく可能性は高い。
 勢いに乗れるかどうかの鍵は、スーパーシードの戸上にとって初戦となる4回戦。オールラウンダーの木塚陽斗(明豊高)か学生の実力者・谷垣佑真(愛知工業大)が勝ち上がってくる可能性が高く、初戦としてはどちらも手ごわい相手だ。戸上がここをしっかり切り抜ければ、流れに乗っていけるだろう。
 このブロックで戸上を脅かす一番手は、田中佑汰(個人)。2023年アジア卓球選手権平昌大会で王楚欽(中国)をはじめ、世界の強豪を連破してベスト8入りを果たし、一躍その名を世界に知らしめた田中は、パリオリンピック選考会でもコンスタントに上位まで勝ち上がり、選考レースで4位につけている。全日本を制し、パリオリンピック出場に向けて強くアピールしたいところだろう。
 田中の対抗のスーパーシードには学生王者の岡野俊介(朝日大)、そのシード下には強打者酒井明日翔(シチズン時計)、オールランダーの英田理志(HRマネージメント)ら力のある選手がひしめいており、混戦必至だ。
 田中、岡野の上のブロックには世界卓球2022成都代表の横谷晟(愛知工業大)と、混合ダブルスで3度の優勝を誇る田添健汰(木下グループ)が入った。両者とも波に乗れば上位進出を狙える爆発力があるだけに、勝ち上がりに注目だ。
 また、組み合わせの妙というほかないが、社会人王者の松平賢二(協和キリン)のシード下には、弟の松平健太(ファースト)が入った。一昨年の全日本2位でTリーグでもトップクラスの活躍を続けている松平健太の力からすれば、兄の松平賢二と対戦する4回戦まで勝ち上がる可能性は高い。松平兄弟の対戦が実現すれば、このラウンドの大注目カードになるだろう。
 このほか、田中のシード下に入った全中チャンピオン渡部民人(星槎中)の戦いぶりにも注目だ。

戸上は3連覇にチャレンジ

前回は戸上に敗れ、ベスト8に終わった田中はリベンジを目指す

【第2ブロック】
前回4強の曽根、8強の吉山僚一が軸だが
シード下にも実力者がそろう大混戦ブロック

 第2ブロックは、実力者がそろう予測困難の混戦ブロックだ。
 その中でも、軸は強烈なチキータとバックハンドで前回ベスト4に入った曽根翔(T.T彩たま)になる。
 曽根の対抗のスーパーシードにはインターハイ王者の三木隼(野田学園)、そして、三木のシード下には有延大夢(琉球アスティーダ)、大島祐哉(木下グループ)と経験・実績とも十分のハードヒッターが入った。混戦模様の第2ブロックの中でも、誰が勝ち上がるのか要チェックの激戦区だ。
 曽根、三木の上のブロックには、日本リーグで活躍する上村慶也(シチズン時計)、小野寺翔平(リコー)がシードされ、それぞれ上位をうかがう。
 昨年8強の吉山僚一(日本大)のシード下には、神巧也(ファースト)、森薗政崇(BOBSON)が入った。両選手とも全日本決勝経験者で地力があるだけに、ここも誰が勝ち上がってくるのか注目だ。
 吉山僚一の下のブロックには、2012年全日本優勝の吉村真晴(TEAM MAHARU)と社会人ダブルス王者・渡辺裕介(協和キリン)がシードされた。そして、両者のシード下には、岩井田駿斗(野田学園中)、岡本翼(木下アカデミー)、吉山僚一の弟・吉山和希(岡山リベッツ)、一昨年のインターハイ三冠王・鈴木颯(愛知工業大)ら注目の若手が密集している。若手たちが吉村、渡辺らが待つスーパーシードまで勝ち上がるのか。勝ち上がったらどんなプレーで挑み、一方の吉村、渡辺はどう受けて立つのか。想像がふくらむブロックだ。

昨年3位の曽根。脅威のチキータで今年も台風の目となるか

昨年ベスト8の吉山は混戦ブロック突破を目指す

【第3ブロック】
篠塚対松島の左腕対決は実現なるか?
松下、及川、濵田ら実力者も上位をうかがう

 このブロックの最大の見どころは、篠塚大登(愛知工業大)と松島輝空(木下アカデミー)の左腕対決だろう。昨年3位でパリオリンピック選考レースでも3位につけている篠塚にとって、今回の全日本は、4位の田中佑汰同様、パリオリンピック出場に向けて自身の力をアピールする最後の舞台だ。昨年越えはもちろんのこと、初優勝を期して東京体育館に乗り込んでくるに違いない。
 一方、松島も直前に行われたWTT スターコンテンダー ドーハでは張本智和(智和企画)にゲームオールジュースで競り勝ち、林昀儒(中華台北)にもゲームオールまで迫るなど、目覚ましい成長を続けており、1月16日発表の世界ランキングでも33位と日本人として3番手につけている。まだ高校1年生の松島だが、多彩で正確無比なバックハンドがさく裂すれば、一気にトーナメントを駆け上がるポテンシャルがあることは、多くの読者が感じるところではないだろうか。
 順当に行けば、篠塚と松島は6回戦(ベスト8決定戦)で激突する。実現すれば、6回戦最大の注目カードになるだろう。
 もちろん、二人の対決がたやすく実現するほど全日本は甘くはない。
 篠塚の対抗には思い切ったプレーが魅力の松山祐季(協和キリン)、松島の対抗にはペンドラの第一人者・松下大星(クローバー歯科カスピッズ)がシードされており、それぞれこのブロックの主役の座を狙っている。
 篠塚、松島の反対側のトーナメントには、2021年全日本優勝及川瑞基(木下グループ)、Tリーグで存在感を放っている濵田一輝(早稲田大)、名門・明治大の主軸として活躍する宮川昌大(明治大)、全日本団体優勝の立役者高木和卓(ファースト)がスーパーシードで入り、高木和のシード下には全日本男子ダブルスで通算3回の優勝を誇る三部航平(シチズン時計)が入った。実績では元全日本王者の及川が一歩リードしているが、誰が勝ち上がってもおかしくない、いぶし銀の実力者がひしめくゾーンだ。

昨年3位の篠塚は前回越えを目指す

急成長を続けている松島。今大会の要注目選手だ

【第4ブロック】
張本は最年少記録を打ち立てた2018年以来の優勝なるか
宇田、吉田、丹羽ら強豪も上位をうかがう

 このブロックは第2シードの張本智和(智和企画)が軸だ。ぶっちぎりでパリオリンピックの日本代表候補選考基準をクリアした力は疑いようがなく、戸上と並んで優勝候補の大本命だろう。2018年の全日本で中学2年生で優勝し、史上最年少優勝記録を打ち立てて以降、日本を引っ張ってきた張本だが、そこから優勝を手にしていない。これまであと一歩というところで相手の猛攻の前に涙を飲んできた張本にとって、勝負どころでいかに攻められるか、あるいは受けきれるかがV2の鍵になるだろう。
 張本のシード下には、坪井勇磨(FPC)、木造勇人(関西卓球アカデミー)ら社会人の実力者が集まった。誰が張本への挑戦権を得るのか注目だ。
 張本の対抗のスーパーシードには、昨年のジュニア男子王者インターハイ2位の萩原啓至(愛工大名電高)が入った。萩原のシード下には2014年全日本2位の町飛鳥(ファースト)、山本勝也(リコー)ら社会人勢が名を連ねており、ここも若い萩原がシードを守れるか注目になる。
 張本、萩原の上のブロックには、全日本でコンスタントに好成績を収めている吉田雅己(木下グループ)と、2013年の全日本王者・丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)がスーパーシードに入った。吉田と丹羽は青森山田の黄金期を築いた同級生で、勝手知ったる両者の対戦は毎回好ラリーが続出する。互いがシードを守って対戦すれば名勝負は必至だ。
 張本の反対側の山には、宇田幸矢(明治大)、阿部悠人(専修大)、笠原弘光(Handy)、加山裕(日本大)がスーパーシードに入った。中でも注目は宇田。2020年に全日本を制して以降、けがも重なって思うような成績を残せていないが、今大会ではどのようなプレーを見せるのか注目したい。
 そのほか、笠原のシード下に入った元日本代表でドイツのブンデスリーガでも活躍するカット主戦型・村松雄斗(鹿児島県スポーツ協会)の勝ち上がりにも注目だ。

張本は今年こそ2018年以来のV2を果たしたい

宇田は豪打復活なるか

(まとめ=卓球レポート)

\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事