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坂本竜介が大胆予想!世界卓球2018ハルムスタッド <優勝の行方、技術傾向など>

卓レポ.comでは例年通り世界卓球の速報を現地からお届けする。それに先立ち、名解説としても知られる坂本竜介氏に世界卓球2018ハルムスタッドの行方を聞いた。男女とも中国が優勝候補ナンバーワンである事実は今大会も変わらない。坂本は打倒中国の可能性があるとすれば、それは男女とも日本しかないと語る。その理由とは?

<優勝の行方 男子団体編>

 もちろん中国が優勝候補筆頭で、これにドイツ、日本、韓国が続きます。このベスト4はおそらく揺らがない。ここに食い込める可能性があるとしたら、2点を取れる黄鎮廷がいる香港ですね。ダークホースでカルデラーノのいるブラジルといったところでしょうか。個人的な願望としては、日本が準決勝でドイツと当たって、決勝で中国と対戦してほしいですね。
 日本がドイツと当たるとすると、ボル、オフチャロフ対水谷、張本のダブルエース対決で4点ともガチンコの勝負ですね。全部の試合でどちらが勝ってもおかしくない。さらに3番で丹羽がフィルスと当たれば5試合全部ガチンコ勝負になります。観客としては見てみたいですね。そして、勝ってほしい。
 決勝では張本と樊振東の再戦を見たいですね。今度は樊振東も研究してくると思うので、簡単には勝てないと思います。樊振東が張本のレシーブ、特にチキータとストップの使い分けにどう対応してくるのかを見てみたいですね。また、強くなってから対戦していない張本対馬龍も見てみたいですね。
 これまでは水谷が絶対エースということで、確実に2得点することを義務づけられていましたが、張本が入ったことでこのプレッシャーから解放されると思います。プレッシャーにはもちろんポジティブな部分もありますが、対中国となるとこのようなプレッシャーは不要です。張本が前半で得点してくれれば、水谷は思い切ってプレーできるようになると思います。そうすると本当の意味でのダブルエースになりますね。3番の丹羽も許昕にはチャンスがある。となれば今まで以上に日本は中国に対して脅威になるんじゃないでしょうか。とはいえ、総合力で中国に分があるのは否定できません。前半で得点できなければ0対3で負けるというシナリオも大いにあり得ます。


<優勝の行方 女子団体編>

 女子は中国と日本がトップ2ですね。3位に入る可能性があるのが、中華台北、シンガポール、ダークホースでルーマニア。
 今大会では中国に勝つ可能性があるのは日本しかあり得ません。他のチームとの差はかなりあると思います。日本は予選で首位通過すれば決勝まで中国とは当たらないので、おそらく日本対中国の決勝が見られるでしょう。ちょっとだけ気をつけたいのは、中華台北です。日本選手に強い鄭怡静がいるので、彼女に点を取らせたくないですね。準決勝で中華台北と当たると少し怖いですが、日本の決勝進出は80%以上だと思っています。
 対中国で私が注目しているのは伊藤美誠です。彼女が対中国のキーパーソンになるでしょう。勝つためには伊藤の2点が必須といっても過言ではないと思います。可能性を感じるのは伊藤のプレーの意外性です。彼女の独創的なプレーが爆発すれば、何度も対戦している中国選手を焦らせることは十分にできると思います。伊藤の活躍が鍵ですね。


<技術的な傾向>

 注目してほしいのは女子のチキータです。女子はレシーブでチキータから攻める選手が勝ちやすい傾向にあると思います。女子の試合はまずレシーブに注目すると面白いでしょう。
 男子はチキータレシーブとそれに対するカウンタードライブなどの対策が成熟してきていますが、実際に選手がどれくらいの割合でチキータレシーブを使っているかを見てほしいと思います。トップ選手ほどイチかバチかのようなプレーを嫌うので、レシーブから無理をしていません。チキータをどれくらい使っているのかを含め、レシーブ時の判断力、また、他のレシーブ技術の高さも見てほしいと思います。ダイナミックなラリーも魅力的ですが、こういう細かいところに着目できるようになると、選手としての技術/戦術レベルも飛躍的に伸びることは間違いありません。
 また、個人的には張本選手のバックハンドの打球点の早さとバックスイングの小ささを、あらためて世界のトップ選手と比べて見てほしいですね。張本のバックハンドのすごさがわかると思います。勝ち負け以外でもそういう最先端の技術を見ることができるのも世界卓球の醍醐味ですね。


<団体戦の戦い方>

 基本的には個人戦も団体戦も「自分が絶対に勝つ」という気持ちでプレーしなければならないのは同じです。とはいえ、ベンチワークや試合の雰囲気なども含めて、個人戦にない緊張感が団体戦にはあります。一番大きいのは「責任」ですね。自分一人の勝ち負けの問題ではなく、チームの問題になってくる。それをポジティブに解釈して、自分が勝とうが負けようが次につなげて、チームとして勝てばいいという気持ちでプレーできる選手が、団体戦に強い選手だと思います。
 その点、日本男子にとって張本の存在は心強いと思います。最年少ですが、実力も気持ちもとても強い。先日のワールドカップでは、実力を出し切れていませんでしたが、倉嶋監督が最後まで2点使い続けた。あの起用のおかげで、ハルムスタッドでは問題なく実力を発揮してくれるんじゃないかと思います。
 日本選手は合宿も多いし、一緒に行動する時間も長いし団結力が強い。これは団体戦においては非常に大きなアドバンテージになります。みんなが助け合う心が強くて、苦しいときに踏ん張りがきくという面があると思います。チームプレーに向いていると言えますね。


<ABC-XYZ方式の特徴>

 世界卓球の団体戦ではABC-XYZという試合方式が採用されています。これは各チーム3人の選手が出場し、第1試合でA対X、第2試合でB対Y、第3試合でC対Z、第4試合でA対Y、第5試合でB対Zが対戦し、3点先取したチームが勝ちというものです。エースをどこに置くかというのがこの方式のポイントですが、私が重視しているのは5番、ラストに誰を置くかということです。5番まで回ったときに、経験のない選手に任せることは難しいでしょう。どのチームもできるだけ頼れる選手をラストに置きたい。日本男子であれば水谷隼、女子であれば石川佳純をラストに置くというのが今大会の定石になるのではないでしょうか。それが、4番までを戦う選手の心理状態にも大きく影響すると思います。ラストに水谷と石川を置ける日本は本当に強くなったと思いますね。ラストに馬龍か樊振東が来る中国はそれ以上に驚異的ではありますが。
 また、7ゲームスマッチの個人戦と異なり、団体戦は5ゲームスマッチで行われます。相手が格下であっても、様子見などをしている余裕はないので、1ゲーム目を全力で取りに行くことが5ゲームスマッチの戦い方と言えるでしょう。

(取材=猪瀬健治/まとめ=佐藤孝弘)

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