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全日本卓球ジュニア初優勝! 
川上流星インタビュー(前編)

 昨年末のインタビューで、全日本卓球ジュニア男子優勝、男子シングルスベスト8の目標を掲げ、有言実行を果たした川上流星(木下アカデミー)。
 シニアのカテゴリーでも大きな存在感を示し始めた川上に、快進撃を見せた全日本卓球2026を振り返ってもらった。
 インタビュー前編では、ジュニア男子と男子シングルス5回戦までの戦いぶりについて聞いた。



「来年は絶対優勝したい」と思って
この1年間ずっと練習してきた

--前回のインタビューで、川上選手はジュニア男子は優勝、男子シングルスはベスト8を全日本卓球の目標として掲げてくれました。まずは、その目標を達成できたことについての感想を聞かせてください。

川上流星(以下、川上) ジュニア男子で優勝した日は、一般(男子シングルス)の試合がその日も次の日もありましたが、本当にほっとしたというのが一番大きかったですね。試合が終わって疲れているということもなく、その日も髙見さん(髙見真己/日鉄物流ブレイザーズ)と大島さん(大島祐哉/琉球アスティーダ)に勝てて終わったので、疲れたというよりは良かったなっていう感じでした。

--ジュニア男子の優勝を味わう時間はありましたか?

川上 優勝して表彰式が終わった後、練習場の前にずっと座っていて、放心状態で「やっと終わったな」という感じでした。本当は練習する時間もありましたが、ずっとそこで座って「優勝したな」という気持ちで余韻に浸っていましたね。

--去年は決勝で敗れましたが、雪辱を果たすこともできましたね。

川上 そうですね。吉山選手(吉山和希/岡山リベッツ)に負けてから本当に「来年は絶対優勝したい」というのを、この1年間ずっと思って練習してきたので、優勝することができて本当良かったと思います。

昨年は惜しくも決勝で敗れ初優勝を逃した

--ジュニア男子の組み合わせを見て、どこがヤマ場だと思いましたか?

川上 最初に感じたのは5回戦ですね。小林選手(小林右京/木下アカデミー)は自分と同じチームの選手ですが、練習を一緒にやっている中でボールや癖を分かっていたので、自分なりに試合を見て分析して頑張りました。

--試合は圧倒的と言っていい内容だったと思いますが、特にどのような点がよかったのでしょうか?

川上 サービス・レシーブで先手を取れたというのが1番大きかったですね。自分の中でも凡ミスとかチャンスボールミスとか、基本的なミスはほとんどありませんでした。

--その小林選手以降では、準々決勝の中野琥珀選手(野田学園高)戦が激戦になりました。

川上 1番苦しい試合になると予想していたのがこの試合でした。この試合だけは絶対に競ると分かっていたので、試合に向けて気持ちや戦術の準備を自分の中でしてきました。
 中野選手とは2025年に2回試合していて、どちらも3対1で勝っていますが、中野選手はこの1年間でグッと成績も上がってきて、本当に強くなってきていたので、しっかり準備しました。
 中野選手は全体的にミスが少なくて、台上のフィーリングがあって、それに加えて両ハンドの威力もめちゃくちゃあります。特に、あのバックハンドは怖かったですね。

--1対2でリードされる苦しい展開でしたが、どのように乗り越えることができましたか?

川上 1対1で第3ゲームをあっさり取られてしまいましたが、気持ちを切り替えることができて、もう1回1ゲームを取りに行く気持ちでその4ゲーム目に挑めて、3点であっさり取ることができたので、次の5ゲーム目につなぎやすかったです。

--最終ゲーム(第5ゲーム)は8-1と大きくリードしたところから追いつかれてジュースになりました。油断がありましたか?

川上 普通にプレーしていたら点数が迫られてきていて、8-4になった時に時間を稼ぐためにタイムアウトを取りましたが、自分の凡ミスが出て10オールになってしまいました。自分が打ったボールがストレートにきれいにカウンターされてしまいました。

--最終ゲームのタイムアウトは自分で取ったのですか?

川上 8-4で大森監督(大森隆弘木下アカデミー男子監督)がタイムアウトを取る気がして、後ろを振り向いたらもう大森監督が立っていたのでタイムアウトを取りました。
 最終ゲームは、相手がレシーブでこちらのバック側にツッツキしてラリーの展開に持ち込む戦術でした。サービスは中野選手が縦回転を多めに出してきていたので、行ける時だけチキータ、難しかったらストップ、ツッツキという基本的な戦術で、新たに戦術面のアドバイスはなかったと思います。
 自分では粘り強くプレーすることを意識して、この試合はやっていましたね。大森監督からは「ラリーで負けるのはできるだけ少なくしよう」と言われていたので、それは実行できたかなと思います。

--ラリーで負けなかった理由は何だったと思いますか?

川上 中野選手はノープレッシャーみたいな感じで思い切って振ってくるボールがたくさんありましたが、それを怖がらずに自分も難しいボールを決めにいったりして、それが勝利につながったと思います。

--準決勝は渡部民人選手(JOCエリートアカデミー/星槎)との対戦でした。

川上 渡部選手とはこれまでに何度も試合をやっていて、ユースの中だったらたぶん一番やっていると思います。
 中野選手との準々決勝が終わってから試合に入るタイミングとても短かったので、体の状態も良い中で試合に挑めて、短い時間の中で大森監督と作戦立てたり、戦術の部分はいろいろ話しましたね。
 渡部選手がどうしてくるか、戦術の部分は自分でも分かっていたので、迷いなくプレーできました。

準々決勝では接戦の末に中野を破った

--決勝もあまり時間を置かずに始まりました。決勝には中城瑛貴選手(野田学園高)が勝ち上がってきましたが、その準備はできていましたか?

川上 自分は吉田選手(吉田蒼/新潟産大附高)が上がってくると思っていて、その準備していました。左利きの対策練習を決勝前にしていましたが、準決勝でどちらが勝つか本当に分からない状況で、中城選手が勝って、時間が本当に少なかったんですけど、相手のビデオを見て戦術を考えました。
 中城選手とは3年前くらいに一度対戦していて、その時の動画が見つからなかったので、全日本から見つけてきてその動画を見ました。

--中城選手に対してはどのように臨みましたか?

川上 大森監督は、いつも通りサービスをフォア前とバックロングにしっかり振り分けて出すのと、レシーブは行けたらチキータ、難しいときはストップとツッツキで、ラリーになったら負けないというのを言われていたので、そこは自信を持ってプレーできたかなと思います。

--試合は1対2で苦しい展開でした。中城選手には勢いもありましたが、どのように対応したのですか?

川上 久しぶりの対戦でしたが、一番はサービスが切れていて、レシーブミスを何本かして失点したのもありますし、両ハンドがとてもパワフルで、ノータッチも結構食らってしまったので、そこは本当にすごいなと思いました。
 準々決勝の中野選手の試合でも1対2から逆転することができたので、焦りはなくて、自分のプレーをすれば絶対勝てると試合前からずっと信じていました。
 4ゲーム目からは気持ちをリセットして、もう1回1ゲームを取りにいって絶対に勝とうと自分の中で思っていました。負けるというのは、想像がつかなかったですね

--戦術・技術面でポイントになったのはどこでしたか?

川上 今大会は台上プレーが自分の中では良かったんじゃないかなと思います。例えば、ストップがダメだったらツッツキ、それもダメだったらチキータでいこうとか、その考えをメリハリを付けてプレーできたので、そこは本当に良かったと思いますね。

--初優勝を決めた瞬間はどのような心境でしたか?

川上 いやあ、笑顔が止まらなかったですね。
 世界ユースで優勝した時は、本当にめちゃくちゃびっくりで、あまり実感が湧きませんでしたが、今回は「やっと優勝したな」という感じで、終わったあともずっと放心状態でした。自分の中では、世界ユースよりも全日本のジュニアの方がずっと取りたかったので。
 去年のインターハイで優勝して、「ジュニアも全然優勝できる」と思ったので、そこからずっと優勝したいと思っていましたね。

--去年よりも優勝にかける思いが強かったのですね。

川上 去年は優勝というよりも、2年前にベスト32で終わっていて、決勝まで行けると思っていなかったので、「決勝まで来たから頑張ろう」という気持ちで入ったんですけど、今回は最初から優勝を狙いにいけたと思うんですね。
 周りの選手からは「優勝するのが当たり前なんじゃない」とずっと言われてきて、「やっぱり自分が優勝するしかない。優勝するのは自分じゃなきゃいけない」という強い気持ちを今回は持っていました。
 世界ユースで優勝して世界チャンピオンなってから、「国内で負けられない」というプレッシャーもありました。

--優勝が決まって大の字であおむけに倒れましたが、勝ったら何をするかは決めていましたか?

川上 フォアストレートにドライブが決まった瞬間に相手がミスして、本当勝ったのかなって1回思って、1、2秒くらいしてから、やっと倒れ込みました。
(パフォーマンスの)意識はあまりなかったですね。もう素直に大の字で喜びました。めっちゃ気持ちよかったです(笑)

中城との決勝は、接戦の末に逆転勝ちで念願の初優勝を決めた

試合中に不安になることはあまりない
全部の技術に自信を持って試合ができている

--男子シングルスはスーパーシードで4回戦からの出場でした。組み合わせを見た印象はいかがでしたか?

川上 自分の山の中に高木和選手(高木和卓/ファースト)がいて、ベテランの選手で昔から結果を出している本当に強い選手で、東京アートで一緒に卓球してきた大森監督がベンチに入りたくないっていうのはずっと言っていました。
 結果的には上村選手(上村慶哉/シチズン時計)が、高木和選手に勝って上がってきました。高木和選手が上がってくると思っていたので、対策などはしていませんでしたが、やりにくさはありませんでした。

--5回戦も社会人の髙見真己選手(日鉄物流ブレイザーズ)との対戦でした。

川上 5回戦は田中選手(田中佑汰/金沢ポート)が来ると思っていました。
 自分の試合(4回戦)が終わって、クールダウンをして早めに帰ったのですが、卓レポXで試合結果を見たら髙見選手が勝っていて、髙見選手対策にすぐ切り替えたという感じですね。
 田中選手は頭のいいプレーが多くて、サービスがダメならすぐ変えてきたり、相手の嫌なところを攻めてくるタイプですが、髙見選手はきれいな卓球で、自分にとってはやりやすい卓球でした。

--とはいえ、髙見選手は技術も経験もありますし、スコア的にも4対2でしたが、川上選手としては不安のない内容でしたか?

川上 ジュニアで優勝した後で、気持ちが楽になっていて、今まで振り切れなかったボールが思い切って振れるようになって、あまりプレッシャーなく試合できたと思います。

--前回のインタビューも含め、川上選手の話を聞いていると、スコアが競っていたり、劣勢でも自信を持ってプレーして勝ったという試合が多いように思います。その理由は何だと思いますか?

川上 自分のプレーをしたら絶対に勝てるという自信は、この試合でもありました。ジュースになっても自分の自信のサービスがあるし、余裕を持ってプレーはできたと思います。

--サービス以外にも自信の根拠はありますか?

川上 自分のサービスに対して、相手の台上技術が甘かったり、台から出たボールに対しても打球点を落としていたり、そこで自分の方が優位に立てると思ったら、サービスを出してすぐに攻めの体勢に入ることが多いですね。
 厳しいレシーブが来ないと思ったら大体ナックル(無回転)系のサービスで、レシーブが浮いてきたのを狙うという感じです。

--ラリー戦でも厳しい攻めで先手を取る場面が多かったと思いますが、ラリーで意識していることは?

川上 先を読んでプレーしているというのは結構ありますね。ラリー中もそうですけど、サービス・3球目とかレシーブ・4球目で自分が思ったようなボールが来ることが多いですね。

--それで、スコア的には押されてても自信を持ってプレーできているということですね?

川上 そうですね。試合中に不安になることがあまりなくて、全部の技術に自信を持って試合ができているので、焦りとかは全然ないですね。

ジュニア男子での優勝が男子シングルスでの躍進を後押しした

後編に続く

↓動画はこちら

(取材=卓球レポート、文=佐藤孝弘)

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