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全日本卓球ジュニア初優勝! 
川上流星インタビュー(後編)

 昨年末のインタビューで、全日本卓球ジュニア男子優勝、男子シングルスベスト8の目標を掲げ、有言実行を果たした川上流星(木下アカデミー)。
 シニアのカテゴリーでも大きな存在感を示し始めた川上に、快進撃を見せた全日本卓球2026を振り返ってもらった。
 インタビュー後編では、男子シングルス6回戦以降と今後の目標などについて聞いた。
前編はこちら



ジュニアの優勝が決まって、一般の部では
不安なく両ハンドを振ることができた

--男子シングルス6回戦は大島祐哉選手(琉球アスティーダ)との対戦でした。大島選手とは木下グループでチームメートの時期がありましたね?

川上流星(以下、川上) はい、1年間在籍期間が重なっていた時期があって、練習やアドバイスを本当にたくさんしていただいたので、勝つことは難しいと思っていましたが、2対1でリードした時に「(勝つ可能性が)全然あるな」というのは思いましたね。

--これまでに大島選手と対戦したことはありましたか?

川上 アジア選手権大会の選考会(2024年6月)で赤羽で試合したことが1回あって、その時は1対3で負けていて、その試合が終わった後に大島さんからアドバイスをもらいました。

--以前は、先輩に指導を受ける後輩という立場だったと思いますが、全日本の6回戦にはどのように臨みましたか?

川上 試合前に動画を見ましたが、やっぱり球質がめちゃくちゃすごくて、サービスもうまいし、両ハンドも返せるのか不安でしたが、実際に試合をしてみたら、思っていたよりもボールを返せたし、自分から先手を取れたのもあったので、勝てると思いました。
 大森監督(大森隆弘木下アカデミー男子監督)からも、「引き合いになっても勝てているから、レシーブが甘くなっても、1本返してラリーに持っていけばチャンスはある」と言われていたので、そこは結構自信を持って不安なくプレーできましたね。

--大きいラリーでも大島選手と互角の展開でしたね。

川上 大きいラリーは大島さんが本当に得意だと思っていたので、そこで勝つことができればチャンスがあるとは思っていました。

--随所にチャンスを感じていたということですが、決定打になったのはどこでしょうか?

川上 展開的にロングサービスを出されたときが良くなかったのですが、レシーブで思い切ってロングサービスを捉えたときに1回得点できて、そこから最終ゲームをほとんど短いサービスに切り替えてくれたので、自分の得意なチキータとストップから4球目を狙う展開がやりやすくなりました。そこがキーだったと思います。

--逆に川上選手はロングサービスを多用していましたね。

川上 たぶん短いサービスよりも、ロングサービスの方が多かったくらいだと思います。最後はラリーで粘り強くプレーするように大森監督にも言われていました。

--試合後の囲み取材で「ジュニアの試合はバックハンドがあまりできていませんでしたが、優勝してプレッシャーから解放されて一般の試合になってから自信を持って振ることができた」と話していましたが、思い切りの良いバックハンドも印象的でしたね。

川上 ジュニアの試合はプレッシャーもあって、バックハンドは強く打つよりも、安定感重視でプレーしていましたが、ジュニアで優勝してからの一般では、気持ちが楽になってバンバン両ハンドが振れるようになって、その点も良かったと思います。
 カウンターもジュニアの時は不安で、安定感重視でプレーすることがとても多かったのですが、一般の試合になったら、怖いものがなくなってジュニアの時よりも緊張感はなかったと思います。そのおかげで両ハンドが振れました。

--大島選手を破り、目標としていたベスト8入りました。どのような心境でしたか?

川上 あまり実感は湧かなかったですね。次の日もまた試合があるので、準備をしなければいけないというのもあって、ベスト8に入った余韻に浸る時間はなかったと思います。「もう1回気持ちをリセットして、明日の試合の戦術を立てて頑張ろう」と思っていました。

元チームメートで先輩の大島から勝利を挙げ、万感の握手

谷垣選手戦は、レシーブで迷いが出てしまった

--準々決勝からは卓球台が2台になって、会場の雰囲気も変わったと思います。

川上 Tリーグでも試合に出させてもらっていますが、雰囲気が似ていたので、そこはあまり意識はしなかったですね。

--谷垣佑真選手(愛知工業大)に対してはどのように臨みましたか?

川上 谷垣選手は何をしてくるか分からないところがあって、「それは入んないんじゃない?」というところからでもすごいボールが入ってきたりするので、1球1球準備しながら試合をしていました。

--これまでの対戦経験は?

川上 2回あって、1回は小6の頃でしたが、その時は1対4で負けていて、去年の全日本団体では3対2で勝ちました。でも、今回の全日本はすごいボールがたくさんあって、前回とは全然違いましたね。

--2対1でリードして、流れは悪くありませんでしたね。

川上 (勝敗を決めたのは)5ゲーム目でしたね。2対2で9-5でリードしていたところから逆転でゲームを落としてしまいました。痛すぎました。
 9-7で相手のサービスでしたが、2本ともレシーブで同じミスをしてしまって、それが一番もったいなかったと思います。谷垣選手がミドルから出してくるフォア前とバックロングのサービスが本当に分かりにくくて、チキータに入りたくてもロングサービスを警戒してチキータに入れないことが多かったので、それが原因だと思いますね。
 最後は、さらにバック前にも多く出されていたので、どうしたらいいか分からなくなってしまって、レシーブが甘くなってしまいました。

--そこから流れを取り戻すことは難しかったでしょうか?

川上 自分のサービスのときは得点できていましたが、レシーブのときに失点するパターンが多かったので、準備不足でしたね。このサービスに対してはこうすると、明確にメリハリをつけて準備しておけば、あそこまで迷いはしなかったと思います。

谷垣戦ではレシーブで遅れを取り、準決勝進出には届かなかった

来年は一般の部でも優勝を目指して頑張っていきたい

--ベスト4は逃しましたが、目標として掲げていたベスト8には入れましたね。

川上 入りたいとは思っていましたが、難しいとも思っていたので、結構自分の中ではうれしかったんですけど、やっぱり負けたというのもあって、気持ち的にはうれしいよりも悔しい方が強かったですね。

--大会を通じて感じた自分の成長と課題はどういうところですか?

川上 これまではジュニアの試合にはたくさん出て勝てていましたが、一般の試合は全然出ていなかったので、今回一般でベスト8に入れて、シニアの方でも通用したのは自信になりました。ここからTリーグや国際大会でも勝てるように頑張っていきたいですね。
 課題は、今回のジュニアの試合でもそうでしたが、世界ユースの時と違って、あまりサービスが効かなくて、相手のレシーブミスがほとんどなかったので、YGサービス(逆横回転系のフォアハンドサービス)も練習していますが、今回はまだ不安で使えませんでした。
 サービスの他にもう1個自信を付けたいと思っていて、レシーブは、自分はチキータが一番得意ですが、チキータができなかったときにどうするかというのを今後練習していきたいですね。

--男子シングルスの準決勝と決勝は観戦しましたか?

川上 最終日は松島選手(松島輝空/木下グループ)の応援で準決勝、決勝は生で見ていましたが、やっぱりレベルが違うと思いましたね。準決勝もそうでしたし、決勝でもあんなに圧倒できるなんて、松島選手は本当すごいと思いました。来年は優勝を狙いに行きます。

--余談ですが、「ちょっと、それ貸して!!」が公開されて反響はありましたか?

川上 自分も動画が出た日に見て、面白くて何回も見返しちゃって、チームメートやコーチからも「めっちゃ面白い」と言われました。本当に面白かったですね。
 特に、岩井田選手(岩井田駿斗/野田学園高)とサービスの話をしていて、「用具の話だよ」って突っ込まれたところは吹きましたね(笑)

--それでは、改めて来年の全日本卓球と今年の目標を聞かせてください。

川上 ジュニアの部にはまだ出るかどうか決まっていませんが、出たらもちろん優勝するのと、今度は一般の部でも優勝を目指して頑張っていきたいですね。
 今年の目標は、世界ランキングを伸ばしたいので、まずは50位以内に入れるように頑張りたいなと思っているのと、4月にワールドカップに出ることが決まっているので、そこで王楚欽選手(中国)と試合をして勝ちたいですね。(了)



「男子三日会わざれば刮目して見よ」と言うが、世界ユース王者としてインタビューに応じたあの時から、わずか2カ月足らずで、16歳の川上流星のたたずまいは、より自信に満ち、余裕を感じさせるほどに変わっていた。
 全日本卓球で、多くのファンを驚かせ、新たな期待を呼び起こした彼の躍進は、まだまだ止まる気配がない。

「4月のワールドカップで王楚欽に勝ちたい」
 この挑戦表明がどれほどの真剣さで語られたものなのか。川上の笑顔はその真意を覆っていたが、捉え損ねた彼の真意を確かめるためにも、ぜひとも実現してほしい一戦だ。

↓動画はこちら

(取材=卓球レポート、文=佐藤孝弘)

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