今シリーズでは、4月下旬から5月上旬にかけてイギリスのロンドンで開催された第58回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2026ロンドン)で繰り広げられた熱戦を厳選して紹介する。
今回は、男子団体準々決勝の中華台北対スウェーデンの1番、林昀儒(中華台北)対モーレゴード(スウェーデン)をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
試合の行方を大きく左右するトップの天才対決
林昀儒の鋭い両ハンドがモーレゴードの独創性を射抜く
中華台北対スウェーデンは、前回釜山大会の2回戦でも対戦し、その時はラストまでもつれる接戦の末に中華台北が勝利し、その勢いで銅メダルを獲得している。
今大会の中華台北は、前回のスウェーデン戦ラストで値千金の勝利を挙げた高承睿を故障で欠く中、絶対エースの林昀儒を軸に、林昀儒二世との呼び声高い17歳の左腕・郭冠宏、動きの良さと気迫で頑張る馮翊新の布陣で今大会に臨んでいた。
予選リーグはエースの林昀儒を温存して最下位となったが、決勝トーナメントに入ってからは林昀儒を軸に、1回戦でセルビア、2回戦で前回8強のデンマークに快勝して準々決勝まで勝ち進んできた。
対するスウェーデンは、予選リーグで中国に土をつけて1位通過を果たし、第1シードを得ると、決勝トーナメントに入っても1回戦でハンガリー、2回戦でクロアチアをともに3対0のストレートで寄せ付けず、順当に準々決勝まで勝ち上がってきた。エースのモーレゴードを軸に、ドイツのブンデスリーガで高い勝率を誇るケルベリ、中国戦で林詩棟を下し、一躍脚光を浴びた世界卓球初出場のラネフル、世界卓球2021ヒューストンで男子ダブルスを制したK.カールソン、M.カールソン(当時ファルク)のオーダーは隙がない。これまでの実績を踏まえた戦力では、豊富なタレントを抱えるスウェーデンの方が、林昀儒一枚の中華台北より上だ。
スウェーデンは2024年パリオリンピックで銀メダルを獲得しているが、その前に行われた世界卓球2024釜山では、中華台北に競り負けて2回戦で姿を消している。スウェーデンとしてはなんとしても前回大会のリベンジを果たし、メダルを決めたい一戦だ。
注目のトップは、いきなり林昀儒対モーレゴードのエース対決になった。中華台北からすると、高承睿を欠いて戦力に不安を抱える中、エースの林昀儒を2番手(前半で相手のエースと当たり、後半では5番を務めるポジション)に置いてスウェーデンのエース・モーレゴードにぶつけ、先制して試合の主導権を一気に引き寄せる狙いだ。予選リーグでの温存が功を奏したのか、決勝トーナメントに入ってからの林昀儒のプレーはほれぼれするような切れ味を見せており、好調だ。
一方、林昀儒を返り討ちにして中華台北のもくろみをつぶしたいモーレゴードも、ここまで5戦全勝とエースにふさわしい活躍を続けている。特に、予選リーグの中国戦では、彼らしさ全開の奔放なプレーで梁靖崑に競り勝ち、あらためてその力を示した。
両者の世界ランキングは、林昀儒が7位でモーレゴードが2位だが、これまでの対戦成績では6勝1敗と林昀儒が圧倒している。
林昀儒の切れ味か。それとも、モーレゴードの独創性か。注目の天才対決が始まると、林昀儒が長短の分かりにくいサービスと強烈なチキータでモーレゴードの独創性を封じ、得点を重ねていく。
(文中敬称略)(世界ランキングは大会時)
(文=卓球レポート)




