今シリーズでは、4月下旬から5月上旬にかけてイギリスのロンドンで開催された第58回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2026ロンドン)で繰り広げられた熱戦を厳選して紹介する。
今回は、男子団体決勝の中国対日本の1番、梁靖崑(中国)対張本智和(日本)をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
2016年クアラルンプール大会以来、10年ぶりとなる日中決戦
先制目がけて飛ばす張本智和に、梁靖崑が持ち味の粘り腰で忍び寄る
準決勝のトップで張本智和が林昀儒とのエース対決を制し、その勢いで中華台北を3対0のストレートで退けた日本は、2016年クアラルンプール大会以来、10年ぶりに決勝進出を果たした。
決勝の相手はクアラルンプール大会の時と同じく、絶対王者・中国だ。2022年成都大会では準決勝で対戦し、張本が王楚欽と樊振東から衝撃の2点取りを果たすも敗戦。前回釜山大会では準々決勝でぶつかり、0対3のストレートで敗れている。悲願の世界一を果たすには越えなければならない高い壁だが、今回はエースの張本に加え、成長著しい松島輝空とドイツ・ブンデスリーガで腕を磨く戸上隼輔のオーダーで、中国に対しても十分に渡り合える役者がそろった。
一方、今大会で12連覇がかかる中国は、ここまで苦戦が続いている。予選リーグで韓国とスウェーデンに相次いで敗れると、決勝トーナメントに入ってからも2回戦のルーマニア戦と準決勝のフランス戦で失点しながら辛勝という苦しい展開。男子は各チームの力が上がり、中国と他チームとの差が縮まっているとはいえ、圧倒的な戦力を背景にドンと構え、はね返してきたかつての中国からは遠い展開で決勝まで勝ち上がってきた。
ただ、圧倒的な強さは鳴りを潜めているものの、苦しい試合を切り抜けてきたことで、中国の団結力は強まった印象がある。もとから強い上に、一丸となって戦う気持ちが備わった中国はやはり強敵だ。
中国を倒すためには先制点が必須な日本は、エースの張本にトップを託す。予選では波に乗れない試合もあったが、準々決勝のドイツ戦、準決勝の中華台北戦では気迫のこもったプレーで勝ち星を挙げ、調子を上げてきている。
対して、中国がトップに指名したのは、梁靖崑だ。鉄壁の両ハンド攻守で対外的に抜群の強さを誇ってきたが、今大会では決勝までに3敗を喫するという試練の時が続いていた。しかし、フランスとの準決勝3番で、A.ルブランに土俵際まで追い詰められたところから奇跡的な逆転勝利を果たして中国の窮地を救い、本来の粘り強さがよみがえりつつある。
満員に膨れ上がったOVO・アリーナ・ウェンブリーの大半が中国サポーターというアウェーの中、始まった試合は、張本が高速バックハンドで梁靖崑を押し込み、第1ゲームを先取すると、第2ゲームも梁靖崑を圧倒し、勝利に王手をかける。
しかし、第3ゲームに入ると、中国の先陣を任されてあっさり負けるわけにはいかない梁靖崑が緩急をうまく使って張本のミスを誘い、9本で返すと、第4ゲームも張本の激しい揺さぶりに気迫で食らいつき、マッチポイントをしのいでジュースで競り勝ち、フルゲームに持ち込む。
序盤の圧勝ペースから一転、雲行きが怪しくなった張本だったが、最終の第5ゲームは気持ちを入れ直してスタートから両ハンドをしっかり振り、8-3と梁靖崑を一気に引き離して勝利に大きく近づく。
追い付かれはしたが、このまま張本が逃げ切る。そう思われたところから、梁靖崑が本来の粘り腰を発揮して、ひたひたと張本との点差を縮めていく。
(文中敬称略)
(文=卓球レポート)




