今シリーズでは、4月下旬から5月上旬にかけてイギリスのロンドンで開催された第58回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2026ロンドン)で繰り広げられた熱戦を厳選して紹介する。
今回は、男子団体準決勝の日本対中華台北の1番、張本智和(日本)対林昀儒(中華台北)をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
トップで実現したいきなりのエース対決
勝敗を大きく左右する高速バトルの行方は?
前回釜山大会では準々決勝で中国に破れてベスト8に終わった日本は、2022年成都大会以来のメダルを目指すべく、張本智和、松島輝空、戸上隼輔、篠塚大登、宇田幸矢という近年では最強と呼んで差し支えないメンバーで世界卓球2026ロンドンに臨んだ。
予選リーグではフランスとドイツに敗れたものの、決勝トーナメントに入ると1回戦でベルギー、2回戦でカザフスタン、準々決勝では予選リーグで敗れているドイツにリベンジを果たして勝利し、2大会ぶりとなるメダルを確定させる。
そして、決勝進出を懸けて中華台北との準決勝に挑んだ。
中華台北は、予選リーグのフランス戦と日本戦では絶対エースの林昀儒を温存するオーダーで連敗し、予選リーグを最下位で終えたが、決勝トーナメントに入ってからは、温存によって動きがフレッシュな林昀儒を中心に軽快に勝ち上がると、準々決勝では、予選リーグで中国を破って第1シードを獲得したスウェーデンに3対2で競り勝ち、前回釜山大会に続いてメダルを確定させて準決勝に勝ち上がってきた。
エースの林昀儒は相変わらずキレがあり、スウェーデン戦2番でケルベリを破る殊勲を挙げた17歳の郭冠宏、ファイターの馮翊新と手ごわい選手がそろっている。
勝負の流れを大きく左右するトップは、日本の張本智和と中華台北の林昀儒による、いきなりのエース対決になった。
中華台北は本来なら、前回銅メダル獲得に大きく貢献した高承睿が出ていれば、勝ち点が計算できるため、林昀儒をエース起用(前半で相手の2番手と対戦し、4番で相手のエースと対戦するポジション)する形が有力だったはずだ。しかし、高承睿をけがで欠いたことで、日本に比べると総合力に不安が残る。そこで、林昀儒をあえて2番手(前半で相手のエースと当たり、後半では5番を務めるポジション)に配置し、前半でエースを倒して出鼻をくじきつつ、どこかで1点を取ってラストの林昀儒までつなげようというのが、中華台北の算段だろう。実際に、スウェーデン戦でもこのオーダーで挑み、トップで林昀儒がモーレゴードとのエース対決を制して試合の流れを大きく引き寄せた。
つまり、このトップは、試合の流れだけにとどまらず、試合の勝敗を決しかねない重みを持つエース対決である。
ここまでの張本と林昀儒の対戦成績は、9勝5敗と張本が勝ち越しているが、多くの試合が僅差の決着であり、力はほぼ互角だ。
第1ゲームは、強烈なチキータでペースを握った林昀儒が奪うが、第2ゲームは、林昀儒がカウンターにつなげようと繰り出してきたツッツキをフォアハンドで積極的に狙った張本が奪い返し、試合をすかさず振り出しに戻す。
第3ゲームに入っても両者譲らず、高速の両ハンドで打ち合って競り合うが、日本の勝利を確たるものとするべく、張本が気迫のプレーで林昀儒を引き離しにかかる。
(文中敬称略)
(文=卓球レポート)




