今シリーズでは、4月下旬から5月上旬にかけてイギリスのロンドンで開催された第58回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2026ロンドン)で繰り広げられた熱戦を厳選して紹介する。
今回は、女子団体決勝の日本対中国の3番、橋本帆乃香(日本)対蒯曼(中国)をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
王手がかかる世界卓球団体戦初出場同士の3番
最高のステージで見せた橋本の華麗な舞に刮目!
2014年東京大会から数えて6大会連続となった日本対中国の決勝。6度目の正直で中国越えを目指す日本は、1番でエース起用の張本美和が堂々たるプレーで王曼昱を下して幸先よく先制する。張本は2対0リードから2対2まで追い上げられる苦しい展開になったが、最終の第5ゲームは、チキータや横回転ツッツキなどの多彩な台上プレーから両ハンドで果敢に攻め込み、これまで一度も勝ったことがない王曼昱に打ち勝った。
張本に続きたい2番だったが、中国の絶対エース・孫穎莎が立ちはだかる。強烈な両ハンドで早田ひなを3対0のストレートで寄り切って中国がすかさず試合を振り出しに戻すと、試合は王手がかかる3番を迎えた。
日本が3番に抜擢したのは、橋本帆乃香だ。フォア面に裏ソフトラバー、バック面にツブが長めの表ソフトラバーを貼るカット主戦型で、ダイナミックなバックハンドサービスから、変化幅が大きく守備範囲の広いカットと、両ハンドからの鋭い攻撃を得意とする。2025年WTTコンテンダー アルマトイ優勝を筆頭に数々の国際大会で結果を残し、世界ランキングを15位まで上げて世界卓球2026ロンドンに臨んでいた。
2019年ブダペスト大会女子ダブルスで佐藤瞳と組んで銅メダルの実績はあるが、世界卓球の団体戦は初出場だ。カット主戦型を加えてオーダーに厚みを持たせることが、橋本が世界卓球2026ロンドンの日本代表に抜擢された主な理由だが、この決勝まで4勝1敗と、その役割を十分に果たしている。
対する中国が3番で王手を託すのは、蒯曼だ。左腕から繰り出す厳しいコース取りと、読みの良さと反応の速さをベースにしたカウンターの精度は抜群で、世界ランキングは7位。世界卓球2026ロンドン前の3月に行われたWTTチャンピオンズ 重慶では、孫穎莎、王芸迪ら大先輩たちを倒して決勝まで勝ち上がっている。
蒯曼も橋本同様、世界卓球の団体戦は初出場になる。中国が次代の柱の一人として期待をかける選手の一人であり、蒯曼としてはなんとしても勝利して、結果を残したい一戦だ。
試合が始まると、ここまで蒯曼に対して2勝0敗と分が良い橋本が、バックハンドサービスや横回転ツッツキでけん制しながら、左腕の蒯曼が広角に打ち分けてくるドライブをしっかり拾って第1ゲームを先制する。
第2ゲームは、リスクを負ってきた蒯曼の強打に押されて落とすが、第3ゲームに入ってからは、橋本のカットに対してこれといった決定打のない蒯曼のドライブをしっかり拾いながら、要所で攻撃も決めて得点を重ねていく。
世界卓球の決勝というこれ以上ないステージで披露した、橋本の華麗かつ力強い舞を、とくと堪能してほしい。
(文中敬称略)(世界ランキングは大会時)
(文=卓球レポート)




