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【特別企画】 張本きょうだいのバックハンド③ 
下回転に対するバックハンドドライブ

 張本智和(智和企画)と張本美和(木下アカデミー)のきょうだい共演がついに実現!二人の最大の武器であるバックハンドにフォーカスした特別企画をお届けしよう。
 3回目は、張本きょうだいが下回転のボールに対してバックハンドドライブするときに心掛けているポイントをそれぞれ紹介してくれる。
※本文の技術解説は右利きプレーヤーをモデルにしています

張本智和の下回転に対するバックハンドドライブ

tomokazu_racket.png相手コートへ入れることが第一目標です

--下回転に対してバックハンドドライブするときに意識しているポイントを教えてください。

張本智和(以下、智和) やはり、手首を使うことです。上回転(ロングボール)に対するときと違うのは、もっと回転をかけないとボールが持ち上がりません。なので、上回転に対してよりも手首を使って回転をかけることを意識しています。

--ロングボールに対するときよりも姿勢の高さが変わると思いますが、その点はいかがですか?

智和 そうですね。ラケットを引くときは少し姿勢が低くなりますし、上回転に対するときよりも力を使います。
 力は使いますが、この技術はミスをしやすいので、上回転に対するときよりも少し威力を抑えて、回転をかけることをより意識して打つようにしています。

--打球点は、バウンドのどのあたりを捉えますか?

智和 あまり早いところを打とうとするとミスしやすくなるので、ボールがバウンドして頂点に達する前くらいに打つことを意識しています。

--第1回で、ロングボールに対しては体で合わせる意識はあまりないと話してくれましたが、この技術も同じですか?

智和 さすがに下回転がミドル(右腰のあたり)に来たときは、体を合わせます。同じミドルでもバック側寄りのミドルに下回転が来たときは、体を寄せてラケットを振ります。一方、フォア側寄りに来た下回転に対しては無理してバックハンドドライブしないで、フォアハンドを使います。

--そうすると、下回転に対する場合、体の位置はもう少し緻密に調整する感じですか?

智和 そうですね。上回転に対しては決めるのが1番ですが、この技術は入れることが第一目標なので、打球が安定するよう、ボールに合わせて動くことが大切になってくると思います。

張本智和の下回転に対するバックハンドドライブ


 下回転に対しては、相手コートへ入れることを最優先に考えてバックハンドドライブするという智和。このコメントが示す通り、下回転に対するバックハンドドライブはネットミスしやすく、その一方でネットミスを恐れて持ち上げすぎてもオーバーミスしやすいため、安定させることが難しい技術だ。この技術の精度をもっと高めたい選手は、威力を出すことはいったん横に置き、回転をかけて安定性を重視することを意識してみよう。
 技術的には、両足で床を踏みしめるような低い姿勢での準備から、上体を軽く起こしながらラケットを斜め上に振り上げている動作が参考になる。

張本美和の下回転に対するバックハンドドライブ

tomokazu_racket.png自分のタイミングで打つことが大切。イメージは「タ・タン」

--試合で多く使う技術だと思いますが、意識しているポイントを教えてください。

張本美和(以下、美和) (バックスイングで)重心を落としますが、でも打球点は遅れないように注意して、威力をためて打つことを意識しています。

--美和選手のこの技術は、簡単にはミスをしなさそうな印象ですが、安定性を高めるポイントは何ですか?

美和 タイミングをつかむことが1番大切だと思っています。飛んできたツッツキ(下回転)のスピードが遅くても速くても、自分のタイミングをしっかりつかんで、そのタイミングでボールをこすって回転をかけると安定性が出ると思います。

--具体的に、自分のタイミングを言葉にできますか?

美和 そうですね、言葉にするのは難しいですけど、ボールが自分のコートにバウンドしてから、「タ・タン」みたいな(笑)。バウンドしてすぐに打つというよりも、早すぎず遅すぎない感じです。

--「タタン」という早いタイミングではないのですね?

美和 そうですね。相手のツッツキが速くても遅くても、こちらのコートにバウンドしてから、一拍待ったくらいのタイミングです。

張本美和の下回転に対するバックハンドドライブ


 美和の試合をよく見ると、下回転に対するバックハンドドライブのミスが極めて少ないことに気づくが、その大きな理由は、彼女が話してくれたように自分の打球タイミングを持っているからだ。確固たる打球タイミングをつかみ、常にそのタイミングで打球することを心掛けているので、下回転のスピードや深さにあまり影響されることなく、打球を安定させることができる。
 下回転に対するバックハンドドライブのミスが多いという選手は、美和のコメントを踏まえながら、連続写真でバックスイング時のラケットとボールの位置関係や目線の高さなどを細かく観察して、ぜひ自分のタイミングをつかんでほしい。

 最終回は、現代卓球では必須の技術ともいえる、ドライブに対するバックハンドでのカウンタードライブのポイントを張本きょうだいが話してくれる。

↓動画はこちら

(取材/まとめ=卓球レポート)

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