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おかえり卓球 〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜 
④ラバーとラケットの進化

「テレビで全日本や世界卓球の放映を見て」「子どもが部活で始めて」「温泉旅館で久しぶりにラケットを手に取って」。
 そんなふとしたきっかけで、あなたの中に眠っていた「卓球」が目を覚ますその時を、私たちはずっと待っていました。
「おかえり卓球」は、再び卓球の世界に戻ってきてくれた皆さんをお迎えするための、ささやかな場所です。
 前回は、38mmから40mm、そしてセルロイドからプラスチックへと移り変わったボールの変遷を見てきました。最終回となる第4回は、ラケットとラバーの変遷、そして再び卓球を始める皆さんへの用具選びのヒントをお届けします。



卓球を変えたラバーとラケット
テナジー登場以降、用具はどう進化したのか

「用具が大きく変わったのは2008年ですね。テナジー05の発売の時期(2008年4月21日)と弾む接着剤の禁止(2008年9月1日)以降だと思います。
 それまでは、バタフライのラバーはスレイバーやブライス(現在は廃番)といったスピード志向の物が主流でしたが、テナジー以降は回転性能をより重視するようになってきました。
 最初にテナジー05を打った時は、すごく癖のあるラバーだと感じました。それまでのラバーと比べると、ボールが上に出て、自然に放物線を描いてくれるという印象でした。選手たちも一気にテナジーに移行したというわけではありませんでした。今までと違う打球感に慣れるのにある程度の時間がかかったのだと思います」

 当然のことながら、用具変更はラケットにも及んだ。
「弾む接着剤が使えた時期(2008年8月31日まで)は、木製合板のラケットにスレイバーという組み合わせが主流でしたが、弾む接着剤の使用が禁止されて、テナジー05を使う選手が増えると同時に、特殊素材のラケット、当時は特に水谷隼(ZLカーボンラケット)を使う選手が増えましたね。テナジー05がボールが上に出るラバーだったので、ラケットは直線的に飛びやすい、よく弾むものという組み合わせが良かったのだと思います。
 この用具の発展によって、チキータという台上のバックハンド技術が革新的に進化て、攻撃的なレシーブが可能になり、サービス・レシーブは大きな影響を受けました。プレーも、チキータレシーブに対して回り込むことが難しくなったので、両ハンドの技術が今まで以上に要求されるようになったと思います」

チキータを大きく進化させた張継科。世界卓球2011ロッテルダムで世界王者となった

 ルール改定にはいくつかの段階があったが、卓球を再開された方はどのように用具を選ぶのがよいのだろうか。
「楽しみたいのであれば、いろいろ試してみて打球感が良い用具がいいと思います。打球感だけでなく、打球音など、打っていて気持ちいいと思える用具ですね。
 ラリーを楽しみたい人は、ミスが出にくい、コントロール性能の高い用具が良いでしょう。とにかく速いボールを打ちたい人は弾み重視ですね。
 一方、試合で勝ちたいという方には、かつて使っていた用具やプレーのことはいったん忘れて、回転重視の用具選びをお勧めします。38mmボールやセルロイド製のボールに比べて回転がかかりにくくなっていると思うので、まずは回転のかけやすさを優先した用具で慣れていただくのが良いでしょう。
 具体的には以下のような組み合わせがお勧めです」

ラリーを楽しみたい方=コントロール性能重視の組み合わせ


ラリーを楽しみたい方にお勧めするのはコントロール重視の組み合わせ。扱いやすいアリレート カーボン搭載のラケットに、フォア面にはボールがラバーに食い込みやすくコントロールしやすいテナジー64、バック面には高いトレランスでプレーに安定感を生み出すロゼナで、安定したラリーが楽しめます

ビスカリア テナジー64 ロゼナ

速いボールを打ちたい方=スピード性能重視の組み合わせ

スピードがあるボールで気持ちよく得点したい方にお勧めするのは、スピード性能重視の組み合わせ。弾みの良い樊振東 ZLCに、フォア面には高い弾性と回転性能のディグニクス05、バック面にはスピンとスピードのバランスに優れているディグニクス80で、一発の威力を追求しましょう。腕力に自信のある方はスーパーZLC搭載のラケットに挑戦してみるのもお勧めです

樊振東ZLC ディグニクス05 ディグニクス80

勝ちにこだわりたい方=回転性能重視の組み合わせ

勝ちにこだわる方には、回転性能重視の組み合わせをお勧めします。扱いやすいアリレート カーボン搭載のアウター仕様のブレードに、両面に粘着性ラバーのディグニクス09Cという組み合わせで、両ハンドで回転量の多いボールで威力と安定性を高いレベルで両立させます。バックハンドに自信がないという方には安定性重視でディグニクス05もよいでしょう

樊振東ALC ディグニクス09C ディグニクス09C

かつてのプレーを追い求めずに楽しんでください!

「卓球を再開される方、全般へのアドバイスとしては、ブランクの長さや年齢にもよると思いますが、ほとんどの方はかつてと同じプレーはできないと思うので、当時のプレーを追い求めることはお勧めしません。最盛期のプレーを追い求めてしまうと、そのギャップに苦しんだり、無理をしてけがをしてしまうこともあります。
 しかし、身体能力が落ちていても、技術、戦術、用具などで、また強くなれるのが卓球の醍醐味でもあります。けがをせずに、楽しんでいただければと思います」

↓動画はこちら
おかえり卓球〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜|試合編

おかえり卓球〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜|ルール・用具編

(まとめ=卓球レポート)

最先端のチキータを身に付けるならコレ!

長いブランクを経て卓球を再開した方にぜひトライしていただきたい技術が現代卓球の代名詞とも言える「チキータ」。林昀儒の世界屈指のチキータを参考に、感覚をつかみながら気軽に練習に取り入れてみてください。卓球レポートでは他にもチキータ関連の技術解説コンテンツが充実しています。
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