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おかえり卓球 〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜 
③38mmから40mmへ、セルロイドからプラスチックへ

「テレビで全日本卓球や世界卓球の放映を見て」「子どもが部活で始めて」「温泉旅館で久しぶりにラケットを手に取って」。
 そんなふとしたきっかけで、あなたの中に眠っていた〈卓球〉が目を覚ますその時を、私たちはずっと待っていました。
「おかえり卓球」は、再び卓球の世界に戻ってきてくれた皆さんをお迎えするための、ささやかな場所です。
 前回は、21点制から11点制へのルール改定が選手の戦い方や心構えをどう変えたのかを取り上げました。第3回は、ボールの変遷──38mmから40mmへ、そして、セルロイドからプラスチックへと移り変わる中で、何が変わり、何が変わらなかったのかを探ります。

左が現行の40mmボール、右が38mmボール

38mmから40mmへ、セルロイドからプラスチックへ
ボールは卓球をどのように変えたのか

40mmボールを初めて打った日の衝撃

 2000年10月1日から、世界卓球では2001年の大阪大会からボールのサイズが38mmから40mmに変更されたが、この変更は選手たちに大きな影響を与えたという。
「今でもよく覚えているのは、2000年のシドニーオリンピックで日本選手の試合がみんな終わった時に、練習会場で初めて40mmボールを打ったんですね。その時にすごくスピード感も回転量も落ちたのを感じました。
 それで、38mmに近い感覚でプレーをするためには用具を変えなきゃいけないという話をみんなでしていたのを思い出します」

カット主戦型の選手に訪れた大きな変化

 カット主戦型の選手が被った変化は特に大きかったという。
「私はそれまで相手の回転量の多いドライブに対して、相手コートでイレギュラーバウンドするほど切れたツブ高ラバーでのバックカットを得意としていましたが、そういうボールはもう出せなくなりました。
 ボールだけを比較すると、スピードも回転も落ちましたが、実際にそれでラリー回数が増えたかというと、そのような実感はありませんでした。というのも、攻撃選手は特に、圧倒的に用具を変えたので、攻撃の威力はそこまで落ちなかったからだと思います」

40mmボールになって回転量が落ちたことでカット主戦型の渋谷は大きな影響を受けた

選手たちが選んだ、新しい用具

 それでは選手たちはどのような用具に変えたのか。
「ラバーを軟らかくしました。硬いラバーで打つとボールがつぶれて回転もかからないし、スピードも出ない。それまでは硬いラバーの方がスピードが出るとほとんどの選手が思っていましたが、40mmになって、硬いラバーではスピードが出なくなった。それで、軟らかいラバーに食い込ませて打つようなりました。
 私自身はフォア面のラバーをタキファイアSP(スペシャル/廃番品)から、スポンジが軟らかいタキファイアSPソフト(廃番品)に変えました。その後、現役最後の頃はやはりスポンジが軟らかめのスレイバーELを使っていました」

2014年、プラスチックボールへの移行

 ボールに関するルール変更はさらに、2014年にも施行された。それまでのセルロイド製に変わってプラスチック製に素材変更が行われたのだ。
「この頃はもう選手を引退していたので、自分自身のプレーへの影響という観点ではありませんが、私が一番感じたのは、回転量が落ちたことです。回転量が減って、ボールの軌道が直線的になった、曲がるドライブが曲がらなくなったという声もよく聞きました。
 そこで、多くの選手は回転のかかりにくさを補うような用具を選びました。その結果、回転量はさほど落ちなかったと思います。プレーにはそれほど大きな影響はなかったというのが私の見解です」

月刊誌時代の卓球レポート2015年2月号。プラスチックボール特集で対策を語る渋谷

 次回はいよいよ最終回。卓球の進化の鍵ともいえるラケットとラバーについて、そして、用具が卓球の戦い方や楽しみ方にどう影響を与えてきたのかを見ていきます。

↓動画はこちら
おかえり卓球〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜|試合編

おかえり卓球〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜|ルール・用具編

(まとめ=卓球レポート)

張本きょうだいのバックハンド

現代卓球では欠かせない「両ハンド」。 この特集では張本きょうだいの最先端のバックハンドを紹介しています。 基本打法からカウンタードライブまで、さまざまな打法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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