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練習、お邪魔します!
インターハイ、全中を制覇!野田学園【選手編】

 今、勝っているチーム、勢いのあるチームを訪問し、その練習風景を伝える企画。結果を出すチームの日常からは、強くなるためのヒントや刺激がたくさん得られるはずだ。
 第2回は、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)、全中(全国中学校卓球大会)と夏の主要な全国大会を完全制覇した野田学園中学・高校卓球部(以下、野田学園)の練習場にお邪魔した。
 ここでは、野田学園の選手たちのインタビューをお届けする。選手たちの声や卓球に取り組む姿勢から、野田学園の強さの一端を感じてほしい。

■声かけを重んじる優しきキャプテン 渡邉凉吾
わたなべりょうご。2007年5月31日生まれ。野田学園高校3年生

渡邉 今回は地元での開催ということでプレッシャーがありましたが、みんなが優勝に向かって一致団結して取り組むことができて、それが優勝につながったと思います。
 自分は(学校対抗に)出られないことは分かっていたので、「自分に何ができるか」を考えたときに、選手たちへの声かけやさまざまなサポートだと思ったので、そこは全力でできたかなと思います。(優勝が決まった瞬間は)チームメートに本当にありがとうと伝えたいのと、自分たちよりプレッシャーを感じていた先生(橋津文彦監督)に感謝の気持ちを伝えたかったです。
 野田学園は、一人一人違う個性でそれぞれに良さがあって、それほど上下関係もなく、楽しくできているチームだと思います。
 ムードメーカーは中城(中城瑛貴)です(笑)。とにかく明るくて、みんなが「○○して!」って言ったら何でもできる人なので、チームに良い影響を与えています。しっかり者は、永峰(永峰佳麒)。真面目で練習にもしっかり取り組んでいます。日野(日野湊介)はどの学年からも愛されるキャラです。
 日頃は、目標を決めて、その目標に向かってどうやったら勝てるかを考えながら練習しています。自分は、ラリーは得意ですが、そこに持ち込むまでのサービスとレシーブが課題だと感じているので磨いているところです。
(野田学園での部活動で1番印象に残っていることは)やはり、今年のインターハイで優勝したことです。県予選から優勝に向かってみんなで取り組んでいましたが、やっぱりみんな個性が違うので、試合前とか難しいところもあったんですが、キャプテンとしてここはまとめないといけないと思って、みんなに声かけをして一致団結して試合に臨むことができました。自分は人に対して注意とかアドバイスをできないタイプでしたが、キャプテンになってからはそういう声かけをしていかないといけないと思ったので、みんなにアドバイスなどの声かけができるようになりました。
(橋津監督、中川智之監督について)中川先生は、自分が中学に入ってからの3年間と高校の3年間、自分の卓球や日常生活についてしっかり関わってくださって本当に感謝しています。
 橋津先生には高校生になってから関わることが増えましたが、自分がキャプテンになったときに足りないところや、インターハイに向けてしなければいけないことを優しく声をかけていただいて、本当に成長できました。
 今回、インターハイで優勝できましたが、野田学園は連覇したことがないので、後輩たちには、ぜひ連覇してほしいです。

渡邉はキャプテンとしてチームをしっかりまとめた

■プレーで語る最上級生 木村友哉
きむらともや。2007年5月11日生まれ。野田学園高校3年生

木村 これまで、すごい先輩たちがなかなか優勝できていなくて、今年は山口でのインターハイだったので、みんないつもよりも気合が入っていて、「絶対優勝しよう!」という気持ちで挑んで優勝できたので良かったです。
 1年生たちは初めてのインターハイだったので、「(上級生でただ一人出場した)自分が引っ張っていかないと」と思っていたんですけど、1年生が活躍してくれて、結果的には引っ張ってもらいました。
(4番で優勝が決まった瞬間は)自分は5番で応援せずにアップしていたんですけど、最後の1本だけ見に行ったら、みんながわーっとなっていたのでかなり出遅れました(笑)。なのであまり実感が湧かなかったんですが、表彰式でようやく実感が湧いてきました。いつも2位だったので、「やっとだな」みたいな感じでほっとしました。
 今はどこの学校もあまり上下関係はないと思いますが、野田学園も1年生が強くて2年生、3年生を引っ張ってくれたりしているし、どの世代にもエースというかリーダーシップを発揮する選手がいてすごく良いと思います。
(部活動を振り返って1番印象に残っていることは)2年生の時の高校選抜が地元の岡山で行われたんですけど、自分的にはそこで活躍できたので、それが思い出に残っています。
 野田学園での部活動を通じて自分で成長できた部分は、以前は点差がついたら落ち込んで諦めてしまうことが多かったんですが、団体戦を戦っていく中で絶対に逆転する気持ちが湧いてきて、実際に逆転することが多くなったので気持ちが強くなりました。
 橋津先生と中川先生は、卓球の面はもちろん勉強の面でもお世話になって、本当に頼りになる先生方だと思います。
 1年生が強いので、自分たちは安心して卒業することができますが、後輩たちには油断しないでほしいと思います。自分たちも中学3年の時に全中で優勝して、心の中で次も優勝できるだろうと思っていたら勝てなかったので、後輩たちには油断せず、「絶対優勝するぞ!」という気持ちを持って頑張ってほしいと思います。

男子学校対抗に唯一3年生で出場し、優勝に貢献した木村

■絶対エースのスーパールーキー 岩井田駿斗
いわいだしゅんと。2009年10月14日生まれ。野田学園高校1年生

岩井田 インターハイの組み合わせが出た時点で優勝を目指していて、山口開催ということでプレッシャーもあったんですけど、橋津先生から「地元開催だからってそんなにプレッシャーと向き合わなくていいよ」と言われていたので、そこまで自分ではプレッシャーは感じていませんでした。自分たちのやるべきことやった結果が優勝でした。どちらかというと、普段通りの自分が出せたと思います。
 育英との決勝(2番の谷本戦)は1台進行で、今大会初めてだったので互いに少し弱気になった部分がありましたが、2-2のゲームオールになって、そこからどちらが思い切れるかだったので、自分から仕掛けていくことができて勝ち切ることができました。
(4番の中野は)ダブルスを組んでいて信頼し合っている仲なので、勝ってくれると思って応援しながら見守っていましたし、優勝したタイミングは涙が出そうでした。
 野田学園は先輩と後輩の仲が良くて、後輩が先輩に気を使うとかが良い意味であまりありません。先輩後輩関係なく、お互いが本当に相談し合える良いチームだと思います。
 自分はサービスから3球目で先手を取ることが得意ですが、台上が苦手で、打ち合いになったときもパワー負けしてしまうと感じているので、そのあたりをこれから鍛えていきたいと思います。
 橋津先生と中川先生は、技術面でもメンタル面でも自分が持っていない視点からアドバイスしてくださるので、本当に良い先生方だなと思います。ただ、二人は全く同じではなくて、橋津先生は、これまでの先輩方のことなど、本当に良い話をしてくださります。一方、中川先生は日常での会話が多くて、そこでメンタルのことや技術のことを「もっとこうやったらいいんじゃない?」と気軽に教えてくださるので、それぞれ違う良さがあると思います。
 今後は、いろいろな大会で優勝を目指すことと、シングルスでは全日本ジュニア男子の優勝を絶対に目指します。来年のインターハイは連覇がかかりますが、どこも同じくらい強いチームなので、みんなで助け合ってやっていけたらいいなと思います。

迫力の両ハンドを武器に1年生でチームを引っ張る岩井田

■決勝点を挙げたパワーヒッター 中野琥珀
なかのこはく。2009年7月15日生まれ。野田学園高校1年生

中野 自分たちが初優勝ということでびっくりしています。決勝は2対0リードで回ってきたダブルスで決めようと思っていたんですけど、相手の方が思い切りプレーしてきて、自分たちが攻める間もなく負けてしまいました。
 4番のシングルスも、ダブルスでボコボコにされたショックで入りが良くありませんでした。でも、1ゲーム目を取られた後、橋津先生から「絶対勝てる。負けてもいいから思い切って攻めてこい」と言われて、気持ちの切り替えが自分なりにはできて、そこから自分の思ったプレーができるようになりました。優勝を決めた時は気持ち良かったです。ほっとした気持ちとうれしい気持ちがすごくありました。
 チームの雰囲気はとても明るくて、先輩と話していてもとても楽しくて、練習するときはちゃんとやって、練習がないときはみんなで遊んだりします。同級生と遊ぶことが多いですが、みんなで近くの唐揚げ屋に行ったり、担々麺を食べたりしています(照)。
 自分のプレーの強みは両ハンドの威力だと思いますが、フォアハンドの安定感はバックハンドに比べるとまだないので、そこが課題です。
 実は自分が中1の頃、イップスでフォアハンドが全く振れなかったんですが、それにもかかわらず野田学園に入れてくださった橋津先生にはすごく感謝しています。つきっきりで1から自分を教えてくださり、人に対して熱い思いで支えてくれる方です。
 中川先生は、今年はベンチに入ってもらうことが多く、試合間のベンチとかで話しやすくて、どんなプレーをしたらいいのか分からないときにヒントを教えていただけるのでとても助かっています。
 これからいろいろな大会がありますが、全日本ジュニアではランクに入ったことがまだないので、優勝を目指して頑張っていきたいと思います。全日本のダブルスは去年2位だったので、今年は大会前から1位を目指します。
 また、来年のインターハイでは、学校対抗とシングルス、ダブルスの三冠を目指して頑張っていきます。

岩井田とともにチームを引っ張る中野。1年生ながらシニア顔負けの球威を誇る

■常勝軍団の切り込み隊長 島田翼
しまだつばさ。2010年1月20日生まれ。野田学園高校1年生

島田 (男子学校対抗の)決勝までのオーダーでは4番とか5番が多かったんですけど、決勝で「1番で出すぞ」と橋津先生に言われた時に、しっかり心の準備ができました。それで、自分のプレーで勝って、次に良い感じでつなげられたことが良かったと思います。4番、5番の時はゆっくり準備して良かったんですが、1番なので最初からモチベーションを最高潮に上げて試合に入ることができました。
 優勝した瞬間はただうれしくて、だんだんと優勝したんだなという実感が生まれてきた感じです。ただ、試合が次から次にあるので、いつまでも余韻に浸っていたら成長していけないですし、目標を切り替えてしっかり成長をしていきたいと思います。
 野田学園はみんな仲が良くてなじみやすくて、でも卓球になったら頼りがいのあるすごく良いチームだなと思っています。
 自分は中学3年の全中が終わった時に、岩井田や中野たちと一緒にプレーしてみたいと思って、星槎から野田学園に移らせていただきました。星槎ももちろん環境が良くてとてもお世話になりましたが、野田学園に来てから自分の成長をすごく感じています。
 自分の強みはラリーの強さや粘り強さにあるのかなと思っています。これからは、年齢が上がるにつれて相手も大きくなるし、パワーも必要になってくるので、もう少し攻撃的な部分を増やしていきたいと思っています。
 中川先生は、学校の面で関わってくださって、すごくなじみやすいです。卓球の面でもすごく技術を教えてくださって良い先生だと思います。
 橋津先生は卓球の面でも生活の面でも一人一人に寄り添ってくださって、そこがめちゃくちゃいいです。技術面でもある程度自分を尊重してくれるので、自分に合っています。
 これからの目標は、全日本ジュニアで優勝することと、一般でもランクに入れるように頑張ること。最終目標はオリンピックで金メダルを獲ることです。来年のインターハイでは、学校対抗とシングルスの優勝を目指して頑張りたいと思います。

岩井田、中野とならぶ1年生カルテットの島田

■全中優勝を支えたキャプテン 松山侑聖
まつやまゆうせい。2010年8月4日生まれ。野田学園中学3年生

松山 (全中の男子団体は)去年が3位一昨年も2位で1位が取れなかったので、今回の優勝はとてもうれしかったです。優勝を決めた瞬間、本当に優勝できてほっとしましたし、全国大会で初めて優勝したので、これまでで一番うれしかったです。(準決勝、上宮戦の5番は)0対2にされた瞬間はちょっときついなと思ったんですけど、2対2に追い付いてやるしかなかったので、思い切ってプレーできて自信がつきました。
 キャプテンとして大会中は、「みんな下に行けよ」とか「絶対勝つぞ!」など声かけをしていました。
 野田学園は、やる時はみんなしっかり練習や試合をするんですけど、たまにふざけたりというか楽しくやっているのでとてもいいと思います。
 キャプテンとしては、自分が練習で集中できなくなったりすると、みんなもやる気がなくなっていくと思うので、自分がしっかり集中することを考えて練習しています。キャプテンを務めたことで、練習で集中できるようになり、私生活もしっかりできるようになりました。
 僕は、相手に打たせてからのカウンターや展開が得意なんですが、課題はパワーです。自分からドンと決めるパワーをつけていきたいです。
 中川先生は優しくたくさん教えてくれて、とてもお世話になっています。
 橋津先生はちょっと怖いんですけど、怖いから私生活や練習をしっかりできるようになりました。
 来年から高校に進学するので、インターハイの学校対抗では自分が出場して優勝したいです。シングルではインターハイに出場して上の方に行けたらいいなと思っています。

カウンターが武器の松山。来年はインターハイでの活躍を誓う

↓動画はこちら

インターハイ、全中を制覇!野田学園【練習編】はこちら
インターハイ、全中を制覇!野田学園【監督・校長編】はこちら


(取材/まとめ=卓球レポート編集部)

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