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2023年全日本卓球 
男子シングルスの見どころガイド

 
 いよいよ2023年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月23日より東京体育館で開幕する。
 伝統と権威ある全日本卓球選手権大会(以下、全日本)は日本の卓球選手ならば誰もが目標にする大会だが、今年の全日本は2024年パリオリンピックの選考レースに関わるため、さらに熱のこもった戦いが予想される。
 開幕に先駆けて、男子シングルスの有力選手と見どころを紹介しよう。
男子シングルスの組み合わせはこちら(日本卓球協会特設サイト内)


【第1ブロック】
前回王者の戸上が連覇を目指す
前回ベスト8の松下、新鋭の松島の戦いぶりも注目

 男子シングルスのトーナメントは、大きく4つのブロックに分かれる。まず、第1ブロックから見ていきたい。
 第1ブロックの本命は、もちろんディフェンディングチャンピオンで第1シードの戸上隼輔(明治大)だ。世界卓球2022成都では日本の主軸として活躍し、その後、ドイツ・ブンデスリーガの名門・オクセンハオゼンで腕を磨いた戸上は、自信をより深めて全日本のコートに立つに違いない。
 戸上の対抗は、まず前回ベスト8の松下大星(クローバー歯科カスピッズ)だろう。昨年4月に行われたアジア競技大会代表選手選考会で日本代表の座を勝ち取ると、昨夏の全日本実業団卓球選手権大会ではクローバー歯科カスピッズのエースとしてチームを優勝に導き、Tリーグ(琉球アスティーダ)やポーランドリーグ(ジェロナ・グラ)にも所属して経験を積んでいる。希少なペンホルダーで鋭い裏面ドライブを武器とする松下は、誰にとっても脅威だ。
 昨年、中学2年生ながら並み居るシニア選手を倒し、ランク入り(ベスト16入り)した松島輝空(木下アカデミー)は、この1年で目に見えて体格が良くなり、プレーのスケールや球威も一段増した。今年は昨年以上に勝ち上がれるか要注目だ。
 その松島と、順当に行けばラン決(ベスト16決定戦)で対戦する田中佑汰(愛知工業大)も、一昨年の全日本で3位昨年11月に行われた2022 全農CUP TOP32船橋大会では決勝進出と実績、実力とも十分だ。田中としては、新鋭・松島の挑戦を退けて弾みをつけたいところだろう。
 そのほか、実績十分の町飛鳥(ファースト)、脅威的なバックハンドを放つ田添響(岡山リベッツ)、ファイターの神巧也(ファースト)、パワーヒッター酒井明日翔(シチズン時計)も上を狙える力が十分ある。
 また、酒井のシード下には、昨年棄権した木造勇人(個人)が入った。木造は表彰台に上がってもおかしくない力を持つだけに、酒井にとっては厳しい初戦になるだろう。

前回王者の戸上は、磨きをかけた両ハンドで連覇を目指す

鋭い裏面打法が武器の松下。ベスト8だった前回以上の成績を狙う

身長が伸び、球威が増した松島。どこまで勝ち上がるか注目だ

【第2ブロック】
吉村真晴、篠塚、及川、大島、上田らがひしめく
混戦必至の最難関ブロック

 第2ブロックは、強豪ひしめく激戦ブロックになった。
 勝ち上がりの予想が難しいブロックだが、軸は吉村真晴(TEAM MAHARU)だ。2012年の全日本王者でもある吉村は、昨年は3位昨年4月に行われたアジア競技大会代表選手選考会では優勝、Tリーグ(琉球アスティーダ)でも個人成績で上位をキープしている。さらに、直近にカタールで行われた世界卓球2023ダーバンのアジア大陸予選では、あの馬龍(中国)を倒して自身初となる世界卓球の男子シングルス代表の座を勝ち取り、波に乗っている。加えて、吉村は現在、パリオリンピックの選考レースでも3位につけているため、今回の全日本には期するものがあるはずだ。吉村は、順当に勝ち上がればベスト8決定戦でパリオリンピック選考レース2位の篠塚大登(愛知工業大)とぶつかる。実現すれば、大会屈指の激アツカードになるだろう。
 一方の篠塚は、吉村との対戦の前にラン決で大島祐哉(木下グループ)との対戦が予想される。篠塚にとってTリーグ・木下マイスター東京のチームメートである大島は、2019年の全日本ファイナリストであり、昨年の全日本社会人も制した実力者だ。全日本の大きな目標の1つであるベスト16入りをかけたラン決はどの試合も熱が入るが、その中でも篠塚対大島は最注目のカードになるだろう。
 吉村、篠塚らの反対側の山にも、昨年ベスト8の上田仁(T.T彩たま)、昨夏のインターハイ三冠王の鈴木颯(愛工大名電高)、2021年の全日本王者及川瑞基(木下グループ)ら実力者がそろう。
 全日本優勝と世界卓球2022成都を経験している及川が一歩リードの感はあるが、上田や鈴木らも簡単には勝ちを譲らないだろう。

好調の吉村真晴は、2012年以来となる2度目の優勝を狙う

大島、吉村と強敵との連戦が予想される篠塚。見事突破できるか

2021年王者の及川。ランク入りを逃した前回の雪辱に燃えているはずだ

【第3ブロック】
大本命の張本は順当に突破なるか
丹羽、吉山、英田、村松らが打倒・張本を目指す

 このブロックの本命、そして男子シングルスのトーナメントの大本命は、なんといっても張本智和(IMG)だ。世界卓球2022成都の準決勝で中国から2点取りした力は疑いようがない。2018年の全日本で中学2年生で優勝した張本だが、それ以降、優勝からは遠ざかっている。今回こそは2度目の優勝を果たし、名実ともに自分が日本のエースであることを証明したいところだろう。
 張本にとって最初のヤマ場は、ラン決での対戦が予想される村松雄斗(La. VIES)。今季のドイツ・ブンデスリーガ前半戦でトップの成績を残している村松は、カットと攻撃の鋭さ、安定感に磨きがかかっている。張本にとって、得意のスピード対決に持ち込めないカット主戦型の村松はくみしやすい相手ではない。ここをどう乗り切るかが、張本V2の鍵の1つになるだろう。
 張本と同じ山のシードには、前回ベスト4で実績・経験ともに豊富な丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)と、世界卓球2022成都代表の横谷晟(愛知工業大)がラン決で対戦する組み合わせになった。両者とも力があるだけに、互いに相手を倒し、その勢いで張本越えを狙っているはずだ。
 反対側のブロックに目を向けると、昨年ジュニア男子を制し、男子シングルスでもベスト8まで勝ち進んだ吉山僚一(愛工大名電高)、カットと攻撃で変幻自在のプレーを得意とする英田理志(愛媛県競対)、経験豊富なベテラン・笠原弘光(ハンディ)、じわじわと実力を伸ばしてきた松田歩真(明治大)ら力のある選手が名を連ねる。
 また、英田のシード下には、この全日本で引退を表明しているカット主戦型の御内健太郎(シチズン時計)が入った。昨年末に行われた日本卓球リーグのプレーオフであるJTTLファイナル4では、決勝でカット主戦型に対して無類の強さを誇る大島を下してチームを初優勝に導くなど、有終の美に向けて調子を上げてきている。2年前の全日本では張本をあと一歩まで追い詰めているため、御内の勝ち上がりも要注目だ。

大本命の張本。本来のアグレッシブなプレーが出せれば優勝の可能性は高い

前回ベスト4の丹羽。国際大会からの引退を表明したが、まだ力があることを証明したい

前回は第1シードの及川を下し、ベスト8まで勝ち上がった吉山。今年はさらに上を目指す

【第4ブロック】
試合巧者の松平、吉田、パワーヒッターの宇田、有延らがひしめく激戦区
シード下の実力者たちも要チェック

 このブロックも第2ブロック同様、勝ち上がりの予想が難しい激戦ブロックだ。
 前回2位の松平健太(ファースト)は、Tリーグ(T.T彩たま)の試合を見る限り、天性のボールタッチは健在どころか、年齢を重ねてさらに研ぎ澄まされてきた感がある。松平が勝ち上がっていく可能性は高いが、松平のシード下には、2017年全日本2位の実力者・吉村和弘(個人)が入った。吉村は昨年棄権でシードから外れたが、本来なら上位シードでもおかしくない力がある。吉村が松平と当たる4回戦まで順当に勝ち上がれば、このラウンド屈指の好カードだ。
 松平対吉村の勝者は、2021年全日本2位のファイター・森薗政崇(BOBSON)との対戦が予想される。選手たちにとってはハードな戦いが続くが、見ごたえのあるカードが続くブロックだ。
 松平と同じ山には、宇田幸矢(明治大)、有延大夢(琉球アスティーダ)のパワーヒッターも入った。特に、2020年全日本王者の宇田は、優勝して以降、全日本では不本意な成績が続いていることに加え、世界ランキングは日本選手の中で2番目ながら、パリオリンピック選考レースでは遅れを取っている。なんとしても、この全日本で巻き返しを図りたいところだろう。
 反対の山は、吉田雅己(木下グループ)が強い。全日本上位常連の試合巧者・吉田に、センスフルなサウスポー・硴塚将人(協和キリン)、全日本学生選抜優勝の谷垣佑真(愛知工業大)、打ち合いに強い小野寺翔平(中央大)ら勢いのある若手が挑む構図だ。
 シード勢にとってこわい存在が、谷垣のシード下に入った曽根翔(T.T彩たま)。曽根は昨年棄権でシードから外れたが、持ち前の爆発力で一気にトーナメントを駆け上がる可能性もある。

昨年2位の松平。天性のタッチで今年も魅せてほしい

全日本で安定して上位に食い込む吉田。若手の壁になりつつある試合巧者だ

2020王者の宇田は、ここ2大会不本意な成績が続く。今年は爆発なるか

(まとめ=卓球レポート)

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