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インタビュー ネナード・バック [2] いろいろなことが、同時に起きている。しかも、とてもよい形で

「パーキンソン病」と「卓球」との関係に注目しているのは、卓球関係者ばかりではない。

 今年6月4~7日に京都で行われた世界パーキンソン病学会では、ネナード・バック氏の出席を求めた。そして、ネナード・バック氏による経験報告を、パーキンソン病に関わる世界中の学者や医者が共有した。同学会のサイトにネナード・バック氏の動画が掲載されていることからも、注目の高さがうかがえる。卓球レポート編集部にも、学会に参加する医師から、過去に掲載した記事(卓球と、パーキンソン病の改善 前編後編)に関する問い合わせがあった

 さらに、ネナード・バック氏は生物医学会とも連携していくそうだ。
 パーキンソン病になると、脳(中脳の黒質)におけるドーパミンの減少が起こり、そのことが体の動きの障害を引き起こす。そのため、治療はドーパミンの補充療法やドーパミンの濃度を上げる代謝酵素に働く薬物が中心となるのだが、卓球をするとドーパミンを生成するニューロンの構築に良いということが、ネナード・バック氏の主治医であるArt Dubow氏より報告されている。だが、なぜそうなるのか、その仕組みは解明されていない。
 生物医学者たちからの申し入れにより、ネナード・バック氏はクロアチアで開催された生物医学会議に出席。今後、卓球がなぜドーパミンを生成するニューロンの構築に良いのかを調べる研究に、協力していくそうだ。

「パーキンソン病患者に必要なのは、動くことです。動いている間は手が震えませんが、動きを止めると震える。だから、動くことが不可欠なのです。動くことが不可欠なのは、おそらくどのスポーツにも言えるでしょうが、特に卓球は複雑です。回転のかかった空中にあるボールの動きに合わせて動き、そのボールを打たなければなりません。
 私は、一時はギターが弾けなくなりましたが、卓球をするようになってから、またギターが弾けるようになりました。けれど、なぜそうなったのかは分かりません。また、パソコンのマウスを扱う際も、前後は動かしやすく、左右は難しいのですが、これも理由はわかりません。こういったことの理由を、科学者たちが見つけてくれるかもしれません」

 この1年で、状況は大きく動いた。国際卓球連盟(ITTF)による第1回パーキンソン世界卓球選手権大会の開催が決定され、今年10月に実施される。そして、パーキンソン病学会、生物医学会との連携が始まろうとしているそうだ。

「いろいろなことが、同時に起こっています。しかも、とてもよい形で」とネナード・バック氏。

 簡単な感想のように聞こえるこの言葉。
 そこには、実は、ネナード・バック氏の信条が顔をのぞかせているような気がする。<インタビュー第3回に続く

文・写真=川合綾子
取材協力=寺本能理子


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