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強化のフロントライン37
日本女子の現在地 
伊藤美誠について①

〜宮﨑強化本部長に聞く日本の強化策〜
 日本の最前線ではどのような強化が行われているのか。そのさまざまな方策について、日本卓球界の強化の長である宮﨑義仁強化本部長に聞く本企画。
 今回から、日本女子の現状について宮﨑強化本部長に話していただく。まず、伊藤美誠(スターツ)に対する評価を紹介しよう。

伊藤美誠が勝てない選手は世界にいない

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世界卓球では3回戦で孫穎莎に敗れた伊藤美誠。この敗戦以降の強さは驚異的だ


 前回まで、世界卓球2019ブダペスト(以下、世界卓球)の男子シングルスにスポットを当ててお話ししました。
 今回から、世界卓球の女子種目、そして日本女子の現状について私見を述べていきたいと思います。
 初めに、伊藤美誠についてお話ししましょう。

 ここ最近の伊藤の活躍には、目を見張るものがあります。
 4月に行われた世界卓球の女子シングルスでは3回戦で敗れましたが、その直後に行われたワールドツアー・中国オープンでは準々決勝で丁寧(中国)を下して3位。続く香港オープンで準優勝、オーストラリアオープンブリガリアオープンでは両大会とも3位と見事な成績を残しました。

 さらに、特筆すべきは、直近のスウェーデンオープンドイツオープンです。来夏の東京オリンピックを見据えて強豪が集結する中、伊藤は両大会とも決勝まで勝ち上がりました。
 スウェーデンオープンでは、決勝で陳夢(中国)にフルゲームで競り負けましたが、準々決勝で王曼昱(中国)に勝ち、準決勝では世界卓球で敗れた孫穎莎(中国)にリベンジして決勝進出を果たしました。
 ドイツオープンでも、決勝こそ今度は孫穎莎にリベンジを許しましたが、2018年世界ジュニア女子シングルス王者の銭天一(中国)や、経験豊富な馮天薇(シンガポール)を下すなど、ドロー(組み合わせ)に恵まれたわけではなく、強敵をしっかり倒して決勝まで勝ち上がっています。

 スウェーデンオープン、ドイツオープンとも優勝はなりませんでしたが、しかし、2大会とも決勝まで勝ち上がった選手は、伊藤ただ一人です。この結果を踏まえると、「今、世界で最も安定して強い選手は伊藤だ」と言っても過言ではありません。現在、伊藤が勝てない選手は世界にいないでしょう。

伊藤美誠の強さを支える地味な技術とは?

 伊藤は、周囲からメダルを期待され、自分でも狙っていた世界卓球の女子シングルスにおいて、3回戦で孫穎莎に敗れ、とても悔しい思いをしたと推察します。最近のワールドツアーにおける伊藤の好調ぶりを見ると、世界卓球での苦い敗戦を糧に、しっかり立て直してきたという印象です。特に、技の切れが鋭く研ぎ澄まされ、それが最近の試合に表れています。
 
 伊藤の強さを支える技はたくさんありますが、まず、私が取り上げたいのは、ツッツキです。
 伊藤のツッツキは、異常とも言えるほど「打球点が早い」のが特徴です。対戦相手からすると、あれほど早いタイミングでツッツキされたら3球目や4球目で思うように攻めることができません。打球点の早いツッツキは、伊藤の中でも突出して優れた技だと思います。

 ツッツキは一見すると地味で目立ちませんが、技術レベルを問わず、試合で多く使う技術です。よく使う技術だからこそ、打球点の早さを極限まで突き詰めた伊藤のツッツキは大きな効果を発揮するのです。
 皆さんも、伊藤のプレーを見る際は、ぜひ彼女のツッツキに注目して見ることをお勧めします。そうすれば、伊藤の強さの真髄に触れつつ、強くなるヒントが得られると思います。

(取材=猪瀬健治)

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