うちみたいな田舎の小さい学校がヤマダを倒そうと思ったら攻撃力でぶち破るしかなかった

その超攻撃的なプレーは、時に「野田スタイル」とも呼ばれる。
山口県山口市にある野田学園中学・高等学校。2008年に同校の男子卓球部監督に就任した橋津文彦は、17年世界選手権デュッセルドルフ大会の混合ダブルスで優勝した吉村真晴(名古屋ダイハツ)に代表される、常に両ハンドで得点を狙うアグレッシブなプレーヤーを数多く育成してきた。


17年世界選手権個人戦では石川佳純とのペアで混合複に出場し、日本に48年ぶりのタイトルをもたらした吉村真晴。

前陣ではバウンド直後をとらえるライジングのカウンターで抜き去り、中・後陣からはフルスイングの強打が相手コートを襲う。インターハイの観客席をどよめかせ、観る者に鮮烈な印象を残す「野田スタイル」はなぜ生まれたのか。

それはインターハイの学校対抗で、野田学園と何度も激戦を演じた「ヤマダ」こと青森山田学園高に勝つためだ。「ヤマダはスター選手を揃え、ものすごい練習量をこなして、国際大会でも経験を積んでいた。技術力だけでまともに勝負したら勝てなかった」と橋津は語る。「うちみたいな田舎の小さい学校がヤマダを倒そうと思ったら、攻撃力でぶち破っていくしかなかったんです」。
高校卓球界の巨人を倒すために、橋津はヤマダとは異なる道を選んだ。豊富な練習量で培われたフットワークを生かし、フォアハンドで動き切って確実に勝利を収めるのがヤマダのスタイルなら、野田学園は両ハンドのバランスと攻撃力を重視し、バックハンドでも威力あるボールを打ち込んでいく。
失点を拾うよりも、得点を奪うことに集中する。橋津が追い求める超攻撃卓球を、抜群の安定性と高い回転性能で支えてきたラバー。それが『テナジー』だ。

「野田学園のスタイルは、『テナジー』があってこそ作ることができたスタイルかもしれません」と橋津は言う。それは用具に対する最大級の賛辞と言える。
「もし『テナジー』がなかったら、ウチの選手たちのプレーも変わっていたかもしれません。水平に振り切るより、もっと安全に入れにいくようなスイングになっていたかもしれないし、後陣から一発で得点を狙うようなプレーは難しかったと思います」
現在、野田学園中・高の選手たちが使用する裏ソフトラバーはすべて『テナジー』、使用率は100%だ。『テナジー』というラバーのキーワードを語るとき、橋津は「行列のできる店のラーメン」という茶目っ気のある比喩を使う。他のラバーを試してみても、結局は『テナジー』に戻ってきてしまうからだ。
「行列のできる店のラーメンのような感じで、癖になるんですよ(笑)。おいしいだけじゃなくて癖になる。一度味わうとリピーターになってしまうんです」

選手が使用する用具は、基本的に選手自身が決めているが、練習で選手たちのプレーに目を配りながら、ラバーの硬度やラケットの弾みについてアドバイスすることもある。打球の軌道が直線的でミスが多い選手には、少し軟らかめのラケットやラバーを薦めたり、逆にスイングスピードが速いのにボールの走りがいまひとつだと感じた選手には、より硬い用具を試させたりする。
選手たちがフォア面に使うラバーは『テナジー05』か『テナジー80』。学年が上がり、筋力が上がり、スイングスピードが速くなるにつれて打球感の硬いラバーに変えていく。一方のバック面は、中学生の選手では安定性を重視して打球感が柔らかめの『テナジー64』を貼る選手もいる。
橋津が用具に対して求めるもの。それは何よりも、不安を感じずにプレーできることだ。
他校との練習や試合を行うと、カウンタードライブやドライブの打ち合いでボールが落ちてしまい、ネットミスが続いてラケットばかり見ている選手がいる。ボールに回転をかけにいったときに、ボールが飛び出す方向にバラつきが出るから、ミスが多くなる。

「選手たちはラバーの性能を見るときに、インパクトしたときのボールの『上がり』が一番気になるんですよ。つまり、どれだけ上方向にボールが飛び出すかということです。
インパクトしたときの上がりが一番強く、回転がかかるラバーが『テナジー』、特に『テナジー05』で、しかも上がり方が一定でバラつきがない。上がりが強いラバーは他にもありますが、それらは同じ打ち方なのに全然上がらないときがある。そこには性能の差だけでなく、圧倒的な信頼感の差がありますね。
例えば、(吉村)真晴がもしバタフライの用具を使っていなかったら、これまでのような成績は残せていない。彼が成功した要因はいくつかありますが、用具も確実にそのひとつだと思います」
ミスを怖れず、ラケットを水平に振り抜いていく野田学園の選手たち。プレーがリスキーであるからこそ、用具には絶対の安定感、信頼感が求められるのだ。


野田学園高3年時の平成23年度全日本選手権で、衝撃的な初優勝を飾った吉村真晴

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